「補助金」、行政の支援金という何となくのイメージをお持ちの方は多いと思います。ただ、国、地方自治体から様々な種類が提案され、申請方法も簡易なものから高度なものまで様々あります。
「補助金という言葉は知っているけれど、自分には関係ない」「手続きが難しそうでハードルが高い」……そう思っていませんか?
実は、補助金を正しく活用することで、倒産寸前の危機から劇的なV字回復を遂げるケースは少なくありません。今回は、ある老舗呉服屋の店主が、行政書士との再会をきっかけにビジネスを再建させた物語とともに、補助金の基礎知識を解説します。
補助金とは
補助金とは、国や地方自治体が、特定の政策目的(産業振興や雇用の維持など)を達成するために、事業者の取り組みを支援するお金のことです。
最大の特徴は、融資とは異なり「返済不要」である点です。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 原則として「後払い」である(先に経費を支払う必要がある)。
- 審査(採択)を通らなければ受給できない。
- 使途(使い道)が厳密に決まっている。
補助金の種類
補助金には大きく分けて「国(経産省など)」が実施するものと、「地方自治体」が独自に行うものの2種類があります。
- 国の補助金: 予算規模が大きく、全国の事業者が対象。
- 自治体の補助金: 地域の活性化が目的。上乗せ支援など独自の施策が多い。
国の代表的な補助金制度
小規模事業者が、販路開拓や生産性向上のために取り組む費用を支援する制度です。
- 補助金額: 通常枠 50万円(創業・賃上げ等の特別枠は最大200万円)
- 補助率: 原則2/3
- 対象経費: 店舗改装費、広告宣伝費、展示会出展費など
- 特徴: 非常に使い勝手がよく、個人事業主や小さな会社がまず検討すべき補助金です。
どこに申請するのか?
・ 窓口: 商工会議所(または各地区の商工会)
・ ポイント: 申請前に商工会議所の担当者から「事業支援計画書」を発行してもらう必要が あります。いきなりネットで送るのではなく、地元の会議所との連携が必須です。
申請書類には何を書くのか?(最大8ページ程度)
① 企業概要: 現在の売上構成や強み(老舗の信頼など)。
② 顧客ニーズと市場の動向: なぜ今、そのサービスが必要なのか。
③ 補助事業計画: 具体的に何を買うのか(改装、広告など)。
④ 補助事業の効果: 実施することで売上がいくら増える見込みか。
ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業態転換など、思い切った事業の再構築を支援する大規模な補助金です。
どこに申請するのか?
・ 窓口: 全国事務局(オンライン申請のみ)
・ 方法: 電子申請システム「jGrants」から行います。
・ ポイント: 商工会議所や地元の銀行などの「認定経営革新等支援機関」と一緒に事業計画を作ることが申請の要件となっています。
申請書類には何を書くのか?(最大15ページ程度)
持続化補助金よりもかなり重厚です。
① 新分野展開の必要性: なぜ既存事業だけではダメなのか(コロナの影響など)。
② 市場分析: 参入する市場の規模や競合他社の分析。
③ 具体的プロセス: 建物改修、設備導入、システム構築のスケジュール。
④ 収益計画: 5年間の詳細な予想損益計算書。
申請~入金までのスケジュール(目安)
「すぐにお金がもらえる」と誤解されがちですが、実際には1年以上のスパンで考える必要があります。
① 準備・申請(1~2ヶ月): 計画書の作成。
② 審査・採択発表(申請から2~3ヶ月後): 「合格」の通知が届きます。
③ 交付決定(採択から1~2ヶ月後): ここが重要! 事務局から「OK、この内容でお金を使っていいですよ」という許可が出て初めて発注ができます。
④ 事業実施(半年~1年): 実際に工事をしたり、備品を買ったりします。
※代金は全額自腹で先に支払います。
⑤ 実績報告(事業終了後1ヶ月以内): 領収書や証拠写真をすべて提出します。
⑥ 確定検査・入金(報告から2~4ヶ月後): 書類チェックが終わると、ようやく補助金が振り込まれます。
事業報告など「その後」に必要なこと
お金が入って終わりではありません。
- 証拠書類の保管(5年間): 補助金で購入したものは、5年間(または指定期間)は勝手に捨てたり売ったりできません。領収書や振込控え、見積書などはすべてファイリングして保管する義務があります。
- 事業化状況報告(事業再構築補助金の場合): 入金後、5年間にわたって「あの計画はどうなりましたか? 利益は出ていますか?」という報告を毎年ネット上で行う必要があります。
- 収益納付: 補助金を使って「想定を大幅に超える利益」が出た場合、受け取った補助金の一部を国に返す決まりがあります(※頑張り損にならないよう計算式があります)。
- 適正な使用(返還リスク): 万が一、別の用途に使ったことが発覚したり、報告を怠ったりすると、補助金の返還を求められる厳しい罰則もあります。
補助金の問題点~適正な使用でなければ「返還」も
補助金は魔法の杖ではありません。以下のルールを破ると、返還命令が出ることもあります。
① 目的外の使用: 申請した計画以外に資金を使った場合。
② 報告義務の怠慢: 事業実施後の実績報告を行わなかった場合。
③ 不正受給: 領収書の捏造や虚偽の申請。
適正に使い、正しく報告すること。これが補助金活用の大前提です。
ここである一人の男性のストーリーをご紹介します。
創業100年の老舗呉服屋が補助金でV字回復した物語
ここからは、実際に補助金がどのように事業を救うのか、ある男性の物語をご紹介します。
令和元年、父から継いだ店を襲った「コロナ禍」
ある町の片隅で100年続く呉服屋の長男として生まれた隆俊さんは、令和元年に店を継ぎました。しかし、その直後に世界を襲ったのが新型コロナウイルスです。
成人式の中止、結婚式の延期……。着物を着る機会が完全に奪われ、売上は激減。持続化給付金などの支援金でなんとか食いつなぐ日々が続きました。
令和5年、ついに限界が訪れる
コロナが落ち着きを見せ始めても、客足は戻りません。資金は底をつき、銀行に融資を申し込むも「今の経営状況では難しい」と断られてしまいます。 「もう、100年続いたこの暖簾を下ろすしかないのか……」 隆俊さんは廃業の二文字を覚悟していました。
同窓会での「30年ぶりの再会」
そんな折、気晴らしに足を運んだ中学校の同窓会。そこで隆俊さんは、30年ぶりに親友の利夫と再会します。利夫は現在、行政書士として中小企業の支援をしていました。
苦境を打ち明ける隆俊さんに、利夫は力強く言いました。 「隆俊、まだ諦めるのは早い。国の補助金を使えば、新しい業態にチャレンジできるかもしれないぞ」
「販売」から「レンタル」へ。伝統を現代の形に
利夫の助言は的確でした。 「今の呉服販売だけにこだわるのは厳しい。でも、この立地と在庫を活かして、急増しているインバウンド向けの『和服レンタル業』に転換してみてはどうだ?」
隆俊さんは、利夫と一緒に「事業再構築補助金」の申請に挑みました。
令和6年、店内はモダンな空間に。そして……
採択を受けた補助金を使い、隆俊さんは店舗を大胆にリフォーム。 重厚すぎて入りにくかった店構えを、若者や外国人が入りやすい「モダンで洗練された和の空間」へと作り替えました。用意する着物も、伝統的なものから現代風のSNS映えするものまで幅広く揃えました。
結果は劇的でした。 令和6年、SNSを通じて噂が広まり、店には連日、海外からの観光客が詰めかけました。「猫の手も借りたい」ほどの活況。かつての静まり返った店内が嘘のような賑わいを取り戻したのです。
情報を掴む者が、未来を掴む
隆俊さんは今、しみじみと実感しています。 「補助金の情報は、自分から掴みに行かないと決して得られない。そして、それを形にするパートナーの存在がいかに大きいか」
専門的な申請手続きの一切を引き受け、道を示してくれた利夫。彼への感謝とともに、隆俊さんは今日も笑顔で、世界中のお客様に日本の伝統文化を伝えています。
やっくんからのアドバイス
補助金は「もらえるお金」ではありますが、その実態は「国と一緒に事業を成長させるプロジェクト」です。
小規模事業者の方であれば、まずは商工会議所に相談に行くか、我々のような行政書士に「自分のやりたいことは補助金の対象になるか?」を聞いてみるのが近道です。
隆俊さんのように「情報を掴み、正しく手続きを踏む」ことで、あなたの事業も新しい一歩を踏み出すことができるはずです。
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