「隣の空き家から強烈な異臭や害虫が発生して生活に支障が出ている」「庭の樹木や雑草が越境してきているのに、所有者が誰かわからず連絡すら取れない」といった深刻なお悩みを抱えてはいませんか?
特に札幌市内や近郊の住宅街においては、夏季の衛生被害や景観悪化だけでなく、積雪期における「落雪事故」「空き家の倒壊(雪害)」という生命・財産に関わる重大なリスクが加わります。放置されたごみ屋敷や空き家は、周辺住民にとって日々大きな不安の種となります。
本記事では、所有者不明 の土地・建物やごみ屋敷問題への対処について、徹底的に解説いたします。さらに、令和3年民法改正(令和5年4月1日施行)によって創設された注目の「所有者不明建物管理制度」をはじめとする最新の法的解決策や、よく寄せられる疑問にお答えする「Q&Aコーナー」も大幅に拡充してまとめております。お困りの方はぜひ最後までお読みいただき、解決への第一歩としてご活用ください。
所有者不明建物の現状と周辺に及ぶリスク
「所有者不明土地・建物」とは、不動産登記簿などの公的記録を確認しても所有者が直ちに判明しない、または所有者が判明してもその所在が不明で連絡がつかない不動産を指します。
国土交通省によると、使用目的のない空き家は、平成15年の約212万戸から令和5年には約386万戸となり、20年間でおよそ1.9倍に増えています。全国的に少子高齢化や過疎化が進む中、相次ぐ相続登記の放置や地方からの人口流出により、このような「持ち主の分からない不動産」が激増し、全国的な社会問題となっています。
隣家が「所有者不明のごみ屋敷」や「放置空き家」になっている場合、放置期間が長引くほど周辺の生活環境や資産価値に決定的なダメージを与えます。ここでは、具体的にどのようなリスクが生じるのかを整理します。
ごみ屋敷の敷地内や室内に放置された生ごみ、プラスチック類、衣類などの不用品は、ハエ、蚊、カビそしてネズミなどの害獣・害虫・カビにとって絶好の繁殖場所となります。 特に気温が上がる夏場には、腐敗臭や強烈な悪臭が風に乗って近隣住宅へ漂い、「窓を開けて換気ができない」「洗濯物を外に干せない」といった日常生活への直接的な被害が発生します。
積み上げられた大量のゴミや枯れ果てた雑草は、不審者による放火やタバコのポイ捨てによる火災を引き起こす絶好の標的となります。一度火がつくとゴミが燃料となり、一気に燃え広がって隣家へ延焼するリスクが極めて高くなります。 また、長年メンテナンスがされていない建物は雨漏りなどによって木部が腐食し、耐震性が著しく低下します。台風の暴風や地震が発生した際には、屋根材・外壁の崩落や建物自体の全壊が生じ、通行人や隣家に甚大な被害を及ぼす危険があります。
札幌市をはじめとする豪雪地帯において、管理されていない空き家は冬期間、凶器となり得ます。
① 無落雪屋根でない建物の危険な落雪
定期的な雪下ろしが行われないため、屋根に数トンもの大雪や氷の塊が蓄積し、それが一気に隣家の敷地、車庫、あるいは歩道へ滑り落ちる落雪事故を引き起こします。
② 雪の重みによる倒壊(落屋根)
人が住んで暖房を入れることもなく、除雪・排雪も一切されない空き家は、積雪荷重に耐えかねて屋根が抜け落ちたり、柱が折れて傾いたりします。最悪の場合、雪の重みで全壊し、隣家の外壁や敷地を押し潰す事故に発展します。
不動産市場において、「隣家がごみ屋敷や放置空き家である」という条件は深刻なマイナス要素です。将来的にご自身の自宅を売却しようとした際、買い手がつかなかったり、相場より大幅な減額を余儀なくされたりします。 さらに、「いつ害虫が出たり火事になったりするか分からない」「雪の日に落雪してこないか不安だ」という日常的な恐怖は、住人の精神的健康を徐々に蝕んでいきます。
まず行うべきこと(初期対応のステップ)
隣家がごみ屋敷化し、所有者と連絡が取れない状況であっても、感情的に直接怒鳴り込んだり、相手の敷地に勝手に入ってゴミを処分したりしてはいけません。法律上のトラブル(住居侵入罪や器物破損罪など)に巻き込まれないよう、手順を踏んで冷静に対応を進めることが不可欠です。
まずは行政や専門家、裁判所に事態の深刻さを証明するための「客観的な証拠」を集めます。
例えば、次のような内容です。
・ ごみが積み上がっている場所
・ ごみの種類と量
・ 建物や塀の傾き
・ 外壁や屋根材の剥落
・ 樹木や枝の越境
・ 悪臭が発生する時間帯
・ ねずみ、ハエ、カラスなどの発生状況
・ ごみや汚水が自宅敷地へ流入した状況
・ 冬季の落雪やつららの状況
・ 不審者が出入りしている状況
・ これまで所有者や行政へ連絡した経緯
日付を入れて写真を撮影し、被害の経過を記録しておきましょう。
ただし、撮影するために相手の敷地へ入ってはいけません。自宅の敷地や公道など、適法に撮影できる場所から記録します。室内を意図的にのぞき込むような撮影も避けましょう。
単に「汚くて迷惑だ」という主張だけでは、行政や裁判所に危険性が伝わりにくいことがあります。
「外壁の一部が令和○年○月から傾いている」
「強風のたびに屋根材が飛んでくる」
「令和○年○月○日にねずみを3匹確認した」
というように、具体的に記録することが重要です。
※ 重要な注意点
証拠集めの際であっても、所有者の許可なく敷地内へ侵入して撮影を行うと「住居侵入罪(刑法130条)」に問われるリスクがあります。必ず公道や、ご自身の敷地内から撮影・確認を行ってください。
火災、倒壊、ガス漏れ、不審者の侵入など、生命や身体に差し迫った危険がある場合は、通常の行政相談を待つべきではありません。
火災や救助が必要な場合は消防、犯罪や不法侵入の可能性がある場合は警察へ連絡します。
例えば、
・ 建物から煙が出ている
・ 外壁や屋根が今にも落下しそうである
・ 道路側へ建物が大きく傾いている
・ 不審者が建物内へ侵入した
・ 危険物と思われる物が放置されている
という場合です。
緊急事態と、長期的な管理問題は分けて考えなければなりません。
「本当の所有者は誰なのか」を確認するため、最寄りの法務局で対象不動産(土地・建物)の「登記事項証明書(または公図)」を取得します。地番がわからない場合は、法務局にあるブルーマップ(住居表示から地番を調べる地図)を活用するか、行政書士などの専門家に相談して検索します。
登記簿を確認すると、概ね以下の3つの状態に分類されます。
① 所有者の名前と住所が記載されているが、引っ越していて現住所が不明
② 明治・大正・昭和初期の名義人のまま変更されておらず、相続人が多数存在している
③「表題部」のみで所有者の正確な住所氏名が記載されていない、または登記自体が存在しない
登記簿の記載内容を確認することで、単なる連絡先不通なのか、相続人の調査が必要な状態なのか、あるいは所有者不明手続きを進めるべきなのかという「次のステップ」が明確になります。
個人での解決が難しいと判断した場合、まずは行政の専門窓口に相談を行います。 札幌市の場合、空き家対策の推進に関する条例や空き家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、「都市局 建築指導部 建築安全推進課」や各区役所の相談窓口などが対応にあたっています。
行政へ相談する主なメリットは以下の通りです。
① 行政調査の実施
自治体が持つ固定資産税情報などを活用し、個人では追跡困難な所有者の所在を調査してくれる場合があります。
② 指導・勧告・命令
放置空き家が安全上・衛生上に著しい危険を及ぼしていると判断された場合、「特定空家等」に認定され、行政から所有者へ改善勧告や命令が出されるステップへ進みます。
③ 助成金制度の活用
所有者が判明したものの解体費用がない場合、札幌市の「危険空き家等除却補助制度」などを案内し、自発的な解体を促してくれることがあります。
しかしながら、行政は法律上の「私権の不可侵(個人の財産に警察や行政が安易に介入してはならないという原則)」があるため、個人の所有物であるごみ屋敷や空き家を即座に強制撤去(行政代執行)できるわけではありません。行政の対応に時間がかかる場合や、所有者の特定に至らない場合は、民事上の手続きを検討する必要があります。
所有者不明建物管理制度とは? 2021年(令和3年)民法改正の新仕組み
行政の介入にも限界があり、所有者の調査を尽くしても行方がわからない場合、民事上の裁判手続きを通じて建物の管理や解体を目指すことになります。
そこで極めて重要な選択肢となるのが、令和3年の民法改正により新設され、令和5年(2023年)4月1日から施行された「所有者不明土地・所有者不明建物管理制度」です。
今回の改正以前も、行方不明者の財産を管理する「不在者財産管理人」や、相続人がいない場合の「相続財産清算人」といった裁判制度は存在していました。
しかし、これらの旧制度には隣人トラブル解決において極めて高いハードルが存在しました。
①「人」単位の包括的な管理
特定のごみ屋敷だけでなく、行方不明者の「すべての財産(他県の土地、預貯金、株式など)」を調査・管理・清算する必要がありました。
② 莫大な費用と期間
申立人が裁判所に納める予納金(管理人への報酬や管理実費)が100万円〜200万円近くに達することもあり、手続き完了まで数年かかることが珍しくありませんでした。
③ 所有者特定不能ケースへの対応限界
戸籍すら追えない、または登記名義人が不詳である場合には利用自体が困難でした。
新設された「所有者不明建物管理制度」は、財産権者という「人」ではなく、問題を引き起こしている「特定した建物・土地(不動産)」そのものにスポットを当てて管理を行う仕組みです。
① ピンポイントで管理が可能
対象となる「問題のごみ屋敷・空き家」のみをピンポイントで管理対象とします。所有者の他の財産まで調査・管理する必要がないため、手続きが劇的にスピーディーになります。
② 申立費用(予納金)の大幅な軽減
管理人の業務範囲がその不動産に限られるため、管理報酬や実費が抑えられ、裁判所に納める予納金も従来制度より大幅に低額(事案によりますが数十万円程度〜)で済むケースが増えました。
③ 裁判所の許可を得て「解体」や「売却」が可能
裁判所から選任された「所有者不明建物管理人(弁護士や司法書士等)」は、建物の保存・修繕を行うだけでなく、裁判所の許可を得ることでごみの撤去、建物の解体・更地化、あるいは第三者への売却処分まで行う権限を持ちます。
④ 隣人など「利害関係人」からの申立てが可能
ごみ屋敷による悪臭・害虫・倒壊リスク被害を受けている隣人は、法律上の「利害関係人」として認められるため、自ら裁判所へ管理命令の申立てを行うことができます。
① 事前の調査と証拠収集
公的書類の取得、戸籍調査などを実施し、所有者またはその所在が不明であることを証明する資料を揃える。
② 地方裁判所への申立て
対象物件が所在する地域を管轄する地方裁判所(札幌市内の物件であれば「札幌地方裁判所」)へ「所有者不明建物管理命令」の申立てを行う。
③ 審理と管理命令の発令
裁判所が要件を満たしていると判断した場合、管理命令を発令し、官報等での公告を経て「所有者不明建物管理人」を選任する。
④ 管理人による現地処置
選任された管理人が現地を確認し、危険の除去、ゴミの処分、あるいは裁判所の許可を得て解体工事や売却等の手続きを進める。
【徹底解説】ごみ屋敷・所有者不明土地問題 Q&A
ここでは、実際の相談現場で隣人のお悩みとして多い疑問点について、Q&A形式で詳しく回答・解説いたします。
行政書士が提供できる具体的なサポート
所有者不明の不動産問題やごみ屋敷トラブルは、法的な知識、公的書類の収集能力、行政機関との交渉力など、多角的な対応が求められます。「一般の方が一人で対処するにはあまりにハードルが高い」というのが実情です。
身近な街の法律家である行政書士は、こうしたトラブルに対して以下のような実践的なサポートを行っています。
行政書士は職務上請求権を活用し、法務局での登記事項調査から、全国の自治体に眠る原戸籍・除籍謄本・住民票の除票などを連続して取得します。 複雑に枝分かれした相続関係を一本の「相続関係説明図」として整理し、所有者が存命なのか、相続人が誰なのか、どこに住んでいるのかを客観的な事実として解明します。
自治体の空き家窓口や環境衛生部門に対して相談を行う際、口頭での要請だけでは行政側も対応の優先順位を上げづらいケースがあります。 行政書士は、写真や登記情報、被害状況の整理を行った上で、行政に対する正式な「情報提供書」「指導・勧告の要請書」を作成・提出代行し、行政が早期に動くための後押しをします。
「所有者不明建物管理制度」の利用を決断された場合、裁判所に提出する申し立て理由書や、調査した戸籍等の添付資料一式を漏れなく準備・整理します。 裁判所での代理訴訟行為が必要な場合や、土地の確定測量・登記申請が伴う場合には、当事務所のネットワークを通じて弁護士、土地家屋調査士等とスムーズに連携し、お客様が窓口に迷うことなく一気通貫で問題を解決できる体制を整えます。
おわりに ~ 放置せず、まずは専門家へご相談ください
隣のごみ屋敷や所有者不明の空き家問題は、時の経過によって自然に解決することは絶対にありません。むしろ、年数が経てば経つほど建物の腐食が進み、雑草やゴミが増加し、札幌の厳しい冬が来るたびに「落雪事故」や「倒壊」の危険性が跳ね上がっていきます。
しかし、2021年(令和3年)の民法改正によって「所有者不明建物管理制度」をはじめとする解決ツールが法的に整いました。これまで「持ち主が分からないから手を打てない」と諦めていた案件でも、適切な調査と法的手続きを踏むことで、必ず解決への道筋を見つけ出すことができます。
当事務所では、札幌市および北海道近郊エリアにおける空き家調査・所有者特定・行政手続きに関するご相談を承っております。「隣の空き家で困っている」「所有者の調べ方がわからない」「どこに相談すればいいか迷っている」という方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。
■ 札幌での様々なご相談なら
札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、札幌市内の様々なご相談を承っております。
40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
※ なお、紛争の解決についてはうけたまわれません。
【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所
- 所在地:札幌市東区
- 対応エリア:札幌市内および近郊エリア(出張相談も承ります)
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