【札幌発 お願い人身扱いにしないで!】加害者に懇願されても人身事故にすべき理由 札幌の行政書士やっくんが解説

近年、交通事故については、2004年度をピークに年々減少しており、2025年度では28万件ほどとなりピーク時の1/3以下に減少しています。とはいえ、28万件もの事故が起きているわけで、当然それほど珍しい出来事でもなく、自動車所有者としては、いつ巻き込まれてもおかしくはありません。

そのような中で交通事故の現場でおこりがちなこととして、加害者から「お願いだから人身事故にしないでほしい」と頭を下げられることです。

治療費は保険で全部払います

誠意をもって対応します

仕事で車を使うので、人身事故だけは勘弁してください

そう言われて「物損事故」のまま処理してしまう方が後を絶ちません。しかし、行政書士として、そして被害者の権利を守る専門家として、最初にはっきりとお伝えします。

怪我をしているのであれば、どれだけお願いされても、原則として「 人身事故 」として届け出るべきです。

ただし、事故の状況によっては「自分にも過失(責任)がつき、自分まで行政処分の対象になるリスク」が存在することも知っておかなければなりません。

この記事では、人身事故と物損事故の根本的な違いや加害者が懇願する理由だけでなく、「お互いに過失がありそうな場合のリスク」、警察の事情、迷ったときの具体的な対処法、そして行政書士がお手伝いできることまで、分かりやすく丁寧に解説していきます。

目次

そもそも何が違う? 「人身事故」と「物損事故」の根本的な違い

交通事故の処理には、大きく分けて「人身事故」と「物損事故」の2種類があります。一見すると「書類上の違いだけでは?」と思われがちですが、その実態と被害者保護の仕組みには天と地ほどの差があります。

人身事故と物損事故の比較

項 目人身事故物損事故
対 象車両の破損 + 人の怪我・死亡車両や物(電柱・ガードレール等)の
損害のみ
警察の対応実況見分(現場検証)を行い、実況
見分調書を作成
簡易的な物件事故報告のみ(詳しい捜査
はしない)
自賠責保険の適用適用される(ケガの補償の上限120
万円等)
原則適用されない(対物補償のみ)
慰謝料の請求入通院慰謝料・後遺障害慰謝料が請求
可能
原則として慰謝料は請求できない
加害者の責任行政処分・刑事責任・民事責任の3つ民事責任(賠償金支払い)のみ

最大の違いは「実況見分調書」の有無

人身事故として警察に受理されると、警察官は現場で「実況見分(じっきょうけんぶん)」を行います。事故当時の速度、ブレーキをかけた位置、衝突時の状況などを細かく記録し、「実況見分調書」という公的な証拠書類を作成します。

この実況見分調書は、後々過失割合で揉めた際、過失を証明するための決定的な証拠となります。

一方、物損事故の場合は簡易的な「物件事故報告」が作成されるのみで、実況見分調書は作られません。後から加害者が「相手の車が急に飛び出してきた」などと嘘の主張をし始めたとき、客観的に事故状況を証明する手段が著しく制限されてしまうのです。

「お願い人身扱いにしないで!」加害者が必死に懇願する3つの理由

事故現場や事故直後に、加害者から「本当に申し訳ありません。治療費や車の修理代は全部払いますから、人身扱いだけは勘弁してください。」と泣きつかれるケースが多々あります。

なぜ加害者はそこまでして人身事故にされることを恐れるのでしょうか。理由は、加害者に重い3つの責任が発生するからです。

1.行政処分(免許の加点・停止・取消)

物損事故であれば、原則として運転免許の違反点数は加算されません(建造物を破壊した場合などを除く)。

しかし、人身事故になると安全運転義務違反(2点)に加え、被害者の怪我の程度(全治何日か)と加害者の過失の重さに応じて、付加点数(2点〜13点以上)が加算されます。

過去に違反歴があるドライバーの場合、一発で免許停止や免許取消になる可能性があります。長距離トラックの運転手や営業職、札幌近郊で車が生活必需品となっている方にとって、免許停止は死活問題となるため、必死に拒むのです。

2.刑事処分(前科がつく・罰金刑)

人身事故の加害者は、刑法の「過失運転致傷罪」に問われる可能性が出てきます。

怪我が軽い場合は不起訴(お咎めなし)や略式命令による罰金刑で済むことも多いですが、罰金刑であっても「前科」がつきます。公務員や一部の資格職、企業にお勤めの方にとって、前科がつくことは職を失うリスクに直結します。

3. 経済的・社会的な不利益(保険料アップや社内処分)

自動車保険(任意保険)を使って人身事故の補償を行うと、翌年の保険等級が下がり、保険料が高くなります。また、業務中の事故であれば会社での評価低下や処分の対象になることもあります。

「口約束」や「示談書なしの個人賠償」が絶対に危険な理由

加害者は「治療費も慰謝料も全部個人で払うから」と言ってきます。しかし、これを信じて物損事故のままにしておくと、ほぼ間違いなく以下のトラブルに直面します。

治療が長引くと「もう払えません」と支払いを拒否される

最初は申し訳なさそうにしていたのに、数週間後には態度が急変して開き直る

そんな怪我は事故と関係ない」「もともと腰痛持ちだったろ」と因果関係を否定される

連絡が取れなくなる(音信不通)

個人の約束には限界があります。治療が長引いた場合、治療費や休業損害は数十万〜数百万円に膨らみます。個人のポケットマネーで賄いきれる額ではありません。

⚠️ 重要 自分にも過失がある場合「人身扱い」にする危険性と注意点

ここで、多くの方が落とし穴にはまる「過失(責任割合)」の問題について触れなければなりません。

「自分は青信号で進入し、相手が赤信号で突っ込んできた。100%相手が悪い!」と思っていても、お互いの車にドライブレコーダーが装着されておらず、目撃者もいない交差点の事故などの場合、客観的な証拠がありません。

そうなると、相手が警察や保険会社に対して「いや、自分が青信号で、相手(あなた)が赤信号だった」「お互いに青(黄)信号だった」と嘘の主張や自己保身の主張を始めるケースが非常に多いのです。

1.双方に怪我があり、証拠がない場合のリスク

ドライブレコーダーなどの映像証拠がなく、双方の主張が真っ向から対立している場合、警察は「どちらか一方のみを一方的な加害者」と即座に断定できません。

もし相手も「首が痛い」「腰を打った」と主張して病院に行き、診断書を警察に提出した場合、「お互いが加害者であり、お互いが被害者(双方向の人身事故)」として処理される可能性が出てきます。

この場合、あなた自身にも以下のようなリスクが生じます。

① 自分にも違反点数が加算され、行政処分(免停など)になるリスク

人身事故として処理されると、主たる責任者(加害者)だけでなく、従たる責任者(被害者側)にも「安全運転義務違反」などの点数(2点など)や、相手の怪我の程度に応じた付加点数がつくことがあります。

過去に違反歴がある方の場合、自分も怪我をさせられた側であるにもかかわらず、運転免許の停止処分を受けてしまう危険性があります。

② 刑事処分(罰金等)の対象になる可能性

お互いに過失があると認定され、相手も怪我をした場合、双方ともに「過失運転致傷」の容疑で取調べを受け、検察へ送致される対象となり得ます。

2.それでも人身事故にすべきか?判断の見極め方

「自分の免停リスクがあるなら、物損のままにしておいた方がいいのでは?」と迷われるかもしれません。

判断のポイントは以下の通りです。

① 自身の怪我の程度が重い場合(全治数か月、後遺症が残りそう、休業が必要など)

自分の免許点数のリスクを考慮してでも、人身事故にして「実況見分調書」を残し、治療費や休業損害、慰謝料を確保するメリットの方が圧倒的に勝ります。物損のままでは大きな損害を自己負担することになりかねません。

② 怪我がごく軽微で、自分の点数保持が絶対条件(免許取り消し寸前など)の場合

自分の過失リスクと天秤にかける必要があります。ただし、相手の嘘の主張によって一方的に不利にされないよう、警察の取調べでは事故状況を徹底的に正確に伝える必要があります。

どちらにしても、証拠がない事故でお互いの主張が食い違っている場合は、自分一人で判断せず、早めに専門家へ相談することが極めて重要です。

    なぜ?? 警察が人身事故にしたがらなように感じる理由

    交通事故の被害者から、

    警察官から、軽いけがなら物損事故のままでいいのではないかと言われた。

    保険会社が治療費を払うなら、人身事故にする必要はないと言われた。

    という話をまれに聞くことがあります。

    ただし、警察が組織として人身事故を隠そうとしているわけではありません。交通事故の状況は一件ごとに異なりますし、警察官の説明の意図も確認する必要があります。そのうえで、人身事故になると、物損事故よりも警察の手続きが増えることは事実です。

    一般的には、次のような対応が必要になります。

    医師の診断書の受理

    被害者、加害者からの事情聴取

    実況見分

    供述調書などの作成

    事故状況の捜査

    検察庁へ送る書類の作成

    軽微な接触事故が多数発生する中、けがの程度が軽く、当事者間で大きな争いがない場合には、警察官が「物損事故のままでも保険対応は可能です」と説明することがあります。これは、必ずしも被害者に不利益を与えようとしているわけではなく、保険実務上の取扱いを案内している場合もあります。

    しかし、最終的に大切なのは、警察側の事務負担ではなく、被害者自身の身体と将来の補償です。実際にけがをしており、人身事故として届けたい場合には、

    事故後から首と腰に痛みがあり、病院で診断を受けました。

    事故とけがの関係を記録に残したいので、診断書を提出します。

    と冷静に伝えましょう。感情的に警察官を責める必要はありません。自分の希望と症状を具体的に説明することが重要です。

    「物損にしてしまった…」 後から人身事故へ切り替える手順

    事故直後は興奮状態(アドレナリンが出ている状態)にあるため、痛みを実感しにくいものです。「怪我はないようです」と警察に伝えて物損事故処理をしたものの、翌日や数日後になって激しい首の痛みや頭痛、腰痛が出てくるケースは非常に一般的です。

    物損事故から人身事故への切り替え(変更手続き)は可能です。迷ったときは以下のステップで対応してください。

    STEP
    すぐに医療機関(整形外科)を受診する

    事故後、できるだけ早く(できれば3日以内、遅くとも1週間以内)整形外科を受診してください。 整骨院や接骨院ではなく、まずは必ず「病院(整形外科)」を受診し、医師に事故の状況と痛む部位をすべて伝えて「診断書」を発行してもらいます。

    ⚠️ 注意!

    事故から受診までに2週間以上あいてしまうと、警察も保険会社も「その痛みが事故によるものなのか、日常生活での怪我なのか判断できない」として、人身事故への切り替えや治療費の支払いを拒否する可能性が格段に高くなります。

    STEP
    警察署で現場検証(実況見分)に立ち会う

    取得した診断書を持参し、事故を管轄する警察署の交通課に向かいます。事前に電話で「物損から人身事故への切り替えを行いたい」と予約を入れておくとスムーズです。

    指定された日時に現場へ出向き、警察官立ち会いのもと現場検証(実況見分)を行います。ドラレコがない場合は、自分の主張(信号の色、ブレーキの位置など)を曖昧にせず、はっきりと警察官に伝えることが命取りを防ぎます。

    STEP
    加害者側・自身の保険会社に報告する

    警察で人身事故への切り替えが完了したら、相手方の任意保険会社およびご自身が加入している保険会社に連絡します。これにより、自賠責保険および任意保険から適正に治療費や休業損害が支払われる体制が整います。

    行政書士がお手伝いできること 【交通事故被害者の強い味方】

    交通事故に遭うと、怪我の痛みや不調に苦しみながら、警察への対応、相手方保険会社との交渉、過失割合の争いなど、膨大な手続きとストレスにさらされます。

    自分の任意保険で「弁護士特約」に加入していないし、弁護士に頼むほど大げさな事故では  ないかもしれない…

    でも、自分で手続きを進めるのは不安だし、相手の嘘の主張に対抗したい…

    そんなときこそ、街の法律家である行政書士をご活用ください。行政書士は書類作成と行政手続きのプロフェッショナルとして、被害者の方が適正な補償を受けられるようサポートいたします。

    1.自賠責保険への「被害者請求(16条請求)」の手続き代理

    過失割合で揉めていて相手の任意保険会社が治療費の支払いを拒否・保留してきた場合でも、自賠責保険へ直接請求する「被害者請求」を行えば、被害者自身の過失が7割未満であれば満額(上限120万円まで)の治療費や傷害補償を受け取ることができます。行政書士がご自身に代わって各種書類を収集・作成し、申請を代理します。

    2.後遺障害等級認定申請のサポート

    治療を続けても痛みが残ってしまった場合(むち打ち症など)、「後遺障害等級認定」を受けることで、後遺障害に対する慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。

    後遺障害の認定は、提出する「後遺障害診断書」や医証(レントゲン・MRI画像等)の精度によって結果が大きく変わります。行政書士は、認定を得るために必要なポイントを精査し、漏れのない申請書類の整備を行ないます。

    3.示談書・合意書の作成・チェック

    加害者側と過失割合や賠償金額について合意に達した際、後から「言った言わない」のトラブルにならないよう、法的効力のある「示談書(契約書)」を作成します。将来的な後遺症についての特約条項などを盛り込み、被害者の方に不利にならない文面を作成します。

    4.弁護士との明確な使い分け

    行政書士と弁護士の違いが気になる方も多いと思います。

    行政書士の専門分野

    自賠責保険請求書類の作成、後遺障害等級認定の申請手続き、示談書の作成など、「書類作成・権利義務に関する手続きのサポート」

    弁護士の専門分野

    相手方との直接的な交渉(示談交渉)、過失割合を巡る裁判の代理人など、「争いが生じている事案での交渉・訴訟」

    ドラレコがなく過失割合で相手と激しい紛争・裁判になりそうな場合は、当事務所から信頼できる提携弁護士をご紹介することも可能です。

    よくある質問(Q&A)

    交通事故の現場やその後の対応で、被害者の方が直面しやすい疑問をQ&A形式でまとめました。

    ドライブレコーダーがなく、相手が「自分が青信号だった」と嘘をついています。人身事故にすると自分も処分されますか?

    相手も怪我をしたと主張した場合は、あなたにも過失(責任)があると判断され、点数が加算されるリスクがあります。証拠がない場合、警察はどちらか一方のみの言い分を鵜呑みにできません。相手も病院に行って診断書を出した場合、双方とも人身事故の加害者兼被害者として処理され、あなたにも安全運転義務違反などの点数がつく可能性があります。実況見分の際は、ご自身の記憶に基づく主張を嘘なく正確に伝えることが重要です。

    加害者から「人身事故にされると会社をクビになる。家族もいるので勘弁してほしい」と泣きつかれました。同情して物損のままにしたらどうなりますか?

    絶対に物損のままにしてはいけません。非常に高いリスクを伴います。加害者の事情は気の毒に思えるかもしれませんが、あなたが被った怪我や治療費、休業損害の補償がうやむやになる危険性があります。加害者が「個人的に全額払う」と約束しても、途中で支払いが滞ったり、連絡が取れなくなったりするトラブルが後を絶ちません。あなたの健康と生活を守ることが最優先です。

    警察に診断書を持っていったら「物損でも保険は出るよ」と言われました。どう対応すればいいですか?

    毅然とした態度で「将来的なトラブル防止と体のために、人身事故として処理してください」とお伝えください。確かに任意保険会社によっては、物損事故の扱いのまま人身事故と同等の治療費を払う「人身事故証明書入手不能理由書」という書類で対応してくれることもあります。しかし、後遺障害が残った場合や過失割合で揉めた場合、実況見分調書がない物損扱いでは著しく不利になります。警察には正当な権利として人身事故への切り替えを要求してください。

    自分にも過失がありそうな事故なのですが、自賠責保険から治療費は出ますか?

    被害者側の過失が7割未満であれば、減額されずに全額(上限120万円まで)支払われます。自賠責保険は被害者保護を目的とした制度です。相手の任意保険会社と過失割合で揉めて治療費を払ってもらえない場合でも、行政書士を通じて「被害者請求」を行えば、過失が7割未満であれば治療費や慰謝料が満額支給されます(7割以上9割未満の場合は20%減額)。

    まとめ ~ 札幌で交通事故でお困りなら

    交通事故に遭った際、誰しも動揺し、「大ごとにしたくない」「相手に悪いかな」という心理が働きがちです。特に加害者から懇願されたり、警察から物損処理を勧められたりすると、流されてしまいそうになるお気持ちはとてもよく分かります。

    しかし、怪我をしている以上、人身事故として正しく処理することは、あなたの身体と正当な補償を守るための第一歩です。

    • 加害者の甘言やお願いに流されない
    • ドライブレコーダーがない事故では、自分にも過失がつくリスクを頭に入れておく
    • 少しでも痛むなら、すぐに整形外科を受診して診断書をもらい警察へ届ける

    この3点を必ず心留めておいてください。

    「ドラレコがなくて相手と主張が食い違っている」「物損から人身への切り替えで困っている」「自賠責保険の被害者請求を検討したい」

    このようなお悩みをお持ちの方は、お一人で抱え込まずに、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの立場に寄り添い、安心できる解決への道を一緒に進んでまいりましょう。

    ■ 札幌での交通事故のご相談なら

    札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、事故後の手続き等のご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。

    【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所

    • 所在地:札幌市東区
    • 対応エリア:札幌市内および近郊エリア(出張相談も承ります)
    • 営業時間:平日 9:00〜18:00(※事前の予約で土日祝や夜間も対応可能です)

    お電話でのお問い合わせにつきましては、当方留守の場合は必ず、留守電にお名前・ご用件(例 相続について相談したい)をお知らせください。

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