【札幌発 エンディングノートを書こう!】70歳代前半はラストチャンスです。札幌の行政書士やっくんが解説

札幌も、ようやく暖かな日差しが差し込む季節となりました。季節の移ろいを感じながら、ふとご自身のこれからの人生について考える機会も増えてきたのではないでしょうか。

本日のブログテーマはエンディングノートです。 「まだまだ元気だから」「縁起でもないから」と後回しにしていませんか? 実は、当事務所にご相談にいらっしゃるご家族の多くが、「もっと早く書いておいてもらえばよかった」「親が元気なうちに話し合っておくべきだった」と後悔の涙を流されています。

行政書士として、皆様に強くお伝えしたいことがあります。 それは、「エンディングノートを書くなら、70代前半がラストチャンスである」ということです。

「なぜ70代前半がラストチャンスなのか?」 今回は、その理由を国が発表している客観的なデータ(健康寿命・認知症の年齢別比率)を根拠に詳しく解説するとともに、エンディングノートの重要性、具体的な内容、失敗しない書き方、そしてよくあるQ&Aまで、余すところなくお伝えいたします。

少し長くなりますが、ご自身の、そして大切なご家族の未来を守るために、ぜひ最後までお読みください。

関連記事

目次

なぜ「70代前半」がラストチャンスなのか?

「人生100年時代」と言われる現代において、「70代なんてまだまだ若者」と感じる方も多いでしょう。確かに、札幌の街を歩いていても、70代で元気に趣味やスポーツを楽しまれている方はたくさんいらっしゃいます。 しかし、法律や手続きの世界から見ると、70代前半という年齢は「ご自身の意思で未来を決定できる、非常に重要なタイムリミットの入り口」なのです。

その理由を、2つの公式データから紐解いていきましょう。

1.「健康寿命」と「平均寿命」の残酷なギャップ

厚生労働省が発表している「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか。 健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。つまり、誰の介護も受けず、自分自身の頭で考え、自分の足で歩き、自立して生活できる年齢を指します。

令和4年(2022年)の厚生労働省のデータによると、日本人の平均寿命と健康寿命は以下のようになっています。

・ 男性:平均寿命 約81.05歳 / 健康寿命 約72.57歳

・ 女性:平均寿命 約87.09歳 / 健康寿命 約75.45歳

※ 上記数値について 出典:厚生労働省 健康寿命の令和4年値について

この数値を見て、ハッとした方も多いのではないでしょうか。 そう、男性は「約73歳」、女性は「約75歳」で、何らかの介護や支援が必要な状態になる可能性が高いという現実があるのです。

平均寿命と健康寿命の間には、男性で約8.5年、女性で約11.6年もの「空白の期間(日常生活に制限のある期間)」が存在します。この期間に入ってから「さあ、自分の財産を整理しよう」「介護の希望をまとめよう」と思っても、体力や気力が追いつかず、途中で挫折してしまう方が非常に多いのです。 だからこそ、健康寿命を迎える前の「70代前半」こそが、気力・体力・判断能力が揃った最後の絶好のタイミングと言えます。

2.75歳から急増する「認知症」の恐怖

もう一つ、70代前半がラストチャンスである決定的な理由が「認知症の有病率」です。 内閣府が発表している「高齢社会白書」(厚生労働省の調査に基づく)によると、年齢別の認知症の有病率は以下のようになっています。

・ 65~69歳: 1.5%

70~74歳: 3.6%

75~79歳: 10.4%

・ 80~84歳: 22.4%

・ 85~89歳: 44.3%

※ 上記数値について 出典:厚生労働省:認知症およびMCIの有病率(2022年調査)

このデータから明らかなように、74歳までは3%台だった認知症の割合が、75歳を境に10%を超え、一気に跳ね上がります。80代に入れば5人に1人、85歳を過ぎれば約半数の方が認知症になるというのが、我が国の現実です。

行政書士として最も恐れているのは、この「認知症による意思能力の喪失」です。 認知症が進行し、「意思能力(自分の行為の結果を理解できる能力)」がないと判断されてしまうと、以下のような事態に陥ります。

・ 銀行口座が凍結される(生活費や医療費が引き出せなくなる)

・ 不動産(自宅など)の売却や修繕ができなくなる

・ 遺言書が書けなくなる

生前贈与などの相続税対策ができなくなる

一度この状態になってしまうと、ご家族は家庭裁判所に申し立てを行い、「成年後見人」を選任してもらうしか財産を動かす方法がなくなります。この手続きは非常に時間とお金がかかり、ご家族に多大な負担を強いることになります。

認知症のリスクが急増する「75歳」を迎える前、つまり「70代前半」のうちに、ご自身の情報を整理し、意思を明確にしておくことが、残されるご家族への最大の愛情なのです。

エンディングノートとは? 遺言書との違い

「70代前半で準備をしなければならないのは分かった。でも、遺言書を書けばいいのでは?」と思われるかもしれません。ここで、エンディングノートと遺言書の違いを明確にしておきましょう。

【遺言書】

・ 目的: 自分の財産を「誰に」「どれだけ」引き継ぐかを法的に指定するもの。

・ 法的効力: あり。(民法で定められた厳格なルールに従って書かなければ無効になります)

・ 書ける内容: 主に財産の処分、認知(隠し子を自分の子と認めること)、未成年後見人の 指定など、法律で定められた事項のみ。

【エンディングノート】

・ 目的: 自分の人生を振り返り、現在の情報を整理し、家族への希望やメッセージを伝えるもの。

・ 法的効力: なし。(財産を「長男に全て譲る」と書いても、法的な強制力はありません)

・ 書ける内容: 自由。銀行の暗証番号、ペットの世話、延命治療の希望、葬儀の希望、家族 への感謝の気持ちなど、何でも書けます。

つまり、「遺言書は財産の行き先を決める法的なパスポート」「エンディングノートは家族が困らないための人生の引き継ぎ書」と言えます。

行政書士としては、「どちらか一つ」ではなく、「エンディングノートで情報を整理し、その上で法的な効力が必要な財産については遺言書を作成する」という両輪の準備を強くお勧めしています。

エンディングノートの重要性と3つのメリット

エンディングノートを書くことは、「死の準備」ではありません。残りの人生をより豊かに、安心して生きるための「前向きな活動」です。具体的に3つの重要なメリットがあります。

メリット1 残された家族の圧倒的な負担軽減

人が亡くなった後、残されたご家族は悲しみに暮れる間もなく、怒涛の手続きに追われます。 「銀行の通帳はどこ?」「印鑑は?」「クレジットカードは何枚あるの?」「スマホのパスワードは?」「引き落としされているサブスクリプションは?」「誰に連絡すればいいの?」 エンディングノートがない場合、ご家族は遺品の中から宝探しのようにこれらの情報を探し出さなければなりません。特に最近は、通帳のないネット銀行やネット証券、デジタルの有料サービス(デジタル遺品)が増えており、これらが放置されると後々多額の請求が来るなどのトラブルに発展します。 ノート一冊にこれらがまとまっているだけで、ご家族の負担は数十分の1に軽減されます。

メリット2 万が一の医療・介護の際に自分の尊厳を守れる

あなたがもし、脳梗塞などで突然倒れ、意識不明になったとします。 「胃ろうをしてでも延命治療をしてほしいのか」「自然な形で最期を迎えたい(尊厳死)のか」 この重い決断を、残された家族に強いるのは非常に酷なことです。家族は「延命しない選択をしたら、自分が親を殺したことになるのではないか」と一生苦しむことがあります。 エンディングノートに「私に回復の見込みがない場合は、延命治療を望みません」と一言書いてあるだけで、ご家族は「お父さん(お母さん)の意思だから」と、迷わず決断し、前を向くことができるのです。

メリット3 自分の人生を振り返り、これからの目標が見つかる

エンディングノートには、自分自身の生い立ちや、楽しかった思い出を書く欄があります。これまでの70年間の歩みを振り返ることで、「自分はこんなに素晴らしい人生を送ってきたんだ」と再確認できます。 同時に、「あそこにもう一度旅行に行きたい」「あの人に会っておきたい」といった、今後の人生の新たな目標(やり残したこと)が見つかることも多いのです。エンディングノートは「老い支度」ではなく、「より良く生きるためのプランニングノート」なのです。

エンディングノートに書くべき5つの必須項目

では、具体的に何を書けば良いのでしょうか。市販のノートにはたくさんの項目がありますが、最初から全てを埋めようとする必要はありません。まずは以下の「5つの必須項目」から書き始めてみましょう。

1.ご自身の基本情報

氏名、生年月日、本籍地、住民票の住所

マイナンバーカードの有無と保管場所

健康保険証、運転免許証、パスポートの保管場所

スマートフォンやパソコンのログインパスワード

2.資産と負債(マイナスの財産)の情報

① 預貯金: 銀行名、支店名、口座番号。(暗証番号は別の場所に保管するか、スクラッチシールで隠すなどの工夫を)

② 不動産: 自宅、土地など。田舎にある放置された山林なども必ず書きましょう。

③ 有価証券: 証券会社名、株式、投資信託など。

④ その他の資産: 生命保険(どこの保険会社か、証券はどこか)、貴金属、骨董品など。

⑤ 負債: 住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードのキャッシング、知人からの借金など。(※マイナスの財産は相続放棄の判断に関わるため、絶対に隠さず書いてください)

⑥ クレジットカード・引き落とし情報: 月額課金サービス(スポーツジム、動画配信、ファンクラブなど)の解約漏れを防ぎます。

3.医療・介護の希望

かかりつけ医、持病、アレルギー、現在服用している薬

介護が必要になった場合の希望(自宅での訪問介護が良いか、施設に入りたいか)

介護費用はどうしてほしいか(自分の年金・貯金から出してほしい等)

延命治療(人工呼吸器、胃ろうなど)に対する希望

臓器提供や献体の希望の有無

4.葬儀・お墓の希望

葬儀の形式: 家族葬(近親者のみ)が良いか、一般葬が良いか、お別れ会形式が良いか。

宗教・宗派: 仏教(何宗か)、神道、キリスト教等。菩提寺(お付き合いのあるお寺)の連絡先。

遺影: 「この写真を使ってほしい」というものがあれば、その保管場所。

お墓: 先祖代々のお墓に入るのか、樹木葬が良いか、散骨してほしいか。

連絡してほしい人リスト: 亡くなった時、葬儀に呼んでほしい友人や関係者の連絡先リスト。

5.大切な人へのメッセージ

これが一番重要かもしれません。配偶者へ、子どもたちへ、孫へ。照れくさくて普段は言えない「ありがとう」「幸せな人生でした」という感謝の言葉を綴ってください。この数行のメッセージが、残されたご家族にとって一生の宝物になり、悲しみを乗り越える力となります。

挫折しない!失敗しないエンディングノートの書き方

「書こうと思ってノートを買ったけど、白紙のまま引き出しに眠っている」 実によく聞くお話です。挫折しないためのポイントを4つご紹介します。

① 全てを一度に書こうとしない

最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「自分の名前と住所」「かかりつけ医」など、書けるところ、簡単なところから埋めていきましょう。「1日15分だけ書く」「週末に1ページだけ書く」といったペースで十分です。

② 鉛筆や消せるボールペンで書く(何度でも書き直してOK)

エンディングノートは遺言書と違い、法的な書き方のルールはありません。資産の額や気持ちは時間が経てば変わるものです。「一度書いたら変えられない」と思うと筆が止まってしまいますので、あとから書き直せるように鉛筆やフリクションペンで書くことをお勧めします。

③ 市販のノートや自治体の配布物を活用する

普通の大学ノートに一から書くのは至難の業です。書店や文具店で売られている市販のエンディングノート(コクヨ製などが有名です)を購入するのが一番の近道です。また、札幌市をはじめ、各自治体の役所や地域包括支援センターに行くと、無料でオリジナルのエンディングノート(終活ノート)を配布していることがありますので、それを利用するのも良いでしょう。

④ 【超重要】書いたこと、保管場所を必ず家族に伝える

これが最大の失敗パターンです。せっかく完璧なエンディングノートを書いても、金庫の奥深くや仏壇の引き出しに隠したまま亡くなり、死後数年経ってから発見されては全く意味がありません。 「エンディングノートを書いたよ。何かあったら、書斎の右の引き出しを開けてね」と、必ず信頼できるご家族に伝えておいてください。

エンディングノートに関するよくある質問(Q&A)

エンディングノートに関するよくあるご質問にお答えします。

エンディングノートに「長男に家を継がせる」と書けば、その通りになりますか?

法的な効力はないため、確実ではありません。 先に触れましたが、エンディングノートには法的な強制力がありません。ご長男に家を確実に継がせたい場合は、エンディングノートにその「理由(なぜ長男に継がせたいのかという気持ち)」を書き、それとは別に法的に有効な「遺言書(公正証書遺言を強く推奨します)」を作成する必要があります。

財産がほとんどないのですが、書く必要はありますか?

はい、大いにあります。 エンディングノートは財産のためだけに書くものではありません。「延命治療をどうするか」「お葬式はどうするか」「連絡してほしい友人は誰か」といった情報は、財産の多寡に関わらず、ご家族が必ず直面する問題です。財産が少ない方こそ、残された手続きの負担を減らすために書くべきです。

書き始めたら、暗い気持ちになってしまいました…。

無理をせず、まずは楽しい思い出から書いてみてください。 「死」を意識する項目(葬儀やお墓、病気のこと)から書き始めると、気が滅入ってしまう方がいらっしゃいます。そんな時は一旦そのページを飛ばして、「若かった頃の趣味」「家族で行った旅行の思い出」「好きだった食べ物」など、人生のポジティブな振り返りから書いてみてください。

パスワードなどの機密情報をノートに書くのは不安です。

直接的な表現を避けるか、別で保管する工夫をしましょう。 「銀行の暗証番号:1234」とそのまま書くのは確かに防犯上危険です。例えば「暗証番号は、長女の誕生日の月日」とヒントを書いたり、ノートには「暗証番号一覧のメモは、通帳と一緒に〇〇の金庫に入れている」とありかだけを記すなど、工夫をしてください。

毎年書き直した方が良いのでしょうか? A5.年に1回、「見直す日」を決めるのがおすすめです。

財産状況やご自身の考え、家族関係は変化します。お誕生日、お正月、あるいはお盆など、年に1回「ノートを見直す日」を決め、変わった部分があれば線を引いて書き直す(または新しい情報を書き足す)ように習慣づけましょう。

おわりに ~ 札幌の皆様の「安心な未来」のために

いかがでしたでしょうか。 健康寿命のデータや認知症の有病率から見ても、気力・体力・判断能力が充実している「70代前半」が、人生の棚卸しをする「ラストチャンス」であることがお分かりいただけたかと思います。

札幌の厳しい冬を乗り越えるために雪囲いをして備えるように、ご自身の人生の総仕上げにも、早めの「備え」が必要です。 エンディングノートを書くことは、決して死を待つための作業ではありません。不安を書き出して整理することで、心がスッと軽くなり、「さあ、残りの人生で何をしようか!」と前向きな活力が湧いてくるものです。

もし、「自分一人では何から手をつけていいか分からない」「エンディングノートを書いた上で、きちんとした遺言書も作っておきたい」「認知症になった時に備えて『任意後見契約』も検討したい」といったお悩みがありましたら、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

札幌の地で、皆様のこれまでの素晴らしい人生を形に残し、ご家族にしっかりと想いを繋ぐお手伝いをさせていただきます。 初回相談は無料でお受けしております。どうぞ、思い立ったが吉日、まずはお電話でご連絡ください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました 皆様のこれからの人生が、より一層輝かしく、安心に満ちたものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

■ 札幌での相続・遺言のご相談なら

札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、実家の相続手続きや、遺言書の作成に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。

【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所

  • 所在地:札幌市東区
  • 対応エリア:札幌市内および近郊エリア(出張相談も承ります)
  • 営業時間:平日 9:00〜18:00(※事前の予約で土日祝や夜間も対応可能です)

お電話でのお問い合わせにつきましては、当方留守の場合は必ず、留守電にお名前・ご用件(例 相続について相談したい)をお知らせください。

目次