【共同親権を選んで後悔?】離婚前に決めておくべき10のこと 《札幌の行政書士が解説》

民法改正により、いよいよ日本でも「選択的共同親権」が導入されました。これまで日本の離婚後の親権は、父親か母親のどちらか一方のみを親権者とする「 単独親権 」に限られていましたが、改正後は離婚時に父母が話し合って「 共同親権 」か「 単独親権 」を選択できるようになります。

このニュースを聞いて、これから離婚をせざるを得ない方は、新制度に不安を感じていると思います。

・ 離婚後も子どもにとって良い父親・母親でいたいから共同親権にしたいけれど、後から揉めたり後悔したりしないか心配…」

・ 元配偶者と連絡を取り続けるのがストレスになりそう

・ 共同親権にしたら、学校の手続きや習い事を決めるたびに元配偶者の同意が必要になるの?

離婚時は「お互いに子どものために協力しよう」と納得して共同親権を選んだつもりでも、将来的な取り決めが曖昧なままだと、後になって「こんなはずじゃなかった」「単独親権にしておけばよかった」と大きな後悔につながるリスクがあります。

本記事では、共同親権の基本的な仕組みから、共同決定が必要な場面・不要な場面、共同親権を選んで後悔しやすいケース、そして後悔しないために離婚前に絶対に決めておくべき10の事項について、行政書士の視点から分かりやすく解説します。

目次

共同親権とは? 改正民法のポイント

まずは、改正民法によって導入される「共同親権」とはどのような制度なのか、概要を整理しておきましょう。

単独親権と共同親権の違い

これまでの日本の民法では、婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は必ずどちらか一方を親権者と指定しなければなりませんでした(単独親権制)。

改正民法下では、離婚する際に父母の協議(話し合い)によって、「共同親権」とするか「単独親権」とするかを選択できるようになりました。

共同親権を選んだ場合の子育て

共同親権を選んだ場合、離婚後も父母の双方が子どもの親権者となります。つまり、子どもの成長に関わる重要な権利や義務(法定代理権や監護教育権など)を、離婚後も二人で分担して保持することになります。

ここで誤解されやすいのが、「共同親権=同居」ではないということです。離婚後、子どもが父母双方の家を半分ずつ行き来して暮らすわけではありません。原則としてどちらか一方の親が「監護者(主に子どもと一緒に暮らして世話をする親)」となり、日々の生活を送ることになります。

なぜ共同親権で「後悔」が生じるのか?

「離婚後も二人で子どもの将来を考えていける」というメリットがある一方で、元夫婦という関係性が崩れた二人が、子どもの重要事項について継続的に意見をすり合わせなければならない点が最大の難しさです。

取り決めが不十分なまま共同親権を選択してしまうと、「進学先が決まらない」「急な手続きが進まない」「いちいち連絡をとるのが苦痛」といったトラブルに直面し、結果として後悔することになってしまうのです。

共同親権で共同決定が問題になる具体的な場面

共同親権を選択した場合、子どもの人生に関わる「重要事項」については、原則として父母が二人で協議し、共同で決定(合意)しなければなりません。どのような場面で協議が必要になるのか、具体例を見ていきましょう。

1. 進路・教育に関する事項

① 学校の選択 私立学校を受験するか、公立に通わせるか

② 進学・留学 高校・大学への進学や、海外留学の決定

③ 塾・習い事・部活動 費用が高額になる習い事や、生活リズムが大きく変わる活動

教育方針の違いは、婚姻中であっても夫婦間で意見が分かれやすいポイントです。離婚後に感情的な対立が残っていると、「元夫(妻)が進学に反対して願書が提出できない」「勝手に私立受験を決められて費用を請求された」といったトラブルに発展しやすくなります。

2.医療・健康に関する事項

① 重大な手術・治療 難病の治療や、全身麻酔を伴うような大きな手術の同意

② 持病の治療方針 自由診療や先進医療を受けるかどうか、精神科・心療内科への通院

日常的な風邪薬の処方や予防接種などは一人で判断できますが、長期的な治療や生命・体に影響を与える重大な医療行為については、原則として双方の同意が求められます。

3.居住地の変更(引っ越し)

① 転 居 札幌市内での引っ越し、北海道外や国外への引っ越し

子どもを連れて遠方に引っ越すことは、もう一方の親との交流頻度(親子交流・面会交流)に直結します。そのため、居住地の変更も重要事項となり、他方の同意が必要となるケースが一般的です。「実家に帰りたい」「転職のために引っ越したい」という場合に、元配偶者から反対されて身動きが取れなくなるケースが懸念されます。

4.財産管理・契約行為

① パスポートの発行・更新

② 子どもの名義での口座開設や契約

③ スマホの契約や高額なローンの契約(代理行為)

特にパスポートの発行申請では、親権者双方の署名や同意が求められます。海外旅行や留学の直前になって「同意書にサインしてくれない」というトラブルが発生するリスクがあります。

一人で決められる 「日常的なこと」&「急迫の事情」

「共同親権にしたら、子どものこと全般について毎回元配偶者の許可を取らなければいけないの?」と不安に思う方も多いでしょう。しかし、すべての事柄に共同決定が必要なわけではありません。

民法上、「日常の行為」や「急迫の事情があるとき」については、同居している親(監護者)が単独で決定してよいとされています。

1.単独で決められる「日常の行為」とは?

日々の生活に密着した細かな決定や、子どもの監護教育において日常的に繰り返される行為については、監護親が一人で決めることができます。

  • 日常の食事や衣類の購入
  • 日帰りのお出かけ・習い事の送迎
  • 風邪や軽微なケガでの近所のクリニック受診・服薬
  • 通知表の確認や学校の日常的な連絡への対応
  • 短期のレジャーや友人との外出

これらにいちいち元配偶者の同意を得る必要はありません。日々の生活リズムや監護権に基づく判断は、同居している親の裁量に委ねられています。

2.「急迫の事情」がある場合

子どもの生命・身体・財産に切迫した危険があり、もう一方の親の同意を待っている余裕がない緊急事態においては、単独で判断・行動することが認められます。

  • 急病や重大な交通事故による緊急手術・応急処置
  • 災害時における緊急避難や避難先への移動
  • いじめや虐待等から子どもを守るための緊急的な転校・退避

このように、緊急時には子どもの安全が優先されます。

共同親権を選ぶと後悔しやすい家庭の特徴

共同親権は「父母が協力して子育てを継続する」という理想的な制度である反面、すべての元夫婦に適合するわけではありません。以下のような状況にある場合、共同親権を選択するとトラブルが多発し、後悔する可能性が高くなります。

1.DV(家庭内暴力)やモラハラがあった家庭

相手方から身体的・精神的な暴力を受けていた場合、離婚後も共同決定のために連絡を取り続けること自体が大きな苦痛となり、対等な話し合いが不可能です。相手が拒否権(親権)をカードにして、支配・嫌がらせを継続する道具として悪用するリスクがあります。

※ 民法改正においても、DVや虐待の恐れがある場合は裁判所が「単独親権」と定めることとされています。

2.協議・コミュニケーションがまったく成り立たない

婚姻中から冷静な話し合いができず、感情的な罵り合いになるような関係性の場合、離婚後に子どもの進路や医療について円満に合意することは極めて困難です。連絡を無視されたり、嫌がらせ目的で反対されたりして、子どもの手続きが停滞してしまいます。

3.子育てに関する価値観・教育方針が真逆の考え

「絶対に私立進学・早期英才教育」と考える親と、「公立で自由にのびのび育てるべき」と考える親など、価値観が根本から対立しており、妥協点が見出せない場合も注意が必要です。離婚によってその溝が埋まることは稀であり、決断のたびに激しい対立が生じます。

4.感情的な対立(執着・復讐心)が残っている

離婚の原因(不貞行為や金銭問題など)により、相手に対する強い怒りや憎しみが残っている場合、相手を困らせるために「同意しない」という選択をとられる危険があります。

こうした懸念が強い場合は、安易に共同親権を選ばず、単独親権を選択するか、どうしても共同親権にするのであれば離婚協議書で極めて細かくルールを定めておくことが不可欠です。

【重要】 離婚前に決めておきたい10のこと

共同親権を選んで後悔しないためには、離婚成立前に「誰が何をどこまで決めるのか」「意見が対立したときにどうするのか」を具体的に取り決め、書面(離婚協議書・公正証書)に残しておくことが絶対条件です。

特に決めておくべき10の重要事項をまとめました。

それぞれの詳細を解説します。

1.主たる監護者(同居親)と居住地の指定

共同親権であっても、子どもが主にどちらの親と暮らし、拠点を置くのか(主たる監護者)を明確に定めます。また、現在の居住エリア(例:札幌市中央区内、札幌市内など)を定めておくことで、子どもの生活基盤を安定させます。

2.教育・進路に関する基本方針と決定プロセス

「高校までは原則として地元の公立校」「私立受験をする場合はいつまでに協議を開始するか」「塾の費用負担はどうするか」など、教育に関する基本路線を定めておきます。さらに「申請から○日以内に返答がない場合は同意したものとみなす」といった期限のルールを設けることが有効です。

3.医療・健康管理に関する判断基準

持病の治療方針や、自由診療、矯正歯科治療などを開始する際の判断基準と費用負担について取り決めます。「主治医の診断・指示に従うこととし、監護親が最終決定権を持つ」といった条項を入れておくとスムーズです。

4.引っ越し・転居時の通知と同意のルール

「通学区域内での転居は事前通知のみで可」「北海道外への引っ越しは○ヶ月前の事前協議・同意が必要」など、範囲に応じたルールを設定します。無断での連れ去りや、理不尽な引っ越し拒否を防ぐために非常に重要な項目です。

5.パスポート発行・海外渡航の同意基準

修学旅行や家族旅行、短期留学などで海外へ渡航する際の、パスポート発行申請への協力義務や同意のプロセスを定めておきます。「事前に行程表を提示した上で、合理的な理由がない限り同意・署名しなければならない」といった文言を盛り込みます。

6.宗教・思想・特定の活動に関する取り決め

特定の宗教活動への入信や参列、政治的活動、モデル・芸能活動などについて、子どもの参加をどう扱うかを取り決めておきます。後々の価値観の衝突から子どもを守るために有効です。

7.意見が対立・連絡不能になった際の解決ルール(裁量権の所在)

協議を行っても意見がまとまらない場合や、相手と連絡が取れなくなった(音信不通)場合のデッドロック解消ルールです。「一定期間協議が調わない場合は、主たる監護者の判断を優先する」あるいは「家庭裁判所の調停へ移行する」などの決まりを事前に文書化しておきます。

8.連絡方法・頻度・連絡手段の制限

「子どもの件に関する連絡は専用の連絡用アプリ(またはメール)のみで行う」「深夜の電話や関係のない雑談・不満の連絡は控える」など、コミュニケーションの窓口を一本化・ルール化します。これにより、相手からの不要な接触やストレスを最小限に抑えることができます。

9.養育費の金額・支払期日・負担割合

子どもの生活費や教育費の分担について、具体的な金額・口座・支払日を定めます。進学時などの「特別加算費用」の負担割合についても明確にしておく必要があります(詳細は後述)。

10.親子交流(面会交流)の具体的なルール

別居親と子どもがいつ、どのくらいの頻度で、どのような方法(直接対面、オンライン、宿泊の有無など)で会うのかを具体的に設定します(詳細は後述)。

養育費と親子交流(面会交流)の落とし穴

共同親権に関して最も多い勘違いの一つが養育費と親子交流(面会交流)に関するものです。

「共同親権だから養育費は払わなくていい」は大きな間違い!

時折、「共同親権にして二人で親権を分け合うのだから、お互いに養育費を支払う必要はないのではないか」「養育費を請求しない代わりに共同親権にする」とおっしゃる方がいます。

これは完全な誤解です。

共同親権であっても、子どもと同居して日々の面倒を見る「監護親」と、別居して生活を送る「非監護親」という関係は変わりません。子どもを養育する義務(生活保持義務)は父母双方にあります。

日々の食事代、光熱費、衣服費、学用品費などを実際に支払って子どもを育てているのは同居している親です。したがって、共同親権を選択した場合であっても、非監護親から監護親への養育費の支払いは当然に必要となります。

養育費の取り決めで書いておくべきポイント

  • 毎月の支払額(算定表をベースに決定)
  • 支払期日(例:毎月月末限り)と振込口座
  • 支払期間(例:子どもが20歳に達する月まで、または大学を卒業する3月の終わりまで)
  • 特別費の負担(入学準備金、医療費、塾代などが発生した際の負担割合)

親子交流(面会交流)のルール化

共同親権下での親子交流は、単なる「親の権利」ではなく、「子どもの健やかな成長のためのもの」として位置づけられます。お互いに感情的な対立があっても、子どもが安心して双方の親と関われる環境を作ることが重要です。

面会交流の具体的ルール例

  • 頻 度 月○回程度(例:月1回、毎月第2土曜日など)
  • 時 間 ○時〜○時まで(宿泊を伴うかどうか)
  • 場 所 札幌市内の公園、ショッピングモール、または面会交流支援機関の利用
  • 連絡方法 日程調整は○日前までに連絡アプリを通じて行う
  • 学校行事への参加 運動会や学習発表会などの見学を認めるか否か
  • 長期休暇の扱い 夏休みや冬休み(年末年始)の宿泊交流の有無

ルールをあいまいに「協議の上、適宜実施する」とだけ書いておくと、離婚後に「今月は会わせない」「急に明日会わせろと言われた」といったトラブルに発展します。できる限り具体的な条件を落とし込んでおくことが、お互いのストレス軽減につながります。

行政書士がお手伝いできること

離婚を決意し、条件交渉や書類作成を進めるにあたり、「専門家に頼みたいけれど誰に相談すればいいかわからない」という方も多いでしょう。

法的なサポートを行う専門家には主に「行政書士」と「弁護士」がいます。それぞれの得意分野を理解し、ご自身の状況に合わせて活用することが大切です。

私たち行政書士は、「予防法務(トラブルを未然に防ぐための書類作成)」のプロフェッショナルです。

1.離婚協議書の作成・リーガルチェック

夫婦間で話し合って決めた内容を、法的効力のある文章(契約書)として落とし込みます。 当事者同士で作成したメモ書きや口約束では、法律用語として不完全であったり、曖昧な表現によって後から解釈の違いが生じたりすることが多々あります。行政書士は、将来のトラブル(共同親権における合意形成の不備など)を予測し、抜け漏れのない離婚協議書を作成します。

2.公正証書(離婚給付等契約公正証書)の作成手続き代理・サポート

離婚協議書は、公証役場で「公正証書」にしておくことを強くお勧めします。 特に養育費の支払いについては、公正証書に「強制執行認諾条項(支払いが滞った場合、裁判を経ずに相手の給与や口座を差し押さえられる規定)」を入れておくことで、不払いのリスクを大幅に減らすことができます。

行政書士は、公証人との事前打ち合わせや必要書類の収集、案文の作成、公証役場への同行・代理提出などをトータルでサポートいたします。

3.双方の合意がある場合の円満な手続き推進

夫婦間である程度話し合いができており、「争いたいわけではないが、子どものためにしっかりとした取り決めを書面に残して円満に離婚したい」というケースにおいて、行政書士は極めて親和性が高く、費用を抑えてスムーズな手続きが可能です。

弁護士に相談・依頼すべきケース

行政書士は「書類作成」の専門家であり、代理人となって相手方と交渉したり、裁判所での調停・裁判の代理人を務めたりすることは法律上できません(弁護士法72条違反となるため)。

そのため、以下のような状況にある方は、行政書士ではなく弁護士へご相談されることを強くお勧めします。

弁護士への相談が必要なケース

  • 相手と直接話し合いができない(感情的な対立が激しい、音信不通など)
  • 相手が離婚や条件提示に一切に応じず、交渉を代理してほしい
  • DVやモラハラがあり、直接の接触や連絡が危険・困難である
  • 相手が親権争い(単独親権の主張)で譲らず、裁判所での調停・裁判が必要である
  • 財産分与や慰謝料の金額について激しい争いがある

すでに争いが顕在化しており、相手との交渉をすべて任せたい場合や、裁判所を挟んだ手続き(離婚調停・離婚訴訟)になる場合は、弁護士の領域となります。

※ 当事務所では、ご相談の段階で弁護士の介入が必要と判断した場合には、信頼できる札幌市内の提携弁護士や法律事務所をスムーズにご紹介する体制を整えております。

まとめ ~ 離婚協議書の作成はプロの行政書士に!

選択的共同親権の導入により、離婚後の子育ての選択肢が広がった一方で、「取り決めの曖昧さ」から生じるトラブルや後悔のリスクも確実に高まっています。

共同親権を選んで後悔しないための最大の防衛策は、「離婚する前の冷めて冷静な状態のときに、子どもの将来に関するルールを徹底的に具体化し、公的な書面にしておくこと」です。

感情的になりがちな離婚の手続きにおいて、当事者だけで10の重要事項をはじめとする複雑な取り決めを漏れなく話し合い、法的に不備のない文章に仕上げることは決して容易ではありません。

  • 共同親権にしたいけれど、どんな条項を入れておけば安心か分からない
  • 札幌で信頼できる専門家に離婚協議書の作成を頼みたい
  • 養育費の不払いを防ぐために、しっかりした公正証書を作りたい

このようにお悩みの方は、ぜひ一度、家族法務の得意な行政書士にご相談ください。

当事務所では、札幌市および近郊(江別市、北広島市、恵庭市、千歳市など)を中心に、公正証書作成のご相談を承っております。

お一人でお悩みを抱え込まず、まずはお気軽にお問い合わせください。お子様とあなた自身の笑顔ある新しいスタートのために、プロの行政書士が親身になってサポートいたします。

■ 札幌での様々なご相談なら

札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、札幌市内の様々なご相談を承っております。

40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。

※ なお、紛争の解決についてはうけたまわれません。

【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所

  • 所在地:札幌市東区
  • 対応エリア:札幌市内および近郊エリア(出張相談も承ります)
  • 営業時間:平日 9:00〜18:00(※事前の予約で土日祝や夜間も対応可能です)

※ お電話でのお問い合わせにつきましては、当方留守の場合は必ず、留守電にお名前・ご用件(例 相続について相談したい)をお知らせください。

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