近年、ECサイトの普及やクラフトビール・日本酒ブーム、海外ワインの需要拡大に伴い、「自社のネットショップでお酒を販売したい」「海外から珍しいお酒を輸入して日本で流通させたい」「地域の特産品やお酒を委託販売・代理販売したい」という需要が増えています。
しかし、酒類の販売は日本の酒税法によって厳しく規制されており、適切な免許を取得せずに販売を行うと重い罰則を受けることになります。さらに、ネット通販(通信販売)、輸入販売、委託販売・販売代理など、事業形態によって必要な免許の種類や要件、法律上の注意点が大きく異なります。
本記事では、お酒をネットで売りたい方や輸入・委託販売を検討されている方向けに、酒類販売業免許 の基本から種類、取得要件、手続きの流れ、そして免許取得後に守るべきルールまで、札幌の行政書士が分かりやすく徹底解説いたします。
お酒を販売するには免許が必要? 酒類販売業免許の基本を知ろう
お酒(アルコール分1度以上の飲料)を継続的に販売する場合、原則として酒類販売業免許を取得しなければなりません。これは、酒税の確実な徴収と、酒類の流通過程における適切な取締りを目的として酒税法で定められているルールです。
単発で自宅の不要な古酒を1~2回フリマアプリに出品する程度であれば、事業とはみなされないケースもありますが、営利を目的として継続的に購入・仕入れを行って販売する場合は、個人・法人を問わず必ず免許が必要となります。
「法人化していなければ免許は取れないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、個人事業主であっても法人の場合であっても、要件を満たせば酒類販売業免許を取得することが可能です。
ただし、申請主体が個人か法人かによって、準備する書類(確定申告書や各種証明書、あるいは定款や履歴事項全部証明書など)が異なります。また、法人の場合は事業目的(登記簿上の目的欄)に「酒類の販売」に関する記載があるかどうかも確認されます。
よくある勘違いとして、「居酒屋やバーの営業許可(飲食店営業許可)を持っていれば、お酒の持ち帰り販売やネット販売もできる」という思い込みがあります。
- 飲食店営業許可: 客席でお酒をグラス等に注いで提供し、その場で飲んでもらうための許可。(保健所管轄)
- 酒類販売業免許: 未開封のボトルや缶などの容器のまま、持ち帰り用・通販用として販売するための免許。(税務署管轄)
したがって、飲食店でテイクアウト用にボトルワインやお酒のセットを販売したい場合や、自店舗のWebサイトでボトル販売を行いたい場合は、飲食店営業許可とは別に酒類販売業免許を税務署から取得する必要があります。
もし酒類販売業免許を受けずに酒類の販売業を行った場合、酒税法第56条に基づき、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
無免許販売は非常に重いリスクを伴います。SNSやフリマサイト、自社ECサイトで気軽にお酒の販売を始めてしまい、後から税務署の指摘を受けて違法状態に気づくことのないよう、必ず事業開始前に必要な免許を確認し、正規の手続きを行いましょう。
酒類販売業免許の種類とそれぞれの違い
酒類販売業免許は、大きく分けると「酒類小売業免許」(一般消費者や飲食店などに販売する免許)と「酒類卸売業免許」(他の酒類販売業者に販売する免許)の2つに大別されます。さらにその中で、販売方法や対象によって細かく細分化されています。
一般酒類小売業免許は、店舗を構えて一般消費者や飲食店、旅館などに対して、あらゆる酒類を対面等で店頭販売するための最も基本的な免許です。
いわゆる地域の酒屋さんやリカーショップ、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどが取得している免許がこれに該当します。この免許があれば店舗での対面販売や、自社店舗の近隣区域への配達販売などが可能となります。
通信販売酒類小売業免許は、2以上の都道府県の消費者等を対象として、カタログやインターネット、郵送等の通信手段を用いて酒類を販売するための免許です。
ネットショップやECモール(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど)でお酒を全国に配送して販売したい場合には、この通信販売酒類小売業免許が必須となります。なお、一般酒類小売業免許だけでは、原則として広域なネット通販を行うことはできません。
酒類卸売業免許は、酒類販売業者や酒類製造業者に対して、お酒を卸売りするための免許です。一般消費者や飲食店に売るのではなく、お酒を売るプロ(酒販店やメーカー)に対して販売する場合に必要な免許となります。
卸売業免許は需給調整の観点から審査が非常に厳しく、全酒類卸売業免許や洋酒卸売業免許などの区分が存在します。
海外との取引を行う場合には、卸売業免許の一種である輸出入酒類卸売業免許が必要になるケースがあります。
- 輸入酒類卸売業免許: 自ら輸入した酒類を、日本の酒類販売業者(酒販店や居酒屋などの販売業者)へ卸売りする場合に必要。
- 輸出酒類卸売業免許: 国内の酒類を海外の業者へ輸出して卸売りする場合に必要。
なお、自ら輸入したお酒を直接「一般消費者」にネット通販や店舗で売る場合は、卸売免許ではなく小売免許(通信販売酒類小売業免許や一般酒類小売業免許)が必要になります。この違いは実務上重要です。
このように、免許の種類を判断する際は以下の3つの軸で整理することが鉄則です。
① 誰に売るか 一般消費者・飲食店は小売 / 酒類販売業者は卸売
② どこで売るか 実店舗・単一都道府県内への配達 / 2以上の都道府県へのネット通販
③ どのように調達・販売するか 国内仕入れ / 自社輸入 / 委託販売・代理
間違った免許を申請してしまうと、審査落ちや事業計画の全面見直しになりかねませんので、最初の段階で正確な整理が必要です。
お酒をネット通販で販売するには? 通信販売酒類小売業免許の取得方法
前述の通り、インターネット上でECサイトやオークションサイトを運営し、全国(2以上の都道府県)の消費者を対象にお酒を販売する場合は通信販売酒類小売業免許が必要です。
自社店舗の周辺地域(同一都道府県内の限られたエリア)のみに限定してネット注文を受け付け、自社配達するといった極めて限定的なケースを除き、一般的なネットショップを開設する場合は通信販売酒類小売業免許の取得が前提となります。
通信販売酒類小売業免許を取得すれば「どんなお酒でもネットで自由に売れる」わけではありません。日本の伝統的な酒類製造業者の保護や流通秩序の維持のため、通信販売で取り扱える酒類には制限が設けられています。
通信販売酒類小売業免許で販売できるのは、原則として以下のいずれかに該当するお酒です。
- 品目ご体の年間の課税出荷数量が3,000キロリットル未満の酒類製造者が製造・販売する国産酒類 : いわゆる地酒、クラフトビール、地ワイン、小規模な焼酎蔵のお酒など
- 輸入酒類 : 海外から輸入される酒類全般。数量制限なし
つまり、大手ビールメーカーが製造するメジャーなビール(年間の出荷数量が3,000キロリットル以上のもの)などは、通信販売酒類小売業免許では原則として取り扱うことができません。
国産酒類をネット通販で取り扱う場合、仕入先の製造業者が年間出荷数量3,000キロリットル未満」であることを証明するために、製造業者から「地方税法等に基づく出荷数量証明書」や確認書を取得し、税務署に提出する必要があります。
一方、海外から輸入された酒類(自社輸入または輸入元インポーターから仕入れた外国産酒類)については、この数量制限の適用を受けないため、比較的手続きのハードルが低くネット通販に組み込むことが可能です。
お酒をネットで販売するWebサイトや商品ページには、酒税法および未成年者飲酒防止法に基づき、指定の表記を分かりやすく掲出することが法律上義務付けられています。
① 未成年者の飲酒防止に関する表示
「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」「20歳未満の者に対しては酒類を販売しません」等の明示。
② 購入手続き時の年齢確認機能
注文画面で年齢入力欄やチェックボックスを設けること。
③ 酒類販売業免許に関する標識の表示
販売事業者の名称、免許の名称(通信販売酒類小売業免許)、所轄税務署名、酒類販売管理者の氏名、研修受講年月日などをサイト内の見やすい場所(フッターや会社概要等)に掲載すること。
近年のトレンドとして、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSアカウント、あるいはメルカリやヤフオクなどのプラットフォームを活用して商品をPR・販売するケースが増えています。
しかし、取引を行う場所がSNSやフリマサイトであっても、事業として継続的にお酒を販売するのであれば、全く同じように通信販売酒類小売業免許が必要となります。プラットフォームの規約以前に、酒税法上の違反となるリスクがあるため十分注意してください。
海外のお酒を輸入して販売したい! 必要な免許と手続き
海外のおいしいワインやウイスキー、クラフトスピリッツなどを輸入して日本でビジネスを展開したいというご相談も多数寄せられます。輸入販売を行う場合は、「輸入した商品を誰に販売するのか」によって必要な免許が変わります。
海外の醸造所や蒸留所から自社で直接お酒を輸入し、日本の一般消費者に向けてネットショップや実店舗で販売したい場合は、以下の免許が必要です。
① ネットショップで全国の消費者に販売する場合は 通信販売酒類小売業免許
② 実店舗を開設して店頭で消費者に販売する場合は 一般酒類小売業免許
なお、自社輸入した輸入酒類を一般消費者に直接切り売り(小売)するだけであれば、後述する「輸入酒類卸売業免許」は不要です。
自社で輸入したお酒を、自分で一般消費者に売るのではなく、日本の酒屋・リカーショップ・レストランチェーン・他の酒類卸売業者などの「販売事業者」に卸売りしたい場合は、輸入酒類卸売業免許が必要となります。
卸売業免許の申請には、海外取引先との取引承諾書(インボイスや契約書案)や、日本国内での具体的な販売先(納入先候補)からの取引承諾書などを揃え、事業計画の実現可能性を示す必要があります。
整理すると、以下の表のようになります。
| 免許の種類 | 販売対象 | 輸入したお酒の取り扱い |
| 通信販売酒類小売業免許 | ネット経由の一般消費者 | ◎(ネット通販で小売可能) |
| 一般酒類小売業免許 | 店舗対面の一般消費者・飲食店 | ◎(店頭で小売可能) |
| 輸入酒類卸売業免許 | 酒類販売事業者(酒販店等) | ◎(他の酒販店等へ卸売り可能) |
自社で輸入した商品を「ネット通販でも売りたいし、全国の酒屋さんにも卸したい」という場合は、通信販売酒類小売業免許と輸入酒類卸売業免許の双方(または条件緩和・条件付与の手続き)が必要となります。
お酒を輸入するにあたっては、酒税法上の免許だけでなく、他の法令に基づく輸入手続にも注意が必要です。
① 食品衛生法に基づく届出
お酒は飲料(食品)ですので、厚生労働省(検疫所)へ「食品等輸入届出書」を提出し、安全性の審査や必要に応じた成分検査を受けなければ税関を通せません。
② 関税および酒税の納付
通関時に、関税率表に基づいた関税と、アルコール度数や品目に応じた酒税・消費税を納付する必要があります。
③ 日本語の表示ラベル貼り付け
国内で販売する前に、食品表示法や酒税法に定められた日本語の表示ラベル(原材料、アルコール分、原産国名、輸入者の名称・住所など)を商品ボトルに貼付しなければなりません。
海外の酒類メーカーから仕入れる前に、必ず以下の点を確認してください。
・ メーカー側が成分表や製造工程表(検疫所提出用)を迅速に開示・提供してくれるか
・ 日本国内での独占販売権や契約条件はどうなっているか
・ 輸送時の温度管理(リーファーコンテナの手配等)や破損リスクの補償
免許の審査段階でも「どこの国のどんな商品を、どの程度の数量仕入れる計画か」を提示する必要があるため、海外メーカーとの見込み協議は早めに進めておくことが重要です。
委託販売や販売代行でお酒を売る場合の注意点
「自社で在庫を持たずに、酒蔵から預かったお酒をネットで代行販売したい」「地域の特産品とお酒をセットにして販売代理を行いたい」という場合はどうなるのでしょうか。
委託販売や代理・媒介はお酒の取引において最も法律的トラブルや違法状態が発生しやすい領域です。
一般的な仕入販売は、自社がお酒を購入して所有権を取得し、自社の責任と価格設定で消費者に売却する形態です。 一方、委託販売は、委託者(酒蔵など)から商品の販売を委託され、受託者(代行業者など)が商品を預かって販売し、売上に応じた手数料を得る取引形態を指します。
「当社は商品を預かって配送作業と決済を代行しているだけだから、販売主ではなく、免許も不要では?」と考える方がいらっしゃいますが、これは危険な認識になります。
酒税法上、「実質的に誰が酒類の販売を行っているか」によって厳格に判断されます。たとえ「預かり品」「代行」という名目であっても、受託者が自らの名義で注文を受け、代金を回収し、消費者に商品を発送している場合、受託者自身が酒類の販売を行っているとみなされ、無免許販売として摘発されるリスクがあります。
酒税法第9条および関連通達では、酒類の販売そのものだけでなく、「酒類の販売の代理」や「酒類の販売の媒介(仲介)」を業として行う場合についても、特定の免許(酒類販売代理業免許や酒類販売媒介業免許など)が必要と定められています。
・ 代理: 酒類製造者や販売業者に代わって、契約を成立させる権限を持って取引を行うこと。
・ 媒介: 売主と買主の間に入り、売買契約の成立を仲介・尽力すること。
うちは決済や仕入れを行わず、紹介だけして仲介手数料(キックバック)をもらうプラットフォームだから大丈夫と考えていても、取引の実態やサイト構造によっては「販売の媒介」にあたり、免許が必要と判断されるケースがあります。
委託販売や代行ビジネス、プラットフォーム事業を構想する際は、「商品の所有権はどこにあるか」「売買契約の当事者は誰と誰か」「代金は誰から誰へどう流れるか」「納品書や領収書の発行名義は誰か」を緻密に設計しなければなりません。
- 受託者が売主となるモデル: 受託者自身が通信販売酒類小売業免許を取得しなければなりません。
- 委託者(酒蔵等)が直接の売主となるモール型モデル: サイト上の表示や契約体系を「売主=酒蔵」とし、自社は純粋なシステム提供・広告枠提供に留める必要があります。(ただし、受託側の関与が深すぎると媒介と判断される恐れもあります)
一律に「商品を預かるだけなら大丈夫」「代行なら免許はいらない」と断定することは絶対に避け、実際の契約内容と取引実態に応じて個別に税務署に確認することが不可欠です。
地域おこしや特産品開発の一環で、「地元の道の駅やECサイトで、地酒やクラフトジンを委託販売・セット販売したい」という相談も増えています。
地域活性化の取り組みであっても酒税法の例外規定はありません。商品をセット化して販売する主体が誰になるのか、構成するお酒の製造出荷数量要件をクリアしているかを事前に精査した上で、適切な免許スキームを構築する必要があります。
酒類販売業免許を取得するための要件とは?
酒類販売業免許を取得するためには、酒税法第10条に定められた4つの主要要件(拒否要件)をクリアしなければなりません。税務署の審査では、これらの要件を満たしているかが厳格に調べられます。
申請者(個人事業主、法人の場合は役員全員)が法律上の欠格要件に該当しないことが求められます。
・ 過去に酒税法違反や国税・地方税の滞納処分を受けていないこと
・ 禁錮以上の刑に処せられ、実行を終わった日等から5年を経過していること
・ 未成年者飲酒禁止法や風俗営業法等の特定法令違反で罰金刑を受け5年を経過していること
・ 申請前3年以内に租税の滞納処分を受けていないこと
お酒を販売する拠点(販売場)が適正に確保されている必要があります。
- 申請する販売場が、既存の酒類製造場や他の酒販店、飲食店と明確に区分されていること
- 賃貸物件の場合は、貸主から酒類販売場としての使用許諾(承諾)が得られていること※ 居住専用マンションや公営住宅などは、酒類販売の拠点として認められないケースが多いです
- ネット通販の場合でも、受注業務や在庫管理、帳簿保存を行う事業所(店舗・事務所)の特定が必要です。
事業を健全かつ継続的に運営できるだけの経営基盤を有しているかが審査されます。
- 財務状況: 直近の決算書において、繰越欠損金が資本金を上回っていないこと(債務超過でないこと)、直近3期連続で資本金の額の20%を超える事業損失(赤字)を出していないこと。
- 資金力: 事業開始に必要な資金(仕入資金、設備資金、運転資金など)が自己資金や融資によって確保されていること。
- 経験・知識: 申請者や経営担当者が、酒類の販売業務に直接従事した経験があること、または酒類業団体の講習を受けるなどして、酒類販売に必要な十分な知識・経験を有していると認められること。
酒類の需給の平衡を害する恐れがないかが確認されます。 例えば、設立されたばかりの会社や新しく事業を始める個人事業主の場合、具体的な「取引先(仕入先および販売先)との見込み」や「詳細な収支計画」を提出し、事業が実効性を持つことを証明する必要があります。
- 個人事業主: 過去3年分の確定申告書、所得証明書、住民票、資産状況を証明する預金残高証明書などが中心となります。経験要件を満たすための経歴書も重要です。
- 法人: 直近3期分の決算書(新設法人の場合はオープニングバランスの貸借対照表)、定巻の原本証明、履歴事項全部証明書、役員全員の身分証明書などが必要となります。事業目的に「酒類の販売」が含まれているか必ず事前に確認してください。
酒類販売業免許の申請手続きと必要書類
酒類販売業免許を取得するまでの手続きの流れと、必要な期間・費用について説明します。
申請を行う場所は、販売場(店舗・事務所)の所在地を管轄する税務署の「酒類指導官設置署」です。 いきなり完成した申請書を持ち込むのではなく、事前に事業計画の構想(どんなお酒を、どこから仕入れて、誰に、どうやって売るのか)をまとめた上で、担当の酒類指導官へ事前相談を行うのが一般的です。
税務署との協議を踏まえ、具体的な事業計画を作成します。
- 今後1〜3年間の販売数量・売上高・仕入高の見込み
- 必要な初期費用(サイト構築費、仕入費、備品代)と資金調達方法
- 仕入予定先からの「出荷数量証明書」や「取引承諾書」の取り付け
提出する書類は多岐にわたります。主な必要書類は以下の通りです。
- 酒類販売業免許申請書、次表(販売場の敷地の状況、建物の配置など)
- 酒類の販売業態等に関する申告書
- 事業の概要、法人の定款・履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 役員・申請者の履歴書、身分証明書、誓約書
- 直近3期分の決算書または確定申告書
- 預金残高証明書(資金力を証明するため)
- 土地・建物の登記事項証明書、賃貸借契約書および酒類販売用の使用承諾書
- 販売サイトのレイアウト図・仕様書(通信販売の場合)
- 地方税の納税証明書
書類一式が整ったら、所轄税務署へ正式に提出(申請)します。補正や追加書類の求めがあれば速やかに対応します。
① 標準審査期間: 申請完了から約2ヶ月程度かかります。時期や補正の有無によってはさらに伸びることもあります。
② 登録免許税: 免許が交付される際、法定費用として以下の登録免許税を納付します。
・ 小売業免許(通信販売・一般):1件につき 30,000円
・ 卸売業免許(輸入酒類卸売等):1件につき 90,000円
申請準備から審査完了・免許交付まで、トータルで3ヶ月〜4ヶ月程度の期間を見込んでスケジュールを組む必要があります。
免許取得後も注意! 酒類販売事業者が守るべきルール
無事に酒類販売業免許を取得した後も、酒類販売事業者には酒税法や関連法令に基づき、継続的に遵守すべき義務があります。
酒類販売業者は、販売場ごとに「酒類販売管理者」を解任・選任しなければなりません。
- 免許受領後、事業開始までに酒類販売管理者を選任し、税務署へ届出を行います。
- 酒類販売管理者は、財務大臣が指定する「酒類販売管理研修」を受講させる義務があり、その後も3年ごとに再受講させなければなりません。
20歳未満の者の飲酒防止は非常に強い社会的要請があります。 ネット通販であれば注文時の年齢入力・確認システムの運用、対面販売であれば会計時の年齢確認徹底など、実効性のある年齢確認体制を維持し続けないと、行政指導や免許取消しの対象となります。
ネットショップやパンフレットなどの広告物には、前述した「20歳未満の飲酒防止に関する表示」や酒類販売事業者標識を常に正しく掲載しておかなければなりません。サイト改修などで表示が消えてしまわないよう定期的な点検が必要です。
酒類販売業者は、酒類の取引に関して以下の事項を記入した帳簿を備え付け、5年間保存しなければなりません。
- 仕入れた酒類の種類、品目、数量、仕入先、仕入年月日、仕入価格
- 販売した酒類の種類、品目、数量、販売先、販売年月日、販売価格
また、毎年4月1日〜翌年3月31日までの1年間における酒類の販売数量等をまとめた「酒類の販売数量等報告書」を、毎年4月30日までに所轄税務署長へ提出する義務があります。
免許取得後に「店舗販売だけだったがネット通販も始めたい」「国産酒だけでなく自社輸入酒の卸売りも始めたい」「販売場を移転したい」といった変更が生じる場合は、あらかじめ条件緩和申請や販売場の移転許可申請手続きを行い、許可・手続完了後に実施する必要があります。
酒類販売業免許でよくある疑問・失敗事例
免許を取る前にネットショップを公開してもよい?
原則として不可(または販売不可の明示が必要)です。 免許が下りる前にネットショップを公開し、注文を受け付けたり事前予約・決済を行ったりすると、無免許販売とみなされるリスクがあります。事前準備としてテストサイトを作成する場合でも、非公開設定にするか、「現在免許申請中であり注文受付はできません」等の措置をとる必要があります。
自宅を事務所にして酒類販売業を始められる?
条件を満たせば可能ですが、ハードルはやや高めです。 自宅兼事務所で申請する場合、以下の点が厳しく審査されます。
- 賃貸物件や分譲マンションの場合、管理組合やオーナーから「酒類販売事業の拠点として使用すること」の承諾が得られているか
- 住居スペース(生活空間)と事業用スペース(事務所・在庫保管場所)が明確に区分・独立しているか
単に自宅のパソコン1台でやるからという理由だけでは使用承諾や独立性の証明ができず、要件不適合となるケースが多いため事前確認が必要です。
すでに小売業免許があれば通販もできる?
できません。 過去に店舗での「一般酒類小売業免許」を取得している事業者であっても、2以上の都道府県を対象にネット通販を行う場合は、別途「通信販売酒類小売業免許」を取得するか、現在の免許の「条件緩和申請」を行って通信販売の権限を追加する必要があります。
仕入先や販売先を変更するときに注意すること
特に通信販売酒類小売業免許の場合、取扱可能な国産酒類は「年間出荷数量3,000キロリットル未満の製造者」に限られます。新たな地酒メーカーやクラフトビール醸造所から仕入れる際は、都度そのメーカーの出荷数量証明書等を取り付け、要件を満たしているか確認する運用が必要です。
申請準備の遅れや事業計画の不備を防ぐには
よくある失敗事例として、以下のようなものがあります。
- ECサイトの構築を先に終わらせたが、免許申請が通らずサイト開設が数ヶ月遅れた
- 仕入先との契約を結んだが、対象のお酒が通信販売の制限枠(3,000kl超)にかかっており販売できなかった
- 賃貸オフィス契約後に、オーナーから「酒類販売の使用承諾書」が出せないと言われた
これらはすべて「事前確認不足」が原因です。物件契約やシステム投資を行う前に、免許の要件を精査することが大成功の鍵となります。
札幌で酒類販売業免許の取得を検討している方へ
事業内容に合った免許を開業前に確認しましょう
酒類ビジネスは、扱う商品(地酒、ワイン、輸入酒等)やターゲット(一般消費者、飲食店、全国のユーザー)、販売手段(店舗、自社EC、モール、委託)によって、取得すべき免許のルートが全く異なります。 「まずはやりたいビジネスモデル」を明確にし、どの免許が当てはまるのかを開業準備の最初期に確定させましょう。
通販・輸入・委託販売は事前の計画と契約確認が重要
特に通信販売、輸入販売、委託販売・販売代理の3つは、通常の店舗販売に比べて関係法令や契約関係が複雑です。
- 製造メーカーからの証明書発行協力
- 海外取引先とのインボイス・成分表の準備
- 委託販売における売主の特定と契約書の整備
これらを抜け漏れなく進めるためには、綿密なスケジューリングと税務署との事前協議が欠かせません。
行政書士に相談するメリットとサポートできる業務
酒類販売業免許の手続きを行政書士に依頼・相談することで、以下の大きなメリットが得られます。
- 最適な免許区分の判断: 事業構想をヒアリングし、法的に安全で最もスムーズな免許の種類を提案します。
- 税務署(酒類指導官)との事前協議代行: 要件の確認や事業計画の説明を専門家が代行・同行します。
- 複雑な申請書類・事業計画書の作成: 収支計算や見込み数値の裏付け、建物配置図やサイト仕様書の作成を確実に行います。
- 関連契約や表示のチェック: ECサイトの表示義務違反や、委託販売における違法リスクを回避するためのアドバイスを行います。
本業の開業準備(商品仕入れ、サイト構築、マーケティングなど)に集中しながら、失敗のないスムーズな免許取得を目指すことが可能です。
酒類販売業免許の取得を検討している方はお気軽にご相談ください
当事務所(札幌市)では、酒類販売業免許の新規取得、通信販売への参入、海外酒類の輸入販売、各種条件緩和申請など、酒類ビジネスに関する許認可手続きを幅広くサポートしております。
「自社の計画で免許が取れるか知りたい」「何から手をつければいいかアドバイスがほしい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。お客様のビジネスのスタートダッシュを全力でバックアップいたします。
■ 札幌での各種許認可申請のご相談なら
札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、各種許認可申請に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、面倒な手続きをサポートいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
※ なお、紛争の解決についてはうけたまわれません。
【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所
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