【札幌発 成年後見制度の深い闇!】その理由と後悔しないための回避策について 札幌の行政書士やっくんが解説

超高齢化社会を迎えた日本、そしてここ札幌市でも、親の認知症や将来の財産管理に関するご相談が年々増加しています。特に「介護施設に入居させるために親の定期預金を解約したい」「使わなくなった実家を売却したい」といった場面で登場するのが成年後見制度です。

公的な制度であり、裁判所や専門家が関与することから「利用すれば安心だ」と思われている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際の現場では「こんな制度だとは思わなかった」「利用したことを後悔している」「自由が奪われて精神的に追い詰められた」という切実な悲鳴があることも事実です。ネット上や相談現場では、この制度の裏側を指して「成年後見制度の闇」と呼ぶことすらあります。

なぜ、認知症の高齢者を守るための公的制度が、これほどまでに「闇」と批判され、利用した家族を苦しめてしまうのでしょうか?

今回は、行政書士の視点から成年後見制度の仕組みと「闇」と呼ばれる8つの理由、実際のトラブル事例、そして後悔しないための回避策や選択肢まで徹底的に解説いたします。

目次

そもそも成年後見制度って何だろう?

まずは、そもそも成年後見制度とはどのような仕組みなのか、基礎知識を整理しておきましょう。

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分でない方の権利や財産を守り、支援するための制度です。

制度は大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つに分類されます。

1.法定後見制度

本人の判断能力がすでに低下している場合に、本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などが家庭裁判所へ申し立て、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。

現行制度では、本人の判断能力の程度に応じて、次の3類型に分かれています。

① 後見

判断能力が常に欠けている状態の人が対象です。

成年後見人には、本人の財産に関する幅広い代理権が与えられます。また、本人が日用品の購入などを除く法律行為をした場合、成年後見人が取り消せることがあります。

② 保佐

判断能力が著しく不十分な人が対象です。

本人が借金、不動産の売買、相続の承認や放棄など、民法で定められた重要な行為を行う場合、原則として保佐人の同意が必要になります。

必要に応じて、家庭裁判所の審判により保佐人へ代理権を与えることもできます。

③ 補助

判断能力が不十分な人が対象です。

本人の同意を前提に、必要な法律行為についてだけ補助人に同意権や代理権を与えます。

現行制度では最も本人の権利制限が小さく、本人の自己決定を尊重しやすい仕組みです。

✴️ホットな情報 2026年6月24日公布の改正法について】

成年後見制度は2000年の開始以来、約26年間にわたって「使い勝手が悪い」「一度始めたら死ぬまでやめられない」と強い批判を受け続けてきました。こうした現場の切実な声を受け、2026年6月24日、成年後見制度を大幅に見直す改正法(民法等の一部を改正する法律)が公布されました

この改正では、従来の「後見・保佐・補助」という硬直的な枠組みを「補助」へと一元化し、「必要な期間や目的(不動産売却や遺産分割など)だけスポット利用できるようにする」「必要がなくなれば途中で制度利用を終了できるようにする」といった画期的な見直しが含まれています。

しかし、この改正法が実際に施行され、現場で運用が始まるまでには公布から最大2年6ヶ月(2028年後半頃まで)かかりますそのため、現在〜施行までの間は、従来の非常に不便でリスクの高い制度がそのまま適用され続けるという点に十分注意する必要があります。

2.任意後見制度

本人の判断能力がしっかりしているうちに、「将来、自分の判断能力が低下したら誰に何を頼むか」をあらかじめ公正証書による契約で決めておく制度です。

通常、「成年後見制度の闇」として問題視されてきたのは、認知症が進行した後に手続きを行う従来の「法定後見制度」のことです。

一見すると、困っている高齢者やご家族を助ける素晴らしい制度に思えます。しかし、いざ利用を開始すると、ご家族が想定していなかった「大きな制限」や「予期せぬ費用」の壁にぶつかることになるのです。

「闇」と言われる8つの理由

なぜ、国の制度でありながら「闇」とまで称されてしまうのでしょうか。現場で多く聞かれる主な理由は、以下の8つに集約されます。

理由1 希望した親族が選ばれない

多くの方は「親の後見人には、子供である自分が選ばれるだろう」と考えて申し立てを行います。しかし、裁判所の判断により、弁護士などの専門職後見人が選任されるケースが多いのが現状です。

特に、本人に一定の資産(数千万円以上の預貯金や不動産など)がある場合や、親族間に少しでも意見の違いがある場合は、家族の希望が通らず、見知らぬ専門職が選ばれる傾向がより多くなります。

理由2 一度始めると本人が亡くなるまで解任・解約ができない

これが最大の落とし穴と言っても過言ではありません。従来の制度では「一度利用を始めたら、途中でやめることが原則できない」仕組みになっていました。

「実家の売却が終わったから終了したい」「思ったより使い勝手が悪いから解約したい」ということは一切認められず、本人が亡くなるまで後見関係が永遠に続きます。

2026年6月の改正法で終身制の見直しが決まりましたが、施行までは従来通り解約不可の運用が続きます。

理由3 専門家(弁護士等)への報酬が一生涯続く

専門職後見人が選任された場合、その報酬は本人の財産から毎月支払われます。

報酬額は本人の管理財産額によって異なりますが、目安として月額2万円〜6万円程度です。これが本人が亡くなるまで毎年・毎月ずっと引き落とされ続けるため、長期間になれば数百万円単位の資産が後見人への報酬として消えていくことになります。

理由4 家族であっても本人の財産を自由に使えなくなる

後見人が就任すると、本人の財産は「後見人(および家庭裁判所)」の厳重な管理下に置かれます。

たとえ長年連れ添った配偶者や子供であっても、本人の口座からお金を自由に引き出すことはできなくなります。「親の資金を使って孫の入学祝いをあげたい」「家族で旅行に行きたい」「親の財産を実家の維持費に充てたい」といった支出も、本人の直接的な利益(メリット)と認められない限り、一切許可されなくなります。

理由5 相続対策(生前贈与や不動産活用等)が一切できなくなる

成年後見制度の目的は本人の財産を減らさないように保護することです。そのため、「資産を増やそうとする行為」や「将来の相続税を減らす行為」はすべて禁止または制限されます。

生前贈与、アパートの建築・リフォーム、不要な不動産の売却(居住用不動産の場合は裁判所の許可が必要)、投資信託などの資産運用は、家族がどれほど望んでも行うことができなくなります。

理由6 手続きに膨大な時間・手間・初期費用がかかる

制度の利用を思い立っても、すぐにスタートできるわけではありません。

医師の診断書取得、申立書類の作成、戸籍等の収集、裁判所での面接など、事前準備だけで数ヶ月を要します。さらに、申立費用や鑑定費用(数万円〜十数万円)がかかり、申し立ててから実際に後見人が選任されて活動を開始するまでに半年近くかかることも珍しくありません。

理由7 後見人による不正横領のリスクが0ではない

「専門家に任せれば安心」と思いがちですが、専門職後見人や親族後見人による財産の使い込み・不祥事のニュースがちらほら散見されます。

不正が発覚して後見人が交代したとしても、一度奪われた財産を回収するのは容易ではなく、ご家族に大きな精神的ダメージと不信感を残します。

理由8 後見人と家族の意志疎通がうまくいかずストレスの要因になる

選任された専門職後見人が、機械的・事務的な対応しかしてくれないケースも少なくありません。「本人のために車椅子を買い替えたい」「高額だが住み心地の良い施設に引っ越させたい」と家族が要望しても、「生活に不可欠ではない」「無駄な出費だ」と一蹴されてしまうことがあります。本人のためを想って行動する家族ほど、後見人との意見の相違にストレスを抱え込むことになります。

トラブルの事例

ここで、実際に現場でよくあるリアルなトラブル事例を3つご紹介します。

※ 実際にあったトラブルをもとにしていますが、場所や内容等は脚色しております。

事例1 実家の売却目的で申し立てたら、見知らぬ弁護士が選任され報酬負担が重荷に

札幌市にお住まいの良夫さん(50代・会社員)は、認知症が進行して要介護状態となった母(80代)の介護費用を作るため、誰も住まなくなった実家を売却しようと考えました。

不動産業者に相談したところ、「お母様の判断能力がないため、成年後見人を立てなければ売買契約ができません」と言われ、やむなく家庭裁判所に後見開始の申立てを行いました。

良夫さんは自分が後見人になることを希望していましたが、家裁が選任したのは見知らぬ弁護士でした。

実家は無事に売却できましたが、その後も後見人の選任は解除されず、毎月3万円の報酬が発生し続けることに。母が亡くなるまでの7年間で、合計250万円以上の報酬が母の預金から引き落とされ、「実家を売ったお金の相当部分が弁護士報酬に消えてしまった」と良夫さんは激しく後悔しています。

事例2 父の口座から生活費を引き出せなくなり、家族が経済的困窮に

愛子さん(70代・女性)は、同い年の夫が認知症になり、銀行の窓口で「意思確認ができない」として口座を凍結されてしまいました。

夫の年金口座から日々の生活費や医療費を出していたため困り果てて後見人を立てましたが、選任された後見人は、妻である愛子さんへの生活費の送金を極めて厳格に制限しました。

「夫の財産は夫自身のためにしか使えない」という原則に基づき、夫婦で暮らしていた自宅の修繕費や、愛子さん自身の医療費は「夫の支出として認められない」と拒否されてしまったのです。妻でありながら、長年共に築いてきた夫の口座からお金をもらうために、毎月後見人に頭を下げて理由を説明しなければならない屈辱と不便さに、愛子さんは強い精神的苦痛を感じています。

事例3 認知症の親の節税対策・贈与が完全にストップ

祐司さん(40代・経営者)の父は、札幌市内に複数の賃貸アパートと土地を所有する資産家でした。父が認知症の疑いを見せ始めた頃、大規模な修繕や将来の相続税対策(生前贈与など)を進めようとした矢先に、他の親族との手続きの兼ね合いで法定後見制度が開始されてしまいました。

就任した後見人は「相続税対策は本人の利益ではなく、将来の相続人の利益にすぎない」として、一切の生前贈与や新たなアパート建築ローン契約を認めませんでした。結果として何の対策も打てないまま父は亡くなり、ご家族は想定以上の多額の相続税に苦しむことになりました。

後悔しないための選択肢

では、成年後見制度の「闇」にはまらず、安心して老後や介護の資金管理を行うためには、どのような予防策や代替案があるのでしょうか?

2026年6月に法改正が公布されたとはいえ、実際に新しい制度が利用できるようになるのは数年先です。だからこそ、本人の判断能力がしっかりしている(認知症になっていない)うちであれば、成年後見制度に頼らない非常に有効な選択肢を準備しておく必要があります。

選択肢1 家族信託 👌最もおすすめ

近年、認知症対策として最も注目されているのが「家族信託」です。

本人が元気なうちに、信頼できる家族(子供など)との間で「財産管理契約」を結んでおく仕組みです。

メリット

裁判所や第三者(弁護士等)を挟まず、家族間で柔軟な財産管理ができる。

認知症になった後でも、受託者(子供)の判断で不動産の売却や預金の引き出し、実家の管理が可能。

毎月の専門家報酬が発生しない。

裁判所の許可なく、柔軟な介護資金の活用ができる。

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選択肢2 任意後見制度

「どうしても後見制度の枠組みを使いたいが、見知らぬ第三者を選ばれたくない」という場合に有効です。

本人の判断能力が正常なうちに、自ら「後見人になってほしい人(子供や信頼できる専門家)」を指名し、将来の支援内容を公正証書で契約しておきます。

メリット

自分で後見人を指名できるため、意図しない第三者が後見人に選ばれるリスクを防止

できる。

事前に契約した範囲内で権限を行使してもらえる。

選択肢3 生前贈与や事前に口座整理・不動産名義の整理

本人が元気なうちに、将来必要となる介護費用などの一部を生前贈与したり、利用していない不動産をあらかじめ売却・処分しておく方法です。

資産をシンプルにしておくことで、将来的に判断能力が低下した際でもトラブルが発生しにくくなります。

選択肢4 委任契約・尊厳死宣言・遺言書の作成

日常生活の事務(口座の振込代行や各種手続き)を家族に委任する「財産管理委任契約」や、万が一の際の医療方針を決めておく「尊厳死宣言」、亡くなった後の資産引き継ぎを決める「遺言書」などをパッケージで作成しておくことで、後見制度に頼らない包括的な認知症・終活対策が可能になります。

制度を使うべきケース

ここまで成年後見制度のデメリットやリスクをお伝えしてきましたが、すべてのケースで成年後見制度が悪というわけではありません。

制度の本来の目的通り、「成年後見制度を利用することが最善の解決策となるケース」も確実に存在します。

具体的には、以下のような環境・状況にある場合は、制度の利用を積極的に検討すべきです。

すでに重度の認知症が進行しており、事前対策(家族信託や任意後見)が間に合わない場合

本人の判断能力がすでに失われており、かつ口座凍結の解除や不動産売却、遺産分割協議などの「法的手続き」が緊急で必要なケースです。現行制度上、この場合は法定後見制度を利用するしか方法がありません。

② 身寄りがなく、身の回りの世話や財産管理を頼める家族・親族が全くいない場合

専門職後見人が就任することで、不正な搾取から守られ、施設入居の手続きや医療契約、財産管理を安全に行ってもらうことができます。

③ 親族間に激しい対立があり、家族に財産管理を任せるとトラブルになる場合

親族同士でお金の奪い合いが懸念される場合、中立な立場である第三者の専門職後見人が入ることで、本人の財産が守られ、親族間の争いを防ぐことができます。

④ 悪質商法や詐欺の被害に遭うリスクが非常に高く、強固な取消権が必要な場合

成年後見人には、本人が結んでしまった不利益な契約(高額な布団やリフォーム契約など)を無条件で取り消すことができる強力な「取消権」が与えられます。

    制度の利用を避けるケース

    逆に、以下のようなケースでは成年後見制度の利用を安易に決断せず、他の手段を探るか、専門家に慎重に相談すべきです。

    ① 本人の判断能力がまだ十分に残っている場合

    まだ会話が成り立ち、自分の意思を表現できる状態であれば、安易に法定後見を選ぶべきではありません。即座に「家族信託」や「任意後見契約」の手続きを進めるべきです。

    一時的な目的(実家の売却、定期預金の解約だけ)のために制度を使おうとしている場合

    法改正(2026年6月公布)により将来的にスポット利用が可能になりますが、施行までの現在は「家を売るためだけに数ヶ月だけ使う」という利用はできません。目的を果たした後も、本人が亡くなるまで毎月の報酬と管理制限が永遠に続きます。

    ③ 節税対策や積極的な資産運用、親族への支援・贈与を続けたい場合

    後見人が入った瞬間から、生前贈与や投資、家族への金銭的支援は原則すべてストップします。

    ④ 毎月の専門職報酬(年間数十万円)を支払う余裕がない・支払いたくない場合

    本人の資産規模によっては、長期的に大きな財政的負担となります。

      まとめ ~ 後悔しないために

      成年後見制度は、決して「家族を困らせるための嫌がらせ制度」ではありません。本来は、判断能力が低下した弱者を悪徳商法や不正な搾取から守るための公的なセーフティネットです。

      しかし、従来の保護があまりにも厳格であったため、「一度足を踏み入れると本人が亡くなるまで抜け出せない」「家族であっても自由にお金を動かせなくなる」という強い制限が働き、これが「闇」として多くの利用者を苦しめる結果となっていました。

      2026年6月には、この「使いづらさ」を解消するための画期的な改正法が公布されました。将来的に制度が「必要な期間だけ柔軟に使える」仕組みへと生まれ変わることは大きな希望です。

      しかし、新制度がスタート(施行)するまでには猶予期間があり、今すぐ恩恵を受けられるわけではありません。制度の端境期だからこそ、今まさに認知症対策を考えている方が後悔しないための最大のポイントは、「親が元気なうち(判断能力があるうち)に手を打つこと」に尽きます。

      元気なうちであれば、制度の施行を待つことなく、「家族信託」や「任意後見」など、ご家族の想増やライフスタイルに合わせた柔軟で温かみのある財産管理の仕組みを作ることができます。

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