- 亡くなった親に多額の借金があることが判明した
- 親族間で疎遠になっており、関わりたくないので全員で相続放棄の手続きをとった
相続の現場では、このような場面が比較的多くあります。予期せぬ負債や複雑な人間関係から身を守る手段として、「相続放棄」はきわめて有効で法的に認められた権利です。
しかし、多くの方は「相続人全員が相続放棄を完了すれば、これで相続にまつわる一切の面倒ごとや問題は完全に終わった」と安心されてしまいます。実は、ここに非常に大きな誤解と落とし穴が存在します。
「相続放棄」をしたからといって、故人が残した不動産、預貯金、あるいは家具や自動車といった「財産そのもの」がこの世から綺麗に消えてなくなるわけではありません。
では、相続人全員が放棄を選択し、誰からも引き取り手を失った財産は、一体どのようなルートを通ってどこへ行き着くのでしょうか。特に、北海道内や札幌市内にも数多く存在する「誰も住まなくなった実家・空き家」や「処分に困る老朽化した土地・山林」などが残されているケースでは、放棄手続きを行った後にも思わぬ管理義務や近隣トラブルのリスクがつきまとうことがあります。
本記事では、法定相続人全員が相続放棄をした後、残された「相続財産の行き着く先」について、少し長くなりますが、詳しくかつ分かりやすく解説いたします。
そもそも「相続放棄」とは?
本題である「財産の行き着く先」を理解するために、まずは「相続放棄」という制度の法的な基本的な仕組みと誤解されやすいルールについて整理しておきます。
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産や負債(借金、未払い税金、保証債務など)の一切を受け継がないとする法的意思表示です。国税庁や法務省の公式な解釈においても、相続放棄をした者は「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったもの」として扱われます。つまり、法律上「最初から存在しなかった親族」として取り扱われることになります。
親族間で「自分は財産を何も要らないから放棄する」「長男に任せる」と口頭で伝えたり、身内だけで作成した念書・誓約書にサインしたりするだけでは、法的な「相続放棄」にはなりません。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、正式な相続放棄の申述(しんじゅつ)を行い、裁判所から受理決定通知書を受け取る必要があります。
相続放棄の申述は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行わなければならないと民法で定められています。この3か月間の考慮期間を熟慮期間と呼びます。この期間内に何の手続きもせずに放置したり、故人の財産を処分・消費したりすると、「単純承認(プラスの財産もマイナスの借金もすべて無限に引き継ぐこと)」をしたとみなされて放棄ができなくなります。
相続放棄は「借金だけを捨てて、預金や家はもらう」というような都合の良い選択はできません。借金などの「マイナスの財産」を一切背負わずに済む反面、預貯金、株式、不動産、動産といったあらゆる「プラスの財産」を受け取る権利もすべて一括して放棄することになります。
「長男が相続放棄したら、次男が相続する」はどういうこと?
相続実務で、特に誤解やトラブルが多いのが「一人が放棄したら、同じ立場の人や次の世代にどう影響するのか」という点です。単に「いらない人から順番に抜ける」という単純な話ではなく、民法で定められた明確な「相続人の順位ルール」に従って権利と義務が順次スライドしていきます。
法律で定められた「法定相続人」になれる人物とその優先順位は、以下の通り厳格に決まっています。なお、配偶者(夫または妻)は常に同順位の相続人となり、以下の各順位の相続人と共に同位で相続人となります。
- 第1順位: 直系卑属(子。子が死亡・欠格等の場合は孫、ひ孫)
- 第2順位: 直系尊属(父母。父母が共に死亡している場合は祖父母)
- 第3順位: 兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は甥・姪まで)
同順位の相続人全員が相続放棄を完了させると、相続権は消滅するのではなく、自動的に次の順位の親族へと移っていきます。

このように、第1順位である子ども全員が「親の借金から逃れるために放棄した」場合、その事実を知らないまま放置していると、次に第2順位である年老いた父母、さらにそこも全員放棄すると第3順位である兄弟姉妹や甥・姪のもとへ、ある日突然債権者からの督促状や連絡が届くことになります。親族間の感情的なしこりを防ぐためにも、放棄した旨の事前・事後の連絡は必ず必要となります。
法定相続人全員が相続放棄すると「相続人不存在」になる
前述の通り、第1順位から第3順位に至るまでのすべての法定相続人が放棄を完了すると、法的には「相続人不存在」という状況になります。
ここが本記事の核心部分です。
文字通り、被相続人の残した権利や義務を引き継ぐべき法的相続人が「最初から一人もいなくなった」状態を指します。
民法951条では、「相続人のあることが明らかでないとき(全員が相続放棄した場合を含む)は、相続財産は法人とする」と規定されています。 つまり、持ち主を失った財産(預貯金、不動産、家具、自動車、あるいは借金といったすべての権利義務)は、法律上「相続財産法人」という一つの独立した会社のような存在として扱われることになります。
法務省の通達においても、法定相続人全員が相続放棄を行ったケースは、この「相続財産法人」が発生する最も典型的な例として挙げられています。
「相続人が誰一人いなくなった=残された財産や家や借金も自動的に消えて無くなった」と勘違いされる方が非常に多いのですが、決してそうではありません。財産は「相続財産法人」という一種の箱の中に閉じ込められた状態でそこに存在し続け、しかるべき清算手続きを経ない限り、勝手に消滅することも国の所有になることもありません。
では、誰が相続財産を管理するのか? 「相続財産清算人」
相続人全員が放棄してしまった以上、放置された家や土地、あるいは預貯金や借金は、一体誰が整理・清算するのでしょうか。この場面で活躍するのが「相続財産清算人」という存在です。
相続人に代わって、法人となった相続財産を公正に管理し、故人の借金の弁済処理や、残った財産の適切な処分・清算実務を行うために裁判所から選任される専門家(主に弁護士)のことです。
民法952条の規定に基づき、利害関係人(被相続人の債権者、アパートの大家、特定遺贈を受けた受遺者、特別縁故者など)または検察官の請求によって、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。
※ ここで注意が必要なのは、家庭裁判所が自動的・手動的に清算人を選んでくれるわけではないという点です。誰かが費用(数万円の申立費用+裁判所に治める数十万〜100万円程度の予納金)を負担して申し立てを行わない限り、清算人は選ばれません。
選任された相続財産清算人は、家庭裁判所の適切な監督の下で、以下のような多岐にわたる清算業務を順を追って実行します。
① 財産の調査と管理
被相続人の名義になっている不動産、動産、預貯金、有価証券、借金をすべて洗い出し、目録を作成して管理する。
② 公告手続き
官報に掲載して「相続人の捜索」および「債権者・受遺者への申し出の呼びかけ」を行う。
③ 債権者・受遺者への弁済
名乗り出た債権者(金融機関や個人など)に対して、財産を換金して優先順位に従い借金を返済する。
④ 特別縁故者への対応
申し立てがあった場合、裁判所の判断に基づき残余財産から分与を行う。
⑤ 不動産等の任意売却・競売
管理・維持が難しい家屋や土地を買い手へ売却し、現金化する。
⑥ 最終的な残余財産の国庫帰属
すべての清算・分与が終わった後になお残った金銭を国の金庫(国庫)へ納める。
相続放棄した人は、その後一切関係なくなるのか?
相続放棄の手続きが家庭裁判所で受理されたのだから、自分はもう故人のことや家・土地とは金輪際一切関係がないと考えがちですが、ここには実務上極めて重要な注意点が存在します。
民法940条第1項には、以下のような管理義務に関する規定が置かれています。
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
※ 令和5年4月施行の改正民法により「保存の義務」として再整理
つまり、自分が放棄したとしても、次の順位の相続人が管理を始められる状態になるか、あるいは前述の「相続財産清算人」が選ばれて財産を引き継ぐまでの間は、元相続人として「その財産を放置して周囲に危険を及ぼさないよう管理・保存する義務」が一定限度残ります。
この規定が現実的に重大な問題となるのが、実家や空き家、老朽化した建造物、危険な土地などが残されているケースです。
例えば、全員が放棄して誰も管理しなくなった実家が老朽化し、台風やドカ雪の重みで屋根や壁が崩落して通行人にケガをさせた場合や、隣家の敷地・家屋を損壊させた場合、被害者から「保存・管理義務を怠っていた」として元相続人に対して損害賠償請求がなされるリスクがゼロではありません。
「放置すれば勝手に解決する」わけではなく、リスクを根本的に絶つためには、利害関係人として自ら予納金を納めて「相続財産清算人」を選任してもらい、管理権限を正しく清算人に引き渡す必要があります。
「代表して長男である自分が裁判所で放棄手続きをしたから、弟や妹、叔父たちも連動して放棄されたことになっているだろう」というのも大きな間違いです。相続放棄はあくまで一人ひとり個別に家庭裁判所へ申し立てを行う手続きです。誰か一人が放棄しても、他の親族の手続きが自動的に完了することはありません。
相続財産清算人によって、財産はどう処理される?
では、実際に利害関係人などから申し立てがなされ、裁判所によって「相続財産清算人」が選任された場合、残された「相続財産の生末」はどのような具体的なプロセスを通って処分・処理されていくのでしょうか。
就任した清算人は、まず被相続人の口座照会、固定資産税の課税台帳照会、現地調査などを行い、プラスの財産(現金・預貯金・不動産・有価証券等)とマイナスの財産(借金・未払い金等)の全貌を正確に特定します。
清算人は官報を通じて「債権者や受遺者(遺言で財産をもらう人)は一定期間内に名乗り出てください」という公告を出します。申し出のあった債権者に対して、把握したプラスの財産(または不動産を換金したお金)の中から順番に返済を行っていきます。もし財産より借金の方が多い場合は、各債権者に対して債権額に応じた按分比例で弁済を行います。
金融機関に残されていた預貯金や株式などは、清算人が解約・売却してすべて「金銭(現金)」に一本化されます。この現金は、上記のような債権者への弁済費用や、清算手続きを進めるための経費(登記費用や清算人の報酬など)へ優先的に充当されます。
処分に困る実家や土地などの不動産は、清算人の手によって売却活動が進められます。通常は不動産業者を通じて任意売却を試みたり、買い手がつかない場合は競売などの手続きによって換金処理を行います。売却によって得られた代金は、同様に債権者への返済や清算費用に充当されます。
生命保険の死亡保険金については、受取人が特定の人(例:長男など)に指定されている場合は、保険会社から受取人へ直接支払われる固有の財産となるため、そもそも「相続財産」には含まれません。したがって、相続放棄をした人であっても指定された生命保険金を受け取ることが可能です。
※ ただし税法上の扱いには注意が必要。
一方で、受取人が被相続人本人となっている場合や指定がない場合は相続財産扱いとなるため、放棄した人は受け取れず、清算人の管理下に入ります。
被相続人が生前に有効な遺言書を残しており、「お世話になった〇〇さんに自宅を遺贈する」といった記載があった場合、清算人は債権者への弁済を優先した上で、なお残った財産の中から遺贈の履行(名義変更手続きなど)を行います。
「相続人がいない=すぐ国のもの」ではない
世間一般には非常に強いイメージとして、相続人全員が放棄したら、その瞬間にすべての財産は自動的に国の所有物になると思われている方が多いと思います。しかし、現実の法手続きはそれほど単純ではありません。
国が受け取るのは、あくまですべての借金を返し、関係者への分配も終わった後の残余財産(お金)だけです。最初から国が責任を持って故人の借金を立て替えたり、老朽化した家を引き取って管理してくれたりすることはありません。
民法959条では、一連の処分・清算手続きで処分されなかった残余財産が国庫に帰属すると規定されています。しかし、国(財務省・理財局など)がそのまま引き取るのは主に換金され、権利関係がきれいに整理された金銭です。買い手のつかない危険な崩壊寸前の空き家や、価値のつかない山林などの不動産を、国がそのままダイレクトに引き取ることは原則としてありません。必ず相続財産清算人の手によって現金化するか、法的清算手続きを最後まで完了させる必要があります。
「特別縁故者」なら財産を受け取れることがある
法定相続人が全員放棄して一人もいなくなった場合でも、国にお金が渡る前に、故人とゆかりの深かった個人や団体に財産が渡る救済仕組みが存在します。それが「特別縁故者」への財産分与制度です。
法定相続人ではないものの、被相続人と特別な人間関係や精神的・物質的な深い結びつきがあった者として、家庭裁判所から認容された人物・法人を指します。
具体的には、民法958条の2において以下のような対象が規定されています。
① 内縁の配偶者
長年共に暮らしながらも婚姻届を出していなかった事実婚のパートナー
② 被相続人と生計を同じくしていた人
事実上の養親子関係にあった人や、同居して生活を共にしていた身寄りがない親族など
③ 被相続人の療養看護に努めた人
報酬を得ずに、長年にわたり献身的に介護や看護を行ってきた看護師や知人など
④ その他、特別の縁故があった人・法人
故人が深く帰依していた寺院、老人ホーム、ボランティア団体など
相続人が不在であり、債権者への弁済が終わった段階で、特別縁故者は家庭裁判所に対して「特別縁故者に対する財産分与の申立て」を行います。裁判所が審判を行い、貢献度や事情を考慮して、財産の一部または全部を与えるという決定を下せば、特別縁故者が財産を取得することができます。
長年介護したから自分は特別縁故者だと主張しても、自動的に受け取れるわけではありません。裁判所へ客観的な証拠(介護記録、生計を一にしていた通帳の記録など)を提出し、厳しい判断基準をクリアする必要があります。また、債権者への返済で財産が底をついてしまった場合は、分配される財産自体が存在しないことになります。
【ケース別】 相続人全員が相続放棄したらどうなる?
実際の具体例を用いて、財産や借金がどのような結末を迎えるのかを分かりやすく整理してみます。
ケース1 多額の借金だけが残っている場合
① 状 況
プラスの財産はゼロ、消費者金融からの借金が500万円あり、子ども全員が放棄。
② 結 末
債権者(金融機関)は自ら費用を負担して「相続財産清算人」の選任を申し立てるか、回収不能として貸し倒れ処理(損金処理)を行います。清算人が選ばれなければ借金は放置され、最終的に誰にも請求できないまま消滅します。
ケース2 預金100万円と借金50万円が残っている場合
① 状 況
親族全員が被相続人と疎遠で関わりたくないと放棄。
② 結 末
債権者が申立てを行って清算人が就任した場合、預金100万円から借金50万円が支払われ、清算人の報酬等の経費を差し引いた後、余った数万円〜十数万円程度の残額が最終的に国庫に納められます。
ケース3 誰も住んでいない実家(空き家)が残っている場合
① 状 況
地方にある老朽化した実家。固定資産税や維持費がかかるため全員が放棄。
② 結 末
近隣住民や自治体から「倒壊の危険がある」と連絡が入るものの、管理権限者がいない状態が続きます。もし競売や任意売却で買い手がつけば清算人を通じて売却・換金されますが、買い手がつかない場合は予納金を積んで清算人に管理を任せ続けるか、自治体による「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく行政代執行(解体撤去)へ進むことになります。
ケース4 価値のない山林や農地だけが残っている場合
① 状 況
道内の中山間部にある、売却不可能な山林。
② 結 末
実務上、最も解決が難しいケースです。不動産業者でも売却できず、清算人が就任しても引き取り手が見つかりません。固定資産税の課税免除手続きや、引き取り手を探す長期の売却活動が行われますが、最終清算までに極めて長い年月と多大なコストがかかります。
ケース5 長年同居していた内縁の妻がいる場合
① 状 況
戸籍上の妻はおらず、長年連れ添った内縁の妻と同居。故人の兄弟など親族全員が放棄。
② 結 末
内縁の妻は法律上の配偶者ではないため直接相続はできませんが、親族全員が放棄して「相続人不存在」となった後、自ら「特別縁故者」として申し立てを行うことで、住んでいた自宅や残された預貯金の分与を受けられる可能性が開けます。
ケース6 相続人全員が放棄したが、アパートの未払い賃料や貸主がいる場合
① 状 況
故人が賃借していたアパートに荷物が残ったまま、相続人が全員放棄。
② 結 末
アパートの大家(貸主)は新しい入居者を募集できず困り果てます。大家は「利害関係人」として裁判所に清算人選任や動産放棄の手続きを申し立てるか、法的な手順を踏んで残置物の撤去・部屋の明渡しを進めることになります。
相続放棄したら「空き家問題」は解決するのか?
札幌市やその近郊(小樽、江別、千歳など)、あるいは北海道内の各自治体において、相続放棄に伴う「放置された空き家・空地問題」は年々深刻さを増しています。
繰り返しますが、書類上で「相続放棄」が完了しても、現地に建っている老朽化した実家やビルが魔法のように消えてなくなるわけではありません。所有者名義は故人のまま不動産登記簿に残り続けます。
北海道の厳しい気象条件においては、管理者のいない空き家は極めて速いスピードで痛みます。
・ ドカ雪や積雪による屋根の崩落・倒壊
・ 落雪事故(通行人や隣家への直撃)
・ 不審者の侵入・放火のリスク
・ 雑草や樹木の茂りによる害虫・害獣の発生
こうしたトラブルが発生した際、警察や自治体(区役所や市役所の空き家対策課など)は、まず戸籍を辿って「元相続人」へ連絡を入れてきます。「放棄したから知らん顔」を通し続けることは、精神的にも大きな負担となります。
危険な空き家を法的にすっきり処分するためには、清算人を立てる必要があります。しかし、前述の通り清算人を選任してもらうには家庭裁判所に予納金(裁判所が清算人の報酬等に充てるための費用で、数十万〜100万円程度)を納めなければなりません。プラスの財産が乏しい場合、この予納金は申し立てを行う人(元相続人や近隣住民など)が一時的に持ち出さなければならないため、ハードルが非常に高いのが実情です。
首都圏などの需要が高いエリアであれば、古家付き土地であっても不動産業者が買い取って清算が進みやすい傾向にあります。しかし、北海道内の郊外や過疎地域、積雪荷重に耐えられない老朽物件などは、買い手・引き取り手が極めて見つかりにくいという地域特性があります。「放棄すれば安心」と安易に決めつけず、事前に物件の価値やリスクを調査しておくことが極めて重要です。
相続放棄を考えている人が注意したい5つのポイント
これから相続放棄を検討されている方、あるいはご家族の財産状態に不安を感じている方は、以下の5つの重要ポイントを必ず頭に入れておきましょう。
1.3か月の期限(熟慮期間)を絶対に過ぎない
「自分が相続人になったこと、および故人が亡くなったことを知った日」から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。迷っている間に期限を過ぎると、借金を含めてすべてを引き継ぐ「単純承認」とみなされます。
2.故人の財産に一切手をつけない(処分行為の禁止)
放棄の手続きをする前(あるいは申請中)に、故人の預金口座からお金を引き出して自分の使途に使ったり、故人の所有していた車を売却したり、実家の家財道具を処分したりすると、「財産を処分した=単純承認した」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる危険性があります。
3.次の順位の相続人へ必ず事前に伝えておく
自分が放棄することで、それまで関係ないと思っていた老親や兄弟姉妹、甥・姪に突然借金の請求が行くことになります。「自分が放棄した理由」と「今後はそちらに権利が移ること」を事前に一言伝えておくのが、親族間のマナーでありトラブル防止策です。
4.「管理・保存の義務」が残る可能性を意識する
次の相続人が管理を始めるか、清算人が選ばれるまでは、元相続人として不動産等の最低限の管理義務が残ります。特に危険な空き家がある場合は放置せず、専門家に相談してください。
5.不動産がある場合は安易に決めつけず慎重に判断する
「借金があるから即・放棄」と飛びつく前に、不動産の資産価値や、清算手続きにかかるコスト、将来のリスクを比較検討することが大切です。
行政書士に相談できること
・ 自分の家系では誰が相続人になるのか整理したい
・ 全員で放棄すべきなのか、他の方法があるのか判断がつかない
とお困りの際、行政書士は街の身近な法律家・相談窓口として以下のようなサポートを提供いたします。
1.複雑な相続人調査・戸籍の連続収集
被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての原戸籍・除籍謄本、および全国に散らばる相続人全員の戸籍謄本を迅速に収集・解読し、正確な法的相続人を確定させます。
2.相続財産・負債の詳細な調査と目録作成
名寄帳の取得、不動産の評価額調査、残高証明書の請求などを通じて、プラスの財産とマイナスの負債の全体像を「財産目録」としてわかりやすく整理・見える化します。
3.相続関係説明図(家系図)の作成
複雑に入り組んだ順位関係や、誰が放棄すると誰へ移るのかをわかりやすく一目で把握できる「相続関係説明図」を作成いたします。
4.遺産分割協議書など各種書類の作成
放棄を選択せず、特定の相続人が集中的に財産を引き継いで適切に管理・清算する場合の「遺産分割協議書」を作成します。
5.相続放棄を検討するための情報整理と方向性アドバイス
「放棄すべきか、限定承認(得た財産の範囲内で借金を返す方法)を選択すべきか、そのまま相続すべきか」をご相談者様の立場に立って整理・アドバイスいたします。
6.裁判所手続きが必要な場合の他専門家へのスムーズな連携
行政書士は家庭裁判所への「相続放棄申述書」の作成代理や裁判所での交渉を直接行うことは法律上できません。しかし、当事務所では連携する司法書士や弁護士と密に協力体制を整えております。戸籍や財産の整理を行った上で、裁判所手続きが必要となった場合は確実かつスムーズに信頼できる司法書士・弁護士へとお繋ぎいたします。
まとめ ~ 「相続放棄=相続問題の終了」ではありません
相続人全員が相続放棄を完了すれば、相続財産も借金もすべてこの世から消えて綺麗さっぱり終わるというわけではありません。
残された財産は、法律の規定に従って以下のような一本のストーリーをたどり、時間をかけて処理・清算されていきます。

相続放棄は、亡くなった方の負債からご自身の生活を守るための大変貴重で重要な権利です。しかし同時に、残された実家や土地などの「財産の生末」や周辺環境への影響、近隣への配慮も含めて、視野を広く持って出口戦略を考えることが求められます。
・ 親の借金や実家の処分でどうすべきか迷っている
・ 戸籍の集め方や財産の調べ方が分からない
このようなお悩みをお持ちの際は、一人で抱え込まず、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。お客様の状況に寄り添い、安心できる最適な解決への道筋を共に考えてまいります。
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札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、実家の相続手続きや、遺言書の作成に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
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