札幌の冬は、美しい雪景色とともに厳しい寒さと膨大な積雪をもたらします。毎日の除雪作業は、快適で安全な生活を送るために欠かせない日課です。しかし、それに伴って毎年数多くの雪に関するトラブルが発生しています。
「頼んでいた除雪業者が全然来ない」「作業中に車庫の壁を傷つけられた」「隣の家から屋根の雪が崩れ落ちて車が凹んだ」「敷地の雪を道路に出された」など、トラブルの内容は多岐にわたります。
こうした雪の問題は、単なるマナー違反や感情的な対立にとどまらず、契約上の不履行や民法上の賠償責任といった法律問題へ容易に発展します。
本記事では、札幌の行政書士が、除雪トラブル・排雪トラブル の基礎知識から契約時の確認ポイント、近隣との雪害問題、損害賠償の考え方、そして万が一トラブルが起きた際の対処法まで、わかりやすく徹底解説いたします。冬本番を迎える前、あるいはトラブルでお困りの際に、ぜひ参考にしてください。
札幌の冬に増える除雪トラブル! 雪をめぐる問題は他人事ではない
札幌市は、人口190万人を超える大都市でありながら、年間累計降雪量が約5メートルにも達する世界有数の豪雪地帯です。戸建て住宅はもちろん、マンションの駐車場や店舗の敷地など、積もった雪を放っておくと車が出せなくなったり、歩行者が危険にさらされたりするため、除雪・排雪は日々の必需業務となります。
近年、高齢化や共働き世帯の増加に伴い、民間の除雪・排雪業者に作業を依頼するご家庭や事業所が増加しています。しかしその一方で、「思っていた日時に作業に来ない」「作業内容が不十分」「途中で連絡が取れなくなった」といったトラブルも増えています。
その背景には、ドカ雪(短時間での記録的な大雪)による業者のキャパシティオーバーや、事前の契約内容(作業条件や回数)に関する認識のズレがあります。
また、業者との契約トラブルだけでなく、近隣住民同士の雪をめぐるトラブルも後を絶ちません。
・例1: 隣の家が敷地の雪を我が家の敷地境界付近へ押し出してくる。
・例2: 隣家の屋根から落雪があり、自家用車やカーポートが破損した。
・例3: 自宅前の道路に雪を放置され、車の出し入れや歩行者の通行が妨げられている。
札幌の住宅街では敷地が限られていることも多く、雪の置き場(堆積場)を確保することが難しいため、トラブルが起きやすい構造になっています。
ご近所同士のお互い様で済めば理想的ですが、建物や車が破損したり、怪我人が出たり、高額な契約金を支払ったのに作業が行われないといった事態になると、もはやマナーの域を超えます。契約違反(債務不履行)や民法上の不法行為責任、工作物責任といった、明確な法律上の責任問題へ移行することになります。
本記事では、こうしたトラブルに巻き込まれないための予防策(契約書の重要性や事前の話し合いなど)と、実際に問題が発生してしまった場合の法的考え方や具体的な対処法を解説していきます。
除雪・排雪・屋根の雪下ろしは何が違う? 契約前に知っておきたい基礎知識
トラブルを防ぐための第一歩は、依頼する「作業の用語と内容」を正確に理解しておくことです。
除雪と排雪の違い
一般的に、雪に関する作業は以下のように区分されます。
・除雪:積もった雪を寄せたり、退かしたりして通路や駐車スペースを確保する作業。
・排雪:寄せ集められた雪をダンプカーなどの車両に積み込み、指定された雪堆積場へ
運び出す作業。
敷地内の雪を移動させる作業と、雪を敷地外へ運び出す作業の違い
除雪のみを依頼した場合、雪は敷地内の端や隅に寄せられるだけで、雪そのものは敷地内に残ります。そのため、降雪が続くと雪山が大きくなり、敷地を圧迫します。一方、排雪は敷地外へ運んで処分するため敷地が広く保たれますが、運搬費用や処分費用がかかるため費用感が異なります。
除雪を頼んだのに雪山が残っているという不満は、この作業定義の認識違いから生じることが多いため注意が必要です。
屋根の雪下ろしと落雪対策
◉ 屋根の雪下ろし
危険を伴う高所作業であり、屋根に積もった重量のある雪を地上へ落とす作業。
◉ 落雪対策
屋根に雪止め金具を設置したり、無融雪屋根(ダクト屋根)へ改修したり落雪防止ネットを設置する予防措置。
屋根の雪下ろしは通常の平面除雪とは危険度も使用機材も異なるため、別料金・別契約となるのが一般的です。
個人の除雪業者、専門業者、管理会社など依頼先による違い
依頼先によっても特徴が異なります。
① 地元の個人事業者・便利屋
柔軟な対応が期待できる反面、損害賠償保険への加入状況や契約書の作成があいまいな場合があります。
② 建設会社・除排雪専門業者
重機を保有しており大規模な排雪に強いですが、大雪時には公共除雪等に追われて個人宅への対応が遅れることがあります。
③ マンション・賃貸の管理会社
契約主体は管理組合やオーナーとなるため、個人の都合での交渉が難しい場合があります。
依頼する作業内容を明確にすることがトラブル防止の第一歩
「どこまでの範囲を」「どの状態にするのか」という作業内容を明確にし、お互いの認識を揃えておくことが、後々のトラブルを防ぐ最大のポイントです。
除雪業者との契約で注意したい料金・作業範囲・回数・返金条件
業者と契約を結ぶ際には、後から「こんなはずじゃなかった」とならないよう、契約条件を細かくチェックする必要があります。
シーズン契約と都度払いの違い
① シーズン契約(定期契約)
12月〜3月などの一定期間に対し、定額(例:年間○万円)を支払う方式。降雪量が多くても追加費用がかからないメリットがある反面、暖冬で降雪が少なくても返金されないのが一般的です。
② スポット契約(都度払い)
依頼した回数や、出動1回あたりで料金を支払う方式。必要なときだけ頼める反面、大雪の時期は予約が殺到して断られるリスクがあります。
契約料金に含まれる作業と追加料金が発生する作業
契約金額にどこまでの作業が含まれているかを必ず確認してください。
・ 玄関前から道路までの通路幅は何メートルか?
・ 自家用車○台分の駐車スペースが含まれているか?
・ 敷地外への排雪費用は含まれているか?
・ 規定の降雪量を超えた場合や、暴風雪後の緊急出動に追加料金が発生するか?
除雪に来るタイミングや降雪量などの実施条件
シーズン契約であっても、毎日必ず来るわけではないケースが多々あります。「降雪量が○cm以上積もった日の朝8時までに実施する」「大雪警報発令時は翌日対応になる」といった、具体的な出動基準や優先順位を契約書で確認しておきましょう。
排雪回数、雪の運搬先、作業対象となる場所の確認
排雪契約の場合、「シーズン中○回」という回数制限が設けられていることが一般的です。また、作業の際に雪を寄せる一時集積場所がどこになるのか、隣の敷地や道路にはみ出さないかといった事前打ち合わせも不可欠です。
業者が来なかった場合や契約を途中で解約する場合の返金条件
大雪が続いたのにまったく除雪に来なかったという事態が発生した際、中途解約ができるのか、不履行分の料金が返金・減額されるのかといった規定(契約解除条項および返金特約)の有無を確認することが重要です。
口約束だけに頼らず、契約書や作業内容を記した書面を残す重要性
「毎朝綺麗にしておくから大丈夫!」といった口約束は、後で言った言わないの平行線になりがちです。見積書、仕様書、契約書、または確認メールなど、必ず文字として残る書面で契約内容を保管してください。
除雪に来ない、作業が不十分、連絡が取れない! 契約トラブルへの対処法
もし実際に業者との間で契約トラブルが発生してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
契約したのに除雪に来ない場合の対応
まずは契約書(または見積書や確認メール)の出動条件を再確認してください。「降雪量○cm以上」という条件を満たしているか確認した上で、電話やメールで業者へ連絡し、状況を照会します。単なるルートの遅れなのか、車両トラブルなのか、あるいは意図的な不履行なのかを把握します。
作業が不十分だった場合に確認すべきこと
「指定した範囲が除雪されていない」「雑な作業で車が出せない」といった場合は、作業直後の現場状況を多角的に写真撮影し、記録に残します。その上で、契約時の作業範囲の取り決めと照らし合わせ、具体的にどの部分の修正を求めるのかを冷静に伝えます。
返金を求める際に確認したい契約条件
全く出動しなかったり、契約通りの回数を消化しなかったりして返金を求める場合、契約書に「不可抗力条項(大雪や災害時の免責)」や「中途解約・返金規定」がどのように記載されているかが争点となります。
業者と連絡が取れなくなった場合の記録や証拠の残し方
シーズン途中で業者と電話がつながらなくなり、事務所も不在になるといった悪質なケースも存在します。この場合は、以下の対応を実施します。
① 発信履歴やメールの送信履歴を保存する。
② 除雪されていない日付ごとの自宅前の写真を撮影する。
③ 契約履行を促す文書(催告書)を書面やメールで送付する。
写真、契約書、領収書、メールなどを保管する方法
トラブル交渉や後述の相談窓口を利用するにあたり、証拠資料の整理が不可欠です。
・ 契約関係書類: 契約書、見積書、領収書、パンフレット
・ やり取りの記録: メール、LINE、電話のメモ(日時と会話内容)
・ 現場の状況: 日付入り写真、積雪の深さがわかる写真
札幌市の消費生活相談窓口など、困ったときの相談先
当事者同士での解決が困難な場合、一人で抱え込まずに公的な相談窓口を活用しましょう。
① 札幌市消費者センター
契約トラブルや悪質業者に関する相談を受け付けており、助言や斡旋を行ってくれます。
② 行政書士
契約内容の整理や、トラブル相手に対する事実通知・意思表示のための内容証明郵便の作成などを支援できます。
※ 交渉・訴訟に至らない段階の書面作成。
除雪作業で車や住宅が破損したら? 業者の責任と損害賠償
除雪車や作業員の手作業によって、自宅や近隣の財産が壊されてしまう事故も冬場に多発します。
除雪車で車庫や塀、車両を破損した場合
重機(ホイールローダー等)や大型除雪機が、積雪で見えにくくなったフェンス、外灯、車庫の柱、あるいは自家用車に接触して破損させるケースがあります。
過失によって他人の財産を破壊した場合、作業を行った業者やその使用者(会社)は、民法上の不法行為責任(民法709条)や使用者責任(民法715条)に基づき、損害賠償義務を負うのが原則です。
作業中の事故で隣家の設備や敷地内の物を壊した場合
依頼主の敷地だけでなく、作業の弾みで隣家のエアコン室外機や境界フェンスを壊してしまうこともあります。この場合も一次的な責任は作業を行った業者にありますが、依頼主側の指示に重大な過失があった場合などは問題が複雑化することがあります。
業者に損害賠償を求められるかどうかの考え方
損害賠償を請求するためには、以下の要素を立証する必要があります。
① 損害の発生 物が壊れたこと。(修理見積書や写真)
② 業者側の過失・行為 業者の作業によって壊れたこと。(因果関係)
「元々壊れていたのではないか」「雪の重みで勝手に壊れたのではないか」と業者側から反論されることもあるため、因果関係の証明が重要になります。
作業前後の写真や破損状況の記録
こうした事故を防ぐ、あるいは発生時に証明するためには、「シーズンの作業開始前に、敷地内や境界付近の写真を撮っておくこと」が非常に有効です。事故が起きた直後は、破損箇所のアップ写真に加え、除雪車のタイヤ痕や作業状況がわかる全体写真をすみやかに撮影してください。
業者の損害賠償保険や補償内容の確認
信頼できる業者は、万が一の事故に備えて「施設所有管理者賠償責任保険」や「請負業者賠償責任保険」などの事業用賠償保険に加入しています。契約前に、業者が賠償保険に加入しているかどうかを確認しておくことが大きな安心につながります。
事故の原因や契約内容などによって責任の判断が異なること
なお、責任の有無や賠償額(時価額か修理費か等)の判断は、事故当時の視界状況、物品の配置、双方の過失割合などの個別事情によって大きく異なります。必ずしも請求額の全額が認められるとは限らない点にご留意ください。
隣の敷地に雪を捨てる、道路に雪を出す! 雪の置き場所をめぐる近隣トラブル
札幌の閑静な住宅街で最も感情的な対立に発展しやすいのが、雪の置き場所(敷地境界)に関するトラブルです。
除雪した雪を隣家の敷地に押し出す問題
自分の敷地を広く使いたいがために、除雪した雪を隣の家の敷地や空き地に勝手に押し出す行為は、他人の所有権を侵害する行為です。繰り返し行われる場合は、所有権に基づく妨害排除請求や不法行為責任が問われる可能性があります。
自宅の屋根や敷地の雪が隣地へ流れ込む場合
自然に積もった雪であっても、自宅屋根の形状や傾斜によって隣家の敷地へ大量に雪が落雪・流出する場合、建物の構造や管理に不備がないかが問題となります。特に境界線ギリギリに建てられた建物では、落雪防止措置(雪止め等)を講じる配慮が求められます。
公道や歩道への雪出しが招く危険と問題
敷地に雪を置けないからと、自宅の雪を道路(公道・歩道)へ放り出す行為(雪だし)は厳しく禁じられています。道路交通法(第76条:道路における禁止行為)や各自治体の条例に違反する可能性があり、路面凍結や車道の車線減少を引き起こし、交通事故や歩行者の転倒事故を誘発する大変危険な行為です。
雪の堆積場所をめぐって隣人と意見が対立した場合
敷地境界線付近に積み上げられた雪山は、融雪期に崩れて隣家に流入したり、視界を遮って車の出し入れを妨げたりします。対立が生じた場合は、まずお互いの主張を整理し、「境界から○メートル離して積む」「排雪が入るまでは暫定的にここに置く」といった現実的なルールを話し合うことが大切です。
境界付近の雪の処理について話し合う際の注意点
最初から法律や権利を盾にして強い口調で交渉すると、近隣関係が決定的に悪化してしまいます。まずは「雪崩れて困っている」「車が見えなくて危険である」という事実と困惑を冷静に伝え、お互いの歩み寄りを模索するのが賢明です。
自分の敷地内で処理することを基本とし、必要に応じて自治体のルールを確認する
原則として「自分の敷地の雪は、自分の敷地内で処理・保管する」のが大前提です。どうしても敷地内で処理できない場合は、札幌市のパートナーシップ排雪制度の利用や、民間排雪業者の活用を検討してください。
屋根からの落雪で隣家や車が壊れたら? 建物所有者の責任
気温が上がる日や真冬日からの揺り戻しの時期、屋根からの集積した雪の落雪事故が多発します。
屋根からの落雪による住宅、車両、設備の破損
落雪は想像以上の重量と衝撃を持っています。隣家の屋根、外壁、給湯器、カーポートを破壊するだけでなく、敷地内に停めてあった自家用車を全半壊させるほどの威力があります。
落雪で通行人がけがをした場合
さらに深刻なのは、屋根からの落雪が通行人や隣人に直撃し、怪我や最悪の場合は死亡事故につながるケースです。この場合、民事上の賠償責任にとどまらず、業務上過失致死傷罪などの刑事責任が問われる可能性もあります。
建物の設置・保存に問題があった場合の責任
民法第717条では「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵(欠陥や不備)があることによって他人に損害を生じさせたときは、その工作物の占有者・所有者が損害を賠償しなければならない」と規定されています。(工作物責任)
民法上の工作物責任の基本的な考え方
屋根の形状、傾斜、雪止めの有無、落雪の危険性が予測できたにもかかわらず放置していたかどうかが判断のポイントとなります。
◉ 一次的責任
建物の占有者(賃借人など)が注意を払っていたかを判断。
◉ 二次的責任(無過失責任)
占有者が無過失であっても、建物の所有者(オーナー)は瑕疵があれば責任を免れません。
雪止めの設置や屋根の管理、定期的な点検の重要性
落雪事故を防ぐためには、事前の管理措置が不可欠です。
・ 屋根への雪止め金具や雪止めフェンスの設置
・ 定期的な専門業者による屋根の雪下ろし
・ 落雪の危険がある場所への「立入禁止」「落雪注意」の表示
これらを適切に行っていたかどうかが、万が一の事故の際の管理責任の有無に影響します。
被害が発生した場合の記録と専門家への相談
落雪被害に遭った(または与えてしまった)場合は、直ちに現場写真(屋根の状況、落ちた雪の量、破損箇所)を撮影し、気象データ(当時の気温や積雪量)なども併せて記録に残すことが重要です。
自宅前の雪や凍結路面で転倒事故! 誰が責任を負うのか
冬の札幌では、つるつる路面(ブラックアイスバーンや圧雪路面)での転倒事故が絶えません。敷地内や店舗前での事故責任はどのように考えられるでしょうか。
玄関前や敷地内で転倒した場合
一戸建ての敷地内やマンションの敷地内通路は「私有地」です。土地の所有者や管理者は、立ち入る人(訪問者や住民)に対して一定の安全配慮を行うべき立場にあります。ただし、冬の北海道において「一切凍結させないこと」は物理的に不可能なため、通常発生し得る危険の範囲内であれば、歩行者側の自己責任(注意義務)とされる割合も高くなります。
店舗や事業所の出入口で歩行者が転倒した場合
商業施設、コンビニ、飲食店、オフィスビルなどの事業所では、客や利用者を安全に受け入れる義務(安全配慮義務)がより強く求められます。
・ 屋根からの水滴が落ちて出入口前が極度に凍結していた。
・ 融雪マットの設置や砂撒き、除雪作業を長時間全く怠っていた。
このような不備・過失があった場合、店舗側に損害賠償責任が認められるケースがあります。
公道や歩道の除雪・凍結対策は誰が行うのか
公道や市道の管理責任は、道路管理者である自治体(札幌市など)にあります。しかし、公道のすべての雪や氷を常時除去することは不可能なため、自治体に責任が認められるのは「道路の構造的欠陥があった」「危険を知りながら長期間放置した」など非常に限られた特別なケース(国家賠償法上の責任)となります。
土地や建物の管理状況と事故の責任の関係
転倒事故における責任の有無は、その場所の管理者が、予見できた危険に対して適切な回避措置(除雪、砂撒き、注意喚起など)をとっていたかという点と、歩行者側も冬道に適した靴を履くなどの注意を払っていたかという点のバランス(過失相殺)によって判断されます。
事故が起きた場所、原因、管理状況などを記録する重要性
万が一、転倒事故が発生・関与した場合は、事故発生現場の路面状況(凍結具合、砂撒きの有無)、照明の有無、当時の靴や歩行状況などを詳細にメモ・写真撮影しておくことが必要です。
事故の発生場所や事情によって責任の判断が異なること
転倒事故の責任帰属は、一概に誰が100%悪いと言えるものではなく、個別の事情や過去の裁判例に照らして判断される複雑な問題です。
雪のトラブルが起きたらどうする? 証拠の残し方・話し合い・相談先
事故や契約トラブルが発生してしまった際、落ち着いて対応するための具体的なステップを解説します。
まずは安全を確保し、被害の拡大を防ぐ
事故や破損が発生した場合は、二次被害を防ぐことが最優先です。
・ これ以上の落雪や崩落がないか安全を確認する。
・ 人身事故の場合は直ちに救急車を手配する。
・ 道路を塞いでいる雪があれば、可能な範囲で安全な場所へ移動させる。
雪の状況、被害箇所、作業内容などを写真や動画で記録する
安全が確保できたら、速やかに現場の証拠を保全します。
・ 破損した箇所(広角写真とアップ写真)
・ 積雪や落雪の状況(メジャーなどを当てて深さを測ると効果的)
・ 天候、日時、周辺の目印が写り込む写真
・ 業者作業中の場合は、作業車両のナンバーや作業風景の動画
相手方とのやり取りをメールや書面で残す
トラブルになった相手(業者や近隣住民)との会話は、極力メールやLINE、書面など文字でやり取りを行います。電話や口頭で話した場合は、日時、相手の氏名、会話内容をすぐにノート等にメモして残しておきます。
感情的な対立を避け、事実関係を整理して話し合いを行う
特に近隣関係のトラブルでは、感情的になると解決が遠のきます。「相手を攻撃する」のではなく、「どのような事実があり(被害)、どのような状態で困っており、どうしてほしいのか」という事実関係と希望を客観的に整理して伝えましょう。
消費生活相談窓口、自治体、専門家など相談先の使い分け
トラブルの内容や段階に合わせて、適切な相談先を選択することが大切です。
① 消費生活センター(188)
除雪業者との契約トラブル、解約金、返金交渉の助言。
② 札幌市役所・区役所(地域振興課など)
公道の雪置き場、ゴミステーション周辺の雪、地域の雪出しマナーに関する相談。
③ 行政書士
契約内容の整理、予防的な契約書作成、相手方への事実確認・通知書の作成。
※ 非紛争性の案件。
④ 弁護士・法テラス
既に相手方と深刻な対立・交渉が生じている場合や、訴訟・損害賠償請求の代理交渉。
損害賠償や返金を求める場合に確認したい資料
相手方に費用を求める場合は、以下の書類を準備しておきます。
① 契約書・見積書・領収書
② 破損箇所の修理見積書(施工業者から取得)
③ 現場写真・動画・位置図
④ やり取りの履歴・経過記録メモ
除雪トラブルを未然に防ぐために! 契約書の作成と行政書士への相談
トラブルの多くは、事前の取り決めの不透明さから生じます。冬を迎える前に適切な書面を整えることが最大の防衛策です。
除雪業者、あるいは頼む側の双方が納得して契約を結ぶために、除雪契約書(業務委託契約書)には以下の項目を明確に記載しておく必要があります。
・ 作業対象区域の明示: 「図面の赤線枠内」など具体的に特定。
・ 作業内容の定義: 除雪のみか、排雪も含むのか、屋根は含まないのか。
・ 出動条件: 「降雪量○cm以上」「午前7時までの完了目標」など。
・ 料金と支払方法: 月額固定か都度払いか、支払期日。
追加料金、契約解除、返金条件、破損時の対応などの明確化
さらに、トラブルになりやすいポイントを特約として盛り込みます。
・ 大雪時の追加料金の有無と算定基準
・ 業者側・依頼主側からの途中解約条項と返金計算式
・ 作業中の建物・車両破損時の責任と損害保険の利用手順
・ 天災地変・不可抗力時の免責範囲
除雪業者や事業者が業務委託契約書を整備するメリット
除雪事業を営む事業者様にとって、しっかりとした契約書・約款を用意しておくことは、自社の事業と従業員を守ることに直結します。大雪で対応が遅れた際の理不尽なクレームや元々あった破損の責任を転嫁されるリスクを大幅に軽減できます。
個人が除雪業者に依頼する際に確認しておきたい契約内容
個人のお客様が契約する際も、業者から提示された契約書やチラシの裏面、注意事項をしっかり確認し、疑問点があれば署名捺印する前に質問してクリアにしておきましょう。
行政書士に相談できる書類作成や契約内容の整理
行政書士は「権利義務や事実証明に関する書類作成の専門家」です。
◉ 事業者向け
トラブルを未然に防ぐ「除雪業務委託契約書」「利用規約・約款」の作成・見直し。
◉ 個人向け
契約トラブル時の「事実通知書」や「内容証明郵便」の作成支援、契約書記載内容のアドバイス。
事前予防の観点から、法的リーガルチェックを経た契約書類を整備しておくことを強くお勧めします。
札幌で除雪・排雪の契約や書類の整備にお困りの方への相談案内
当事務所(札幌の行政書士事務所)では、地域に密着した視点で、冬の除雪・排雪に関する契約書の作成やリーガルチェックのご相談を承っております。「今年の冬に向けて契約書を新しくしたい」「トラブルにならない約款を作りたい」という事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
法的紛争の交渉や訴訟など、弁護士等への相談が適切なケース
なお、行政書士は紛争の代理人となって相手方と交渉したり、裁判を起こしたりすることは法律(弁護士法)上できません。既に相手方との間で激しい対立が生じている場合や、訴訟による損害賠償請求をご希望の場合は、弁護士等の専門家へのご相談をお勧めいたします。当事務所では、必要に応じて適切な専門家への繋ぎも含めてサポートいたします。
まとめ ~ 雪国の暮らしを守るために、契約と責任を正しく理解しよう
札幌の冬を快適かつ安全に過ごすために、本記事の内容を振り返りましょう。
① 除雪業者との契約は作業内容や料金を明確にすることが大切
作業範囲、出動条件、排雪の有無、返金規定を書面で確認・作成し、口約束を避けましょう。
② 近隣との雪のトラブルは、日頃の配慮と早めの話し合いで予防する
敷地境界や雪の置き場所、道路への雪出しマナーを守り、感情的にならずにコミュニケーションをとりましょう。
③ 落雪や転倒事故では、現場の状況や管理責任が重要になる
屋根の点検や雪止め設置など事前対策を行い、万が一の事故時は写真や記録を正しく残しましょう。
④ トラブルが起きたときは、証拠を残して適切な相談先につなぐ
写真・契約書・やり取りの履歴を保存し、消費生活センター、自治体、行政書士、弁護士など適切な窓口を活用しましょう。
⑤ 契約書や関連書類の作成・整備について、行政書士への相談を検討する
トラブルを未然に防ぐ予防法務として、契約書や約款の整備をおすすめします。
正しい法律知識と適切な契約準備を備え、お互いに配慮し合いながら、札幌の冬を安全に乗り切っていきましょう。除雪契約書や関連書類の整備でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
■ 札幌での契約書の作成、各種許認可申請のご相談なら
札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、契約書の作成、各種許認可申請に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、面倒な手続きをサポートいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
※ なお、紛争の解決についてはうけたまわれません。
【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所
所在地:札幌市東区
対応エリア:札幌市内および近郊エリア(出張相談も承ります)
営業時間:平日 9:00〜18:00(※事前の予約で土日祝や夜間も対応可能です)
初回60分相談料無料

☎ 011-788-3883
※ お電話でのお問い合わせにつきましては、当方留守の場合は必ず、留守電にお名前・ご用件(例 相続について相談したい)をお知らせください。
