【札幌発 お一人様の社会貢献】遺贈寄付のメリット・デメリットについて 札幌の行政書士やっくんが解説

人生の後半生を迎えるにあたり、「自分の財産を将来どう活かすべきか」「自分が亡くなった後、残った資産はどこへ行くのだろうか」と考えたことはありませんか?

特に、身寄りのない、お一人様や、配偶者・子供がいない方にとって、自分が大切に築いてきた財産のゆくえは非常に大きな関心事です。通常、法定相続人が誰もいない場合、亡くなった方の財産は国の金庫(国庫)へ収められることになります。

しかし、「どうせなら、自分が生まれ育った札幌の街や、関心のある社会課題に取り組む団体に役立ててほしい」と願う方が増えています。

その想いを実現する手段として、今大きな注目を集めているのが 遺贈寄付 です。

本記事では、札幌を中心に「お一人様」の終活や相続手続きをサポートしている行政書士の立場から、遺贈寄付の基本概念や最新の意識調査、メリット・デメリット、手続きの具体的な流れまで、わかりやすく丁寧に解説いたします。

目次

遺贈寄付とは何ですか?

1.遺言により財産を寄付する方法のこと

「遺贈」とは、遺言によって、自分の財産の全部または一部を特定の人や団体に無償で譲ることをいいます。

財産を受け取る人や団体を「受遺者」といいます。通常の相続では、民法で定められた配偶者、子、親、兄弟姉妹などの法定相続人が財産を引き継ぎます。しかし、有効な遺言書を作成しておけば、法定相続人だけでなく、友人、内縁の配偶者、自治体、公益法人、NPO法人などにも財産を渡すことができます。

遺贈寄付は、この遺贈の仕組みを利用して、自分の死後に財産を社会貢献活動へ役立ててもらう方法です。遺言によって財産を誰に渡すかを決める場合は、法律で定められた方式に従った遺言書を作成する必要があります。口頭で家族に伝えたり、動画や録音を残したりするだけでは、法律上有効な遺言にはなりません。

2.生前寄付との違い

生前寄付は、自分が生きている間に財産を寄付する方法です。これに対して遺贈寄付は、自分が亡くなった後に寄付が実行されます。生前寄付には、寄付した結果を自分の目で確認できるというメリットがあります。一方、生活資金や医療費、介護費用として将来必要になるお金まで寄付してしまう不安があります。

遺贈寄付であれば、生きている間は自分の財産として使用できます。生活費や介護費用を確保し、亡くなった時点で残った財産の一部を寄付するという設計が可能です。「今後いくら必要になるか分からないので、生前にまとまった財産を手放すのは不安」という方にとって、遺贈寄付は検討しやすい方法といえます。

3.一般社団法人日本承継寄付協会の2025年度調査に見る動向

近年、この遺贈寄付に対する認知や関心は飛躍的に高まっています。遺贈寄付の普及に取り組む「一般社団法人日本承継寄付協会(Will for Japan)」が実施した2025年度の実態調査などによると、以下のような傾向が明らかになっています。

認知度の高まりと理解の課題

遺贈寄付という言葉の認知度は年々上昇しており、2025年調査では全体(20代~70代)の認知度が63.8%に達しました。特にシニア世代での認知が進んでおり、70代では84.5%の方が「遺贈寄付」という選択肢を知っています。一方で、「具体的にどのような手続きや制度なのか」まで深く理解している人の割合は7.4%程度にとどまっており、実際の行動に移すための情報発信が求められています。

② 地域貢献・地元支援への意識拡大

寄付先を検討する際、5割以上の人が「自分が住んでいる地域やゆかりのある地元の団体」を選びたいと回答しています。全国規模の大手団体だけでなく、「生まれ育った札幌市」「長年暮らした北海道の自然保護活動」といった、身近な地域社会へ恩返しをしたいというニーズが強まっています。

③「お一人様」世帯の急増と相続人不在の問題

少子高齢化や未婚率の上昇に伴い、法定相続人がいない単身高齢者が増えています。相続人がいない場合、最終的に財産は国庫に帰属しますが、「国に納めるよりも、意図を持った寄付として未来の世代に遺したい」と考え、遺贈寄付を検討するケースが増加しています。

このように、遺贈寄付は一部の富裕層だけのものではなく、「人生の集大成として、自分らしい想いを未来へ届ける手段」として、多くの市民に身近なものとなりつつあります。

一般社団法人日本承継寄付協会  【2025年度遺贈寄付実態調査】

遺贈寄付の方法

遺贈寄付と一言で言っても、実は大きく分けて3つの方法(タイミングやアプローチの違い)が存在します。ご自身の状況や財産構成に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

1.遺言による寄付(狭義の遺贈寄付)

もっとも一般的で確実な方法です。生前に「公正証書遺言」などの法的効力のある遺言書を作成し、「◯◯という団体に財産の◯%(または〇〇万円)を寄付する」と明記しておきます。自分が亡くなった段階で、遺言書に基づき遺言執行者が手続きを行い、寄付が実行されます。

2.相続財産からの寄付

亡くなった方(被相続人)が生前に「自分が死んだら寄付してほしい」と言い残していた場合や、遺族が「故人の意思を尊重して社会に役立てたい」と考えた場合に、相続人が受け取った相続財産の中から寄付を行う方法です。相続税の申告期限内(死亡から10ヶ月以内)に一定の非営利団体へ寄付を行うと、寄付した財産には相続税がかからないという税制上の優遇措置があります。

3.信託や生命保険を活用した寄付

銀行や信託銀行が提供する「寄付型信託商品」や、生命保険の受取人に指定のNPO法人や自治体を設定する方法です。遺言書を作成するよりも手続きが簡略化できる場合があり、近年新しい選択肢として広がりを見せています。

遺贈寄付のメリット

「お一人様」や身寄りの少ない方が遺贈寄付を選択することには、精神面・手続き面・税制面で多くのメリットがあります。

1.自分の人生の意思やストーリーを未来に残せる

自分が長年かけて築いてきた資産が、国庫にそのまま入るのではなく、「子どもの貧困対策」「地元の医療・福祉の充実」「札幌の環境保全」など、自分が共感する事業に直接役立てられます。人生の最後に「自分らしさ」を社会に還元できる満足感と安心感が得られます。

2.生前の生活資金に影響を与えない

生前に大きな金額を寄付すると、「万が一病気になったら」「長生きして老後資金が底をついたらどうしよう」という不安が残ります。しかし、遺贈寄付は「自分が亡くなった時点で残っている財産」から寄付されるため、生前の自由な暮らしや生活の質を損なうことがありません。

3.相続人不在による財産国庫帰属を回避できる

身寄りがない場合、亡くなった後の財産は「相続財産清算人」という専門家が選任され、一定の手続きを経て国に収められます。この手続きには数年の歳月と多額の官報公告費用・手数料がかかります。遺贈寄付を遺言書で指定しておけば、自分の意思に基づいた宛先へスムーズに資産を届けることができます。

4.税制上の優遇措置(税額控除・相続税非課税)が受けられる

寄付先が国、地方自治体、認定NPO法人、学校法人、社会福祉法人などの「特定公益増進法人」である場合、相続税の税制優遇対象となります。残された相続人がいる場合でも、寄付した分については相続税の課税対象から外れるため、税負担を軽減できる効果があります。

遺贈寄付のデメリットと注意点

素晴らしい意義を持つ遺贈寄付ですが、事前の準備不足や理解不足があると、残された関係者にトラブルや負担をかけてしまうリスクもあります。以下のようなデメリットや注意点をしっかりと押さえておきましょう。

1. 不動産の遺贈は断られる(受取拒否される)リスクがある

遺贈寄付でもっともトラブルになりやすいのが「不動産(土地・家屋)」です。 多くのNPO法人や自治体は、現金での寄付は大歓迎ですが、不動産の直接寄付については「管理コストがかかる」「売却できる見込みがない」「固定資産税がかかる」といった理由で受取を拒否することが非常に多いのが現実です。

【解決策:清算型遺贈】

不動産を所有している場合は、遺言書の中で「不動産を売却して現金化(換価)し、手数料等を差し引いた残額を寄付する」という清算型遺贈の形を指定するのが鉄則です。

2.親族(相続人)とのトラブルや「遺留分」の侵害

お一人様だと思っていても、疎遠な兄弟姉妹や甥・姪が相続人になるケースや、一定の法定相続人(配偶者、子、親)がいるケースがあります。

配偶者や子、親には、法律上最低限受け取れる権利である遺留分が認められています。全財産を団体に寄付するような遺言を書くと、残された遺族が寄付先団体に対して「遺留分侵害額請求」を行い、裁判沙汰に発展してしまう恐れがあります。

3.遺言執行者の選任と手続きコストが必要

遺贈寄付を実行するためには、亡くなった後に各種金融機関で口座を解約し、寄付先へ送金手続きを行う「遺言執行者」が不可欠です。遺言執行者を指定していない場合、寄付先の団体が自ら面倒な相続手続きを行わなければならず、辞退される原因になります。また、専門家に遺言執行を依頼する場合、報酬費用が必要となります。

4.未払債務や葬儀費用の清算設計が必要

人が亡くなると、直前に入院していた医療費、介護施設の退去費用、葬儀費用、未払いの住民税などの支払いが発生します。「全財産を寄付する」と大雑把に遺言に書いてしまうと、これらの債務を誰がどう払うのかが曖昧になり、現場が混乱します。

寄付先、支援先はどこがいいか

いざ遺贈寄付をしようと考えても、「どこに寄付すれば安心なのか」「自分の気持ちが活かせる場所はどこか」迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは代表的な寄付先の特徴と、失敗しない選び方を解説します。

寄付先の種類特徴・メリット注意点
地方自治体
(札幌市など)
地元の公園整備、福祉、文化事業など
用途を指定しやすい。信頼性が極めて
高い。
不動産の寄付受入基準が厳しい。事前に担当部署との協議が必要。
認定NPO法人・公益法人子ども支援、動物保護、環境保全など、
特定の社会的課題にダイレクトに貢献
できる。
団体の経営基盤や活動実績の確認が必要。受け入れ態勢の確認が必須。
大学・学校法人母校や地元の大学(北海道大学など)の
奨学金基金や研究費として未来の学生を
支援できる。
寄付金の指定用途が限定される場合がある。
日本赤十字社・ユニセフ等災害支援や国際人道支援など、大規模な
社会貢献に繋がる。受入体制が非常に
強固。
特定の個人やピンポイントな地域指定が難しい場合がある。
地域コミュニティ財団地元の草の根活動を行っている複数の小さな団体へ間接的に分散寄付ができる。寄付金の管理手数料が発生する場合がある。

札幌市・北海道内での寄付先選びのポイント

地元・札幌へ貢献したい場合、札幌市の「さっぽろ未来創生基金」や各種福祉基金、あるいは北海道内で活動する認定NPO法人などが候補になります。

寄付先を選ぶ際は、以下の3点を必ず確認しましょう。

① 団体の財務状況や活動実績が公開されているか(情報公開の透明性)

② 遺贈寄付の相談窓口(受入態勢)が整っているか

③ 現金以外の財産(不動産等)の受け入れ条件はどうなっているか

    手続きの流れ

    遺贈寄付を検討してから、実際に遺言書を作成し実行されるまでの標準的な手順を整理します。

    【遺贈寄付の実現までの7つのステップ】

    STEP
    財産と想いの整理

    所有財産のリストアップと、応援したい社会課題・団体の検討

    STEP
    寄付先団体との事前相談・打ち合わせ

    寄付の受入条件、使途の指定、不動産換価の方針などを確認

    STEP
    専門家への相談

    遺言書文案の作成、遺留分の考慮、遺言執行者の選定

    STEP
    遺言書の作成(公正証書遺言を強く推薦)

    公証役場にて公証人のもとで作成・保管

    STEP
    生前の見守り・遺言書の保管

    定期的な財産状況の確認や、身の回り・終活のサポート

    STEP
    ご逝去・遺言執行の開始

    遺言執行者が各機関へ通知し、口座解約や不動産売却を実行

    STEP
    寄付の実行と完了報告

    税金や葬儀費用等を清算後、指定団体へ寄付金を送金

    なぜ「公正証書遺言」なのか?

    遺言書には自分で手書きする「自筆証書遺言」もありますが、遺贈寄付を行う場合は「公正証書遺言」で作ることが実質的に必須です。

    自筆証書遺言の場合、形式の不備で無効になるリスクがあるほか、亡くなった後に家庭裁判所での「検認」という手続きが必要(法務局の遺言書保管制度の場合は除く)になり、寄付先団体や遺言執行者に多大な時間的負担をかけてしまいます。公証役場で作成する公正証書遺言であれば、形式的不備がなく、原本が公証役場に安全に保管されるため、死後の手続きが圧倒的にスムーズになります。

    専門家に相談すべき場合

    「遺言書くらい自分で書けるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、一般的な家族間の相続と異なり、第三者である非営利団体へ財産を渡す「遺贈寄付」は法的・手続き的なハードルが格段に高くなります。

    以下のようなケースに該当する場合は、自己判断せず、相続・遺言の専門家に相談することをおすすめします。

    1.所有財産に「不動産」が含まれている場合

    前述の通り、不動産をそのまま寄付することは困難です。専門家が入ることで、「死後に遺言執行者が不動産を売却し、経費を差し引いた現金で寄付する(清算型遺贈)」という確実な条文を組み立てることができます。

    2.身寄りがなく、自分の死後の手続き(葬儀等)も心配な「お一人様」

    遺言書で遺贈寄付を指定するだけでは、自分の亡くなった直後の「遺体引き取り」「葬儀・火葬」「賃貸アパートの退去・遺品整理」「電気・ガスの解約」は解決しません。

    専門家と「死後事務委任契約」をセットで結んでおくことで、死後の身の回りの片付けから遺贈寄付の実行まで、一気通貫で安心して任せることができます。

    3.法定相続人がおり、親族感情や遺留分への配慮が必要な場合

    兄弟姉妹や甥・姪、あるいは疎遠な子どもがいる場合、無用な親族トラブルを防ぐための文案作成や「付言事項(なぜ寄付するのかという想いを書き残すメッセージ)」のアドバイスが不可欠です。

    4.助成金制度(フリーウィルズキャンペーン等)を活用したい場合

    日本承継寄付協会(Will for Japan)などでは、一定の要件を満たす遺贈寄付を含む遺言書作成において、専門家報酬(士業費用や公証役場手数料等)を最大10万円まで助成する「フリーウィルズキャンペーン」などを実施している時期があります。こうした助成金制度をうまく活用するためにも、提携している専門家やサポート窓口へ相談するのが近道です。

    よくある質問(Q&A)

    遺贈寄付についての代表的なご質問にお答えします。

    わずかな金額(数十万円程度)でも遺贈寄付はできますか?

    もちろん可能です。「寄付は大金持ちがするもの」というイメージがありますが、まったくそんなことはありません。数万円〜数十万円といった少額の遺贈寄付を受け付けているNPOや自治体はたくさんあります。大事なのは金額の多寡ではなく、「未来に役立ててほしい」というご自身の意思です。

    遺言書を書いた後で、気持ちが変わったら撤回や変更はできますか?

    いつでも自由に変更・撤回ができます。人の気持ちや置かれた環境、財産状況は変化するものです。一度作成した公正証書遺言であっても、新しい遺言書を作成することで、いつでも内容を書き換えることが可能です。法律上、常に「一番新しい日付の遺言書」が有効となります。

    自分が死んだ後、寄付が正しく使われたかどうか確認する方法はありますか?

    遺言執行者から完了報告が行われます。遺言執行者を指定しておけば、遺言執行者が責任を持って口座解約から寄付の送金までを執り行います。送金完了後、寄付先団体から発行される領収書や感謝状、報告書が、遺言執行者(あるいは指定した関係者)へ届けられ、適切な手続きが行われたことが証明されます。

    税金(相続税や所得税)はどうなりますか?寄付先に迷惑がかかりませんか?

    適切な法人を選べば、寄付先にも課税されず、相続税の優遇も受けられます。国や自治体、認定NPO法人、公益法人などに現金で寄付する場合、寄付を受けた団体側に法人税等はかかりません。また、残された相続人がいる場合でも、寄付した分は相続税の課税対象から除外されます。ただし、個人への贈与や非認定の団体への寄付などでは税金の扱いが異なるため、事前に専門家へ確認しておくと安心です。

    まとめ

    これまで「自分が生きてきた証を残したい」「お世話になった札幌の街や社会に恩返しがしたい」という想いを形にする方法として、遺贈寄付のメリット・デメリットや手続きについて解説してきました。

    遺贈寄付は、単なる「お金のゆくえを決める手続き」ではありません。

    自分が大切にしてきた資産を、自分の意思で、未来を担う次の世代や社会課題の解決へ託すという、人生の最期にできる「素晴らしい社会参加」であり「自分らしい生き方の集大成」です。

    特に「お一人様」のご相談者様からは、「遺贈寄付を考え始めたことで、これからの人生に対する不安が減り、前向きな気持ちで毎日を過ごせるようになった」というお声を数多くいただきます。

    しかし、想いだけでは手続きは完結しません。

    「不動産の現金化はどうするか」「残された未払金の清算はどうするか」「確実な遺言書をどう作るか」といった実務的なポイントを一つひとつクリアしていく必要があります。

    自分の財産状況で遺贈寄付は可能なのだろうか?

    札幌市や地元の団体に寄付したいけれど、手続きはどうすればいい?

    万が一の時の自分の葬儀や片付けと合わせて相談したい?                                                                            

    このようにお悩みの方は、ぜひ一度、お近くの行政書士などの専門家へお気軽にご相談ください。あなたの温かい想いがしっかりと未来へ届くよう、法的な枠組みと真心を込めて全力でお手伝いさせていただきます。

    ■ 札幌での相続・遺言のご相談なら

    札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、実家の相続手続きや、遺言書の作成に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。

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