【札幌発 豪華なマンションを購入した娘夫婦が大変なかとに!】ペアローンの潜む恐ろしい危険性 札幌の行政書士やっくんが解説

ここ数年、私が暮らすここ札幌でも、中央区や駅周辺を中心に驚くほど豪華なタワーマンションや高級マンションの建設が進んでいます。洗練された外観に、充実した共用施設。「いつかはこんな素敵な家に住んでみたい」と憧れる方も多いのではないでしょうか。

特に、共働きの若いご夫婦が「せっかく買うなら妥協したくない」「今の二人の収入を合わせれば、憧れのエリアの物件に手が届く」と、大きな買い物を決断されるケースが増えています。

その際に、多くのご夫婦が選択するのがペアローンです。

しかし、このペアローンには、夢のマイホーム購入を一瞬にして「人生最大の足枷(あしかせ)」に変えてしまう、恐ろしい罠が潜んでいます。

今回は、ペアローンが引き起こす恐ろしい現実と、最悪の事態を防ぐための法的知識を、行政書士&FPの視点から徹底的に解説します。

目次

札幌の街で見かける「憧れの高級マンション」と娘夫婦の決断

まずは、札幌在住のAさん(60代男性)のお話から始めましょう。

Aさんには、30代前半になる娘さんがいらっしゃいます。娘さんは数年前に結婚し、ご主人は大手企業勤務、娘さん自身も札幌市内で公務員として働く、いわゆる「パワーカップル(高収入の共働き夫婦)」でした。

お二人の世帯年収を合わせれば1,000万円を超える状態です。 そんな二人が目をつけたのが、札幌市内円山地区のアクセスが抜群な、分譲価格9,000万円を超える新築の豪華マンションでした。

「今の家賃を払い続けるのはもったいないし、二人で働いている今だからこそ、価値が落ちない一等地のマンションを買おう」

そう考えた娘夫婦は、お互いの収入を合算して融資を受ける「ペアローン」を組み、夢のマイホームを手に入れたのです。Aさんも当初は、「若いのに大したものだ、立派な家を買えて良かった」と安心して見守っていたそうです。

しかし、入居からわずか3年後。Aさんのもとに、涙ぐんだ娘さんから一本の電話が入ります。 「お父さん、もうローンの返済が払えない。離婚することになったのだけど、家をどうしたらいいか分からなくて、毎日夜も眠れないの……」

幸せの絶頂にいたはずの娘夫婦に、一体何が起きたのでしょうか。

そもそも「ペアローン」とは? 他の方法と何が違う?

リスクを解説する前に、まずは「ペアローン」の仕組みを正しく理解しておきましょう。 住宅ローンを二人で組む方法には、大きく分けて3つの選択肢があります。違いを整理することが、リスクを回避する第一歩です。

1.ペアローン(今回のケース)

・ 仕組み: 夫婦がそれぞれ独立した住宅ローン契約を1本ずつ(計2本)結びます。

・ 特徴: お互いが相手のローンの「連帯保証人」になります。

・ メリット: 2人分の借入枠をフルに使えるため、単独では手が届かない高額な物件(豪華マンションなど)が購入可能になります。また、夫婦それぞれが住宅ローン控除(減税)を受けられます。

2.連帯債務(収入合算)

・ 仕組み: 契約は1本ですが、夫婦が二人とも「主債務者(返済の当事者)」となります。

・ 特徴: 二人で一つの大きな借金を背負う形です。銀行によっては、どちらも住宅ローン控除を受けられる場合があります。

3.連帯保証(収入合算)

・ 仕組み: 契約は1本で、夫(または妻)一人が主債務者となり、もう一方が「連帯保証人」になります。

・ 特徴: 主債務者が返せなくなった時にじめて、連帯保証人に請求がいきます。住宅ローン控除を受けられるのは、主債務者の一人だけです。

娘夫婦が選んだ「ペアローン」は、「二人とも働いて、二人ともガッチリ返す」という前提の契約です。だからこそ、どちらか一方の歯車が狂った瞬間に、ドミノ倒しのようにすべてが崩壊していく特性を持っています。

なぜ大変なことに? ペアローンに潜む「4つの恐ろしい危険性」

ペアローンの最大の罠は、「購入時点のバラ色の生活が、35年間ずっと続く」という幻想の上に成り立っている点です。 行政書士&FPの立場から言わせれば、人生において30年以上の間、何も変化が起きないことなどあり得ません。

具体的に、どのようなリスクが娘夫婦を襲ったのか、4つのポイントに分けて解説します。

危険性1 離婚した時、家もローンも綺麗に半分には割れない

今回、Aさんの娘夫婦を襲った最大の原因がこれでした。 どんなに仲の良い夫婦であっても、離婚の可能性はゼロではありません。日本の離婚率は約3割とも言われており、決して他人事ではないのです。

もしペアローンを組んだ夫婦が離婚することになった場合、信じられないほど泥沼の事態が待っています。

① どちらが住むかの問題

仮に娘さんが「このマンションに引き続き住み続けたい」と希望したとします。しかし、元夫名義のローン契約はそのまま残っています。元夫からすれば、「自分は出て行って別の賃貸に住んでいるのに、なぜ元妻が住む家のローンを払い続けなければいけないんだ」という話になります。

② 名義変更の壁(最大の難所)

では、「夫のローンを娘(妻)が引き継いで一本化すればいいのでは?」と考えがちですが、これは銀行がまず許してくれません。 銀行は「夫婦二人の収入(合算)」を審査して9,000万円を貸したのです。離婚したからといって、妻一人の年収では、その半分のローンを維持する審査に通りません。

③ 連帯保証人から抜けられない

お互いが連帯保証人になっているため、仮に離婚して赤の他人になっても、元夫がローンの支払いを滞らせれば、元妻のところに一括返済の請求が来ます。 籍を抜いても、金の切れ縁は切れないのです。

危険性2 妊娠・出産・育児による収入激減の罠

ペアローンを組む段階では、「お互いフルタイムでバリバリ働いている」状態です。しかし、女性には妊娠や出産という大きなライフイベントがあります。

産休・育休中の手当(育児休業給付金)は、これまでの給与の満額は出ません。

職場復帰後も、子供の体調不良による欠勤や、時短勤務の選択によって、以前のようなボーナスや残業代が出なくなり、収入が大きく下がることが多々あります。

Aさんの娘さんも、出産を機に体調を崩し、一時的に休職を余儀なくされました。その結果、自分の分のローンの返済が苦しくなり、生活費を補填するために夫婦間で小さないさかいが増え、それが最終的に離婚への引き金となってしまったのです。

危険性3 病気・ケガ・失職という予期せぬ人生の坂道

どれだけ健康に気を使っていても、突然の病気やケガ、あるいは会社の業績悪化によるリストラや減給のリスクは誰にでもあります。

一般的な住宅ローンであれば、万が一の時のために「団体信用生命保険(団信)」に加入します。これは、契約者が死亡または高度障害状態になった際、ローンの残高がゼロになる仕組みです。

しかし、ペアローンの場合、ここにも落とし穴があります。

・ 片方に万が一のことがあっても、もう片方のローンはそのまま残る。

例えば、夫が亡くなった場合、夫の分のローン(例えば4,500万円)は団信で債務免除となります。しかし、一般的には、妻の分のローン(残り4,500万円)は1円も減りません。(※注意) 悲しみに暮れる中、妻は一人で自分のローンを返し続けなければならないのです。また、死亡ではなく「うつ病での休職」などの場合は、団信の対象外となるため、二本のローンがそのまま重くのしかかります。

※注意

仮に夫が亡くなった場合、夫のローンだけでなく妻のローンも免除になる「連帯団信」という特約があります。一部銀行等で取扱っています。

(例 フラット35、ソニー銀行他、一部地方銀行)

危険性4 売却したくてもできない「オーバーローン」の恐怖

「離婚するなら、いっそのことマンションを売って、現金を分けてスッキリしよう!」 そう決断できればまだ救いがありますが、ここでも豪華マンションならではの罠が立ちはだかります。それが「オーバーローン」です。

新築の高級マンションは、鍵を開けて一歩入居した瞬間に、物件の価値が1割〜2割ほど下がると言われています(購入価格には、不動産会社の利益や広告費が上乗せされているためです)。

・ 購入価格: 9,000万円(ペアローン残高 8,500万円)

・ 現在の売却査定額: 7,200万円

この状態で売却しようとすると、売ったお金(7,200万円)をすべてローンの返済に充てても、まだ1,300万円の借金が残ってしまいます。 銀行は、ローンを全額完済してもらえない限り、マンションに設定している「抵当権(ていとうけん:家を担保にとる権利)」を外してくれません。つまり、手元に数千万円の現金(持ち出し)がないと、家を売ることすらできないのです。

Aさんの娘夫婦は、まさにこの「売るに売れない、離婚しても住み続けられない、名義も変えられない」という、四方八方が塞がれた状態に陥ってしまったのです。

行政書士&FPの視点から 泥沼から抜け出すための具体的な解決策

ご相談に来られたAさんと娘さんのために、私たちがどのようなアプローチを検討したのか、実務的な解決の糸口をご紹介します。ペアローンで「大変なこと」になってしまった場合、取るべき道は主に次の3つです。

【ペアローン問題の打開策】
 ・ 単独ローンへの借り換え(最も理想的だがハードル高)
 ・ 親族からの資金援助(親の資産を活用した一括返済・持分移転)
 ・ 任意売却(借金を残したまま売却する最終手段)

解決策1 どちらか一方の単独ローンへ「借り換え」をする

離婚後、例えば夫が家を出て、娘さん(妻)がそのまま住み続ける場合、元夫のローンを娘さんの名義に一本化(借り換え)する必要があります。

・ 手続き方法: 別の銀行、あるいは現在の銀行に打診し、「夫のローン残高+自分のローン残高」を合算した新しい一本のローンを、娘さん単独の審査で組み直します。

・ 注意点: 娘さん一人の年収が、残りの総ローン額に対して十分に高くなければ審査に落ちます。もし年収が足りない場合は、実家の親(今回の場合はAさん)などが「新たな連帯保証人」として入ることを求められるケースもあります。

解決策2 実家の親(Aさん)からの「資金援助」と法的注意点

今回のケースで最終的に検討されたのが、この方法でした。幸いにも、ご相談者のAさんにはこれまでの蓄え(退職金など)がありました。

「娘が夜も眠れないほど追い詰められているなら、私が元夫の分のローン(約4,500万円)を肩代わりして一括返済してやりたい」と申し出られたのです。

親心としては本当に素晴らしい決断ですが、ここで行政書士としてのプロの手腕が必要になります。なぜなら、何も考えずに親が子供の借金を払ってしまうと、贈与税が課せられる危険があるからです。

法的な対策1 持分の移転登記

親が元夫のローンを肩代わりして完済する場合、元夫が持っていたマンションの「所有権(持分)」を、お金を出した親(Aさん)、または娘さんにきちんと移転させる登記を行う必要があります。これを怠ると、「お金だけ払って、名義は元夫のまま」という最悪の事態になりかねません。

法的な対策2 金銭消費貸借契約書の作成

もし親から娘への「贈与」とみなされないようにするためには、親子の間であってもきちんとした「金銭消費貸借契約書(お金の貸し借り契約書)」を作成し、毎月少しずつでも娘から親へ返済していく形をとるなど、税務署への対策が必要です。

解決策3 最終手段としての任意売却

もし、親からの援助も受けられず、お互いの年収でも借り換えができない場合の最終手段が「任意売却」です。

通常、オーバーローンの物件は売れませんが、銀行(債権者)と専門的な交渉を行い、「売却しても借金は残るけれど、抵当権を外して売ることを許してください」と同意を得る手続きです。 家を売った後の残りの借金については、離婚後の元夫婦がそれぞれ無理のない範囲で分割返済していくことになります。競売(けいばい)にかけられて強制的に追い出されるよりは、傷口を浅く抑えることができます。

ペアローンに関するよくある質問(Q&A)

最後に、ペアローンに関する質問をQ&A形式でまとめました。

ペアローンで家を買った後、離婚することになりました。夫が「家を出るから、俺の分のローンはこれからはお前(妻)が払ってくれ」と言っています。これで問題ないでしょうか?

非常に危険です。絶対に口約束だけで済ませてはいけません。 ご主人が家を出ていっても、銀行との間の住宅ローン契約(債務者名義)はご主人のままです。あなたがご主人の口座にお金を振り込んで返済を続ける形をとったとしても、将来ご主人が破産したり、他の借金を抱えたりした場合、マンションが差し押さえられるリスクがあります。 また、あなたが支払い続けても、家の名義(持分)がご主人のままであれば、将来家を売ることもできません。必ず離婚前に、ローンの「一本化(借り換え)」を試みるか、財産分与についての法的な合意書(公正証書など)を作成する必要があります。

夫婦でペアローンを組んでいますが、妻が育休に入り収入が減りました。夫の私が、妻の分のローンの返済も一時的に肩代わりして支払っても大丈夫ですか?

短期間の生活費の補填であれば基本的に問題ありませんが、長期にわたる場合は「贈与」とみなされる可能性があります。 夫婦間には扶養義務があるため、通常の生活費の範囲内であれば税金はかかりません。しかし、妻名義の「借金(ローン)」を夫が代わりに返済し続ける行為は、妻へ現金をプレゼントした(贈与した)と税務署から判断され、贈与税の対象になるケースがあります。 妻の休職が長引く場合は、あらかじめ夫婦間で「お金の貸し借り」とする契約書を交わすか、返済計画の見直しを銀行に相談することをおすすめします。

ペアローンのトラブルを防ぐために、購入時点で行政書士などの専門家に相談できることはありますか?

はい、大いにあります。購入前に「夫婦間の合意書(ルールブック)」を作ることが有効です。 万が一、将来離婚や売却をすることになった場合、このマンションの持分や処分をどう扱うか、どちらが住み続けるかといった「出口戦略」を、購入時の冷静な段階であらかじめ話し合い、「合意書」や「公正証書」の形にしておくことができます。 また、頭金の出資比率と登記する所有権の「持分比率」がズレていると、それだけで贈与税が発生するため、事前の適切な持分計算についても行政書士がアドバイスいたします。

まとめ ~ マイホーム購入前に「最悪のシナリオ」を想定していますか?

住宅の展示場や、お洒落なマンションのパンフレットを見ている時、ご夫婦の胸は期待で膨らんでいるはずです。不動産会社の営業マンも「お二人ならこれだけの額が借りられますよ!」と、ペアローンのメリットばかりを強調してくるでしょう。

しかし、行政書士として多くの生活再建や契約に関わってきた私からお伝えしたいのは、「借りられる額」と「返せる額」は全く違うということです。

ペアローンを検討する際は、以下のチェックリストを夫婦で冷静に見つめ直してください。

どちらか一方が働けなくなっても、破綻しない金額か?

子供が生まれた後の教育費や、時短勤務のリスクを計算に入れているか?

万が一、将来離婚することになった場合の「出口戦略」を話し合っているか?

もし、すでにペアローンを組んでしまっていて、「パートナーとの関係が怪しくなってきた」「ローンの返済が苦しいけれど、どう動けばいいか分からない」とお悩みの方がいらっしゃいましたら、手遅れになる前にぜひ一度、行政書士にご相談ください。

財産分与の合意書作成や、親子間の資金移動に伴う契約書の作成など、法的なアプローチからあなたの生活と未来を守るお手伝いをいたします。

札幌の街で暮らす皆さまが、住まいのトラブルで涙を流すことのないよう、これからも親身になってサポートを続けてまいります。

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札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、実家の相続手続きや、遺言書の作成に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。

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