法制審議会の部会は令和8年2月20日、自筆遺言書をパソコンなどのデジタル機器で作成し、法務局でデータを保管する「保管証書遺言」の導入を柱とする要綱案をまとめました。政府は2026年度中にも関連する民法改正を目指すとしています。
これにより、今までは、自筆遺言書は必ず自筆でしかも氏名に押印すると定められており、また書式を誤ると効力が認められなくなるという、極めて取り扱いが難しいものでししたが、今後はパソコンで作成し、それをプリントアウトせずにそのまま法務局のサーバーに保管されるとう画期的な内容となっています。
まずは、遺言書について下記記事をご参照下さい。

皆様は、遺言書についてどうお考えでしょうか?多くの方は資産数億を有する方々が相続で揉めないために必要なものと思っていないでしょうか?しかし実際は違い、5,000万円以下の相続税が非課税域の資産での紛争(争族)が全体の80%を占めています。
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従い、残された家族が骨肉の争いにならない様に早いうちからの遺言書の準備がとても重要です。
今回の民法改正により、遺言書がより身近なものになり、また記入の不備で効力が無くなる等のトラブルも避けることが出来る画期的なものとなる予定です。
いち早くその情報を皆様にお伝え致したいと思います。
遺言制度の抜本的見直しとデジタル化への歴史的背景
日本社会における急速な高齢化伴い、相続手続きの円滑化と遺言作成の重要性の啓蒙が課題となっています。個人の最終意思を法的に保護し、次世代への資産承継を円滑に行うために、遺言制度は極めて重要であるにもかかわらず、日本の遺言作成率は長らく低水準に留まってきました。このため、法務省の法制審議会民法(遺言関係)部会において、遺言制度のデジタル化に向けた具体的な要綱案の議論が精力的に進められてきました 。
法制審議会はこれまでの議論を集約し、デジタル技術を活用した新たな遺言の方式の導入などを盛り込んだ答申を取りまとめが行われました 。これを受け、政府は2026年度(令和8年度)中の民法改正法案の成立と施行を目指して準備を進めています 。現行の民法における一般的な遺言は、全文を自筆で記述し押印を求める「自筆証書遺言」、公証人が関与する「公正証書遺言」、そして内容を秘密にする「秘密証書遺言」の3種類となっています 。しかし、自筆証書遺言は全文手書きが義務付けられており、わずかな形式不備による無効リスクが常に付きまといます 。他方で公正証書遺言は法的確実性が高いものの、一般的に馴染みのない公証役場へ出向くことや手続きの 複雑さがネックとなっています。
今回の2026年度民法改正は、明治時代から長年にわたって維持されてきた「紙と手書き、そして押印」を前提とする厳格な手法を抜本的に見直し、デジタル技術を取り入れ、安全性に加え利便性をも兼ね備えた歴史的な大転換点となっています。当記事では、現在判明している最新の法制審議会要綱案に基づき、新設される「保管証書遺言」や、緊急時の「死亡危急時遺言」のデジタル化について、その仕組み、メリット、デメリットを解説したいと思います。
先行する公正証書遺言のデジタル化(2025年10月施行)
2026年度の民法改正による新たなデジタル遺言の創設に先立ち、実務の現場ではすでにデジタル化が始まっています。公正証書遺言を含む公正証書の作成手続きについては、関連法令の整備により、2025年(令和7年)10月1日(札幌市は同年12月より)よりデジタル化が始まっています 。
新制度の下では、遺言者は公証役場に直接足を運ぶことなく、ウェブ会議システムを利用してリモートで公正証書遺言を作成することが可能となりました 。手続きの流れは、まず事前に公証人と内容の相談を行った後、マイナンバーカード等の電子証明書を用いた電子署名を付した依頼データを電子メール等で送信することから開始されます 。その後、遺言者、証人、そして公証人がそれぞれ離れた場所からウェブ会議システム(ビデオ通話)に参加して本人確認と意思確認を行う「完全リモート方式」や、一部の当事者のみが公証役場に出向く「ハイブリッド方式」が柔軟に選択可能となっています 。
さらに、作成された公正証書の原本は、従来の紙媒体ではなく電子データ(電磁的記録)として公証役場のサーバーに保管される仕組みへと移行しました 。遺言者には、正本や謄本として電子的な写しが交付されます 。このデジタル化は、遠方に住む高齢者や、病院・介護施設に入所中で外出が困難な遺言者にとって極めて大きな恩恵をもたらします。
実務面において注意すべきは、デジタル化に伴う手数料の変化です。基本的な財産額に応じた手数料体系は維持されつつも、電子データの取り扱いに特化した費用が設定されています。
| 財産額(1人あたり) | 公正証書作成基本手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超~100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超~200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超~500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超~1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超~3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超~5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超~1億円以下 | 49,000円 |
※ 上記の基本手数料に加え、全体の財産総額が1億円以下の場合は、別途、遺言加算として13,000円が一律に加算されます。また、新制度における電子ファイル形式での交付には、1通あたり2,500円の手数料が必要となります 。
新たな普通方式「保管証書遺言」の仕組み
2026年度民法改正の最重要項目は、現行の自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言に次ぐ、第4の普通方式として「保管証書遺言」が創設されることです 。この方式は、これまで通称として「デジタル遺言」と呼ばれてきた概念を法的に定義し直したものであり、既存の自筆証書遺言の要件を単に緩和するのではなく、完全に独立した新たな遺言方式として立法化されます 。
新制度の名称について、法制審議会の議論過程では様々な見解が交わされました。特に、2020年(令和2年)7月から既に運用が開始されている「自筆証書遺言書保管制度」との混同を懸念し、別の呼称(例えば「デジタル遺言」や「電磁的記録遺言」など)が望ましいのではないかとの指摘がありました 。
しかし、法務省の補足説明資料等によれば、この新方式は「遺言の全文が記載または記録された証書に署名等を行い、遺言書保管官の前で全文を口述し、かつ、その証書が遺言書保管所に保管されること」をもって初めて法的効力を生じる構成となっています 。従って、自宅の金庫等で自己保管した段階ではいかなる法的効力も持たず、「国の機関による保管」が遺言成立の絶対的要件として組み込まれています 。この点において、書いた瞬間に効力が発生し、単に紛失防止のために国に預けるだけの現行の自筆証書遺言(およびその保管制度)とは法的性質が根本的に異なります。したがって、有効な遺言となるために保管が不可欠であることを国民に明示するため、「保管証書遺言」という名称が最も適切であると結論づけられました 。
保管証書遺言の最大の特長は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などのデジタルデバイスを利用して遺言の全文を入力し、デジタルデータ(電磁的記録)として作成することが公式に認められる点にあります 。
デジタル作成を選択した場合、現行の自筆証書遺言で求められている「自書」と「押印」は不要となります。その代わりとして、遺言の全文および氏名が記録された電子データに対し、法務省令で定められる要件を満たす「電子署名」を付与することが求められます 。この電子署名には、マイナンバーカードに搭載されている公的個人認証サービス等が活用されることが想定されています。データ形式についても、将来にわたる可読性を担保するため、ファイル形式、拡張子、データサイズの上限などが法務省令によって厳密に規定される予定です 。
なお、保管証書遺言はデジタルデータだけでなく、パソコン等で作成した文面を紙に印刷したもの(書面)を用いることも可能です。その場合は、印刷された書面に対して手書きによる自筆署名を行うことで作成要件を満たすことになります。
保管証書遺言が有効に成立するために、実務上最も高いハードルとなり、かつ制度の信頼性を支える根幹となるのが「全文の口述」というプロセスです 。
自筆証書遺言が「自らの手で文字を書く」という行為そのものに遺言者の真意(本当に自分の意思で財産を処分しようとしているか)を担保させていたのに対し、デジタルデータによる作成は、第三者による代筆や、定型文のコピー&ペーストが極めて容易に行えてしまいます 。そのため、作成されたデータが間違いなく遺言者本人の意思に基づくものであることを証明する手続きが必要となります。
そこで改正案では、遺言者が法務局の遺言書保管官の面前で、証書に記載・記録された遺言の「全文」を自らの声で読み上げなければならないと定めています 。
この口述手続きは、法務局の窓口で行うほか、遺言者自身のパソコンやスマートフォンを用いた「ウェブ会議」による非対面での実施も広く認められる方向で進められています 。ウェブ会議を利用して手続きを進める場合、遺言書保管官は画面を通じてマイナンバーカード等の顔写真付き公的本人確認書類の提示を受け、本人確認を実施します 。
ウェブ会議による口述手続きには、厳格な制約が課されます。法制審議会の議論に基づき、遺言者の周囲には「介助者やパソコン等の操作補助者以外の他人が存在していないこと」が絶対条件として求められます 。これは、同居する親族や利害関係者による不当な干渉、心理的な威圧、あるいは利益誘導を完全に排除し、遺言の真意性を確保するための必須要件です。
もし、ウェブ会議の画面外から他人が指示書(カンペ)を出している様子がうかがえたり、発言を促すような声が聞こえたりするなど、他人の存在や干渉が少しでも疑われる事象が発生した場合、遺言書保管官は即座にウェブ会議を中止し、法務局への直接の出頭を求める運用が想定されています 。この措置は、デジタル化による利便性向上と引き換えに、国家機関が真正性を担保するための譲れない一線であると言えます。
「全文の口述」が原則である一方、身体的な事情を抱える遺言者への配慮措置も制度設計に組み込まれています。言語機能障害により口がきけない人が保管証書遺言を行う場合は、遺言書保管官の面前で、手話通訳人等の通訳を介して申述するか、あるいは自書することによって口述に代える特則が設けられています 。また、外国語を母語とする者については、日本語による翻訳文の提供や、口述内容を確認するための通訳の同席といった措置が講じられます 。
さらに、不動産の地番や金融機関の口座番号などが延々と続く「相続財産目録」についてまで全文を読み上げることは、遺言者にとって過酷な負担となるため、遺言書保管官が保管証書と一体のものとして財産目録を遺言者に画面等で閲覧させ、その内容に相違ないかを確認するといった措置を講じる場合に限り、目録部分に関する口述を省略できる仕組みが導入される見込みです 。
保管証書遺言の相続発生後の効力と手続き
保管証書遺言として無事に成立し、法務局に保管された電子データは、国の責任において構築された「遺言書保管ファイル」に厳重に記録・保存されます 。このデータベースには、遺言書の内容(画像または電子データ)に加え、遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍、受遺者や遺言執行者の氏名・住所、さらには一意の保管番号が紐づけられて管理されます 。
遺言者が死亡し相続が開始した後、遺族等の関係者が享受できる実務上の最大のメリットは、保管証書遺言が「家庭裁判所による検認手続き(民法第1004条第1項)を要しない」と明文で規定される点です 。
従来、自筆証書遺言(自己保管のもの)を発見した相続人は、勝手に開封してはならず、家庭裁判所に検認の申し立てを行う義務がありました。この検認手続きには、法定相続人全員の戸籍謄本等の収集が必要であり、申し立てから実際の期日までに1か月から数か月を要することが常態化しています 。この期間、不動産の相続登記や預貯金の解約といった一切の手続きが凍結されるため、遺族の経済的・心理的負担は極めて大きいのが現状です。
保管証書遺言を利用すれば、相続人、受遺者、遺言執行者等は、全国の法務局に対して遺言書の保管の有無を証明する書面の交付や、遺言書保管ファイルの記録の閲覧を即座に請求できる 。さらに、相続人等からの閲覧請求についても、ウェブ会議等の方法で非対面によるオンライン閲覧が可能となる見込みです 。検認という司法手続きを省略できることは、現代社会が直面するスピーディーな相続手続のニーズに合致するものです。
保管証書遺言の制度設計において特筆すべきもう一つの機能が、相続人間の公平性と透明性を確保するための「通知制度」です。相続人の一人が法務局で遺言書の閲覧を行ったり、遺言書情報証明書の交付を受けたりした場合、遺言書保管官はその事実を「他のすべての相続人等」に対して通知する義務を負います 。
この仕組みにより、一部の相続人が自分に都合の悪い遺言書を隠匿したり、遺産分割協議を独断で進めたりする不正行為をシステム的に封じ込めることが可能となります 。また、遺言者は生前にあらかじめ、自身の死後に法務局から指定した特定の人物(遺言執行者や長男など)へ自動的に保管の事実が通知されるよう設定することも可能であり、遺言の存在が誰にも知られずに放置されるリスクを根本から解消しています 。
特別方式「死亡危急時遺言」の革新的なデジタル化
2026年度の民法改正では、健康な状態で行う普通方式の遺言(保管証書遺言など)だけでなく、病気の急変や不慮の事故など、生命の危機が目前に差し迫った緊急事態において利用される特別方式の遺言、特に「死亡危急時遺言」についても、抜本的な要件緩和とデジタル化が行われます 。
現行の民法第976条が定める死亡危急時遺言は、以下のような厳格で煩雑なプロセスを要求しています 。
① 遺言者が証人3人以上の立ち会いのもとで、遺言の趣旨を口授する。
② 立ち会った証人の一人が、遺言者の言葉を筆記する。
③ 筆記した証人が、その内容を遺言者および他の証人に読み聞かせるか、閲覧させる。
④ 各証人が筆記の正確性を承認し、全員が署名および押印を行う。
⑤ 作成から20日以内に、証人の一人または利害関係人が家庭裁判所に請求し、遺言が真意に基づくものであることの確認(確認の審判)を得る。
しかし、現代の医療現場(集中治療室や緩和ケア病棟)、あるいは大規模災害や海難事故の現場において、直ちに利害関係のない証人を3人を確保し、その場で長文の筆記作業と読み聞かせを行うことは、物理的・時間的にほぼ不可能に近いという強い批判が絶えませんでした 。その結果、残されたわずかな時間で最終意思を残そうとしても、形式不備で無効とされるケースが後を絶ちませんでした。
この深刻な課題を解決するため、改正要綱案ではデジタルデバイスの記録能力を法的に高める画期的な方針が打ち出されました。具体的には、スマートフォンやタブレット端末等のデジタル技術を活用し、遺言者が遺言を口述する状況を「録音および録画を同時に行う方法」によって記録する場合には、手書きによる筆記手続きを完全に不要とするというものです 。
デジタルデータによる映像と音声の記録は、遺言者の発言内容、表情の機微、意識の清明度合い、さらには周囲の状況や第三者による強迫の有無を、文字起こしされた紙の調書以上に客観的かつ克明に保存することができます 。法制審議会はこの「記録の客観性と事後検証可能性」を高く評価し、録音・録画を行うケースにおいては、立ち会いを要する証人の数を従来の「3人以上」から「1人以上」へと削減する緩和策を提示しました 。
証人が複数名要求されていた現行の法律は、多数の目を光らせることで偽造や誘導を防ぎ、遺言者の真意を担保することにありました 。しかし、改ざん痕跡の検出が可能なデジタル録画データが存在すれば、その機械的な担保機能が人間の証人の役割を十分に代替し得るという解釈となりました 。
この緩和措置は、病床における急変時はもちろんのこと、大規模な地震などの天災事変時や、船舶の遭難時といった極限状態においても同様に適用される方針です 。絶望的な状況下であっても、手元のスマートフォン一つと、居合わせた1人の第三者の協力さえあれば、愛する家族への最終意思を法的に保護された形で残すことが可能となります。
自筆証書遺言等における「押印要件」
デジタル遺言の創設に伴う法制度のアップデートは、自筆証書遺言および秘密証書遺言における「押印要件の廃止」です 。
現行の民法下では、自筆証書遺言を有効に成立させるためには、遺言の全文、日付、氏名を自書した上で、必ず「押印」しなければならないと定められています 。これまで、立派な内容が長文で自書され、明確な意思が読み取れるにもかかわらず、うっかり最後にハンコを押し忘れたというただ一点のみをもって、遺言全体が無効と判断されるケースが発生してきました 。判例において、実印でなくとも認印や拇印(指紋)でも有効であるとの救済解釈はなされてきたものの、行き過ぎた形式主義の弊害であるという批判は免れませんでした。
法制審議会の最新要綱案では、日本の社会全体で進む「脱ハンコ(押印廃止)」の潮流やデジタル化の波に合致させる形で、自筆証書遺言の要件から押印を完全に撤廃する方針が明確に示されました 。全文の筆跡そのものが高度な個人識別機能を有しており、自書による真意性の担保機能が十分に機能している以上、形式的な押印を強要する必要性は乏しいという合理的な判断に至りました 。また、実務上の利用頻度は低いものの、秘密証書遺言についても同様に押印要件の見直しが予定されています 。
これにより、2026年度以降は、遺言者がボールペン一本で紙に想いを書き綴るだけで、形式不備による無効リスクに怯えることなく、完全に合法な遺言書を作成することが可能となります。
デジタル遺言制度がもたらす広範なメリット
2026年度民法改正によるデジタル遺言制度(保管証書遺言および死亡危急時遺言の録画方式等)の導入は、社会全体に多くのメリットをもたらします。
第一に、遺言作成者にかかる心理的・身体的負担の軽減です 。高齢者にとって、不動産の地番や金融機関の支店名、口座番号といった複雑な財産情報を一文字のミスもなく正確に手書きし続ける行為は、多大な苦痛と疲労を伴います 。現行制度では、軽微な書き損じによる訂正手続きの難しさが、作成自体を挫折させる最大の要因となっていました 。パソコンやスマートフォンの活用により、推敲、加筆、修正、そして定型文のコピーが極めて容易となり、遺言を書くという行為の心理的障壁が大きく低下します 。
第二に、強固な真正性と、偽造・紛失リスクの排除にあります 。自己保管の紙の遺言書は、災害による焼失や、発見した一部の相続人による意図的な破棄、改ざんのリスクから逃れられませんでした 。保管証書遺言はマイナンバーカード等による厳格な本人認証と電子署名を基盤とし、法務局のシステムで一元管理されるため、事後的な書き換えや物理的な紛失は技術的に起こり得ません 。これは、相続発生後に頻発していた「この筆跡は親父のものではない」「誰かが後から書き足した偽造だ」といった遺言書の無効確認訴訟を無くすことができます。
第三に、現代のライフスタイルに合致した「終活のデジタル化」の推進です 。近年、ネット銀行の口座、暗号資産(仮想通貨)、証券会社のオンライン口座、サブスクリプションサービスの契約など、実体のないデジタル遺産(デジタルアセット)が急増しています 。パソコン上で保管証書遺言を作成することで、これらのデジタル資産のアカウント情報やアクセス手順を整理したリストを容易にデータとして紐づけ、漏れのない完璧な承継計画を策定することが可能となります 。遠方に住む親族にとっても、相続発生後に即座にオンラインで情報を把握できる利便性は計り知れません 。
各遺言方式の比較と専門家による選択
2026年度以降の、遺言の選択肢が格段に広がります。それぞれの方式の特性を理解する必要があります。
| 遺言方式 | 作成方法 | 真意の担保方法 | 費用 | 検認手続 | 特徴と最適なケース |
| 自筆証書遺言 | 全文自書(財産目録はPC可) | 自筆の筆跡 | 無料 | 必要 | 費用をかけず手軽に作成したい場合。押印廃止により利便性向上。 |
| 自筆証書遺言書保管制度 | 全文自書+法務局持込 | 窓口での対面提出 | 3,900円 | 不要 | 紛失リスクを防ぎたいが、デジタル機器の操作が苦手な層に最適 。 |
| 公正証書遺言 | 公証人が作成 (リモート可) | 公証人による確認 | 数万円~ | 不要 | 確実性が最も高い。自力での口述や文章作成が困難な高齢者に最適。 |
| 保管証書遺言 (2026年新設) | PC等でデータ作成+電子署名 | 全文の口述 | 未定 | 不要 | ITリテラシーがあり手書きを避けつつ確実な保管を望む層に最適 。 |
やっくんからのアドバイス
2026年度中の施行を目指して準備が進められている遺言制度のデジタル化は、単なる手続きの電子化にとどまらず、「最期の思いをどう確実に届けるか」を実現するための、ある意味壮大な社会実験かもしれません。
法務省の2018年の8000人を対象に行ったアンケートによりますと、遺言書を書いたことのある方は7パーセント弱という結果でした。この遺言書の新しい制度により遺言書の垣根が下がり、身近なものになることを願わずにはいられません。
「保管証書遺言」の創設や「死亡危急時遺言」における録画方式の承認、そして自筆証書遺言の「押印の廃止」は、高齢の方や体力に不安のある方にとって、大きな安心材料になります。一方で、「全文の口述」や機器の操作など、これまでにはなかったハードルが生まれる可能性もあります。
制度が新しくなるときには、期待と不安が同時に生まれるものです。だからこそ大切なのは、われわれ行政書士が制度のメリットだけでなく注意点も丁寧に整理し、ご本人の状況やご家族の関係性に合わせて最適な方法を一緒に考えていくことだと思っています。
制度の改正により我々行政書士がどのように係わるべきかまだ課題はありますが、まずは皆様からのお悩みについてお聞きしたいと思いますので 気軽に下記までご連絡下さい。
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