皆さんは「へそくり」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか。「万が一のときのための自分だけのお守り」「家族に内緒で趣味に使うお金」など、少しワクワクするような、あるいは安心感を得るためのものとして、日々の生活の中でコツコツと貯めている方も少なくないと思います。
特に、結婚してから25年間、毎月の生活費をやりくりしながら「こっそり」貯めてきた、というようなケースでは、その総額が数百万円、時には1千万円を超える大きな資産になっていることもあります。また、ご自身のへそくりだけでなく、「将来、子どもが結婚するときに渡してあげよう」「孫の大学進学の足しにしてもらおう」と考え、良かれと思って子どもや孫の名義の口座を作り、そこに長年お金を貯めてこられた方も非常に多いのではないでしょうか。
家族を想う温かい気持ちや、日々の努力の結晶であるこれらの預金ですが、実は日本の税務の世界では、非常に厳しい目を向けられる対象となってしまいます。それが、今回詳しく解説する名義預金という問題です。
せっかく25年間という長い歳月をかけて、家族のため、あるいは自分のためにこっそり貯めてきた大切な資産が、将来の相続の際に「税務署からの指摘」によって思わぬペナルティを受けてしまうのは、あまりにも悲しいことです。
そこで本記事では、札幌の地域事情も踏まえながら、「名義預金とは一体何なのか」という定義から、なぜ税務調査で狙われるのかというリスク、名義預金と判定される具体的な基準、よくあるケース、そして税務署から指摘されないための実践的な対策までを、専門用語をできるだけ噛み砕いて徹底的に解説します。
将来の不安を安心に変えるために、かなり長くなりますが大切なことなので、ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の預金口座の状況と照らし合わせてみてください。
名義預金とは?その定義と基本構造
まずは、言葉の定義から正確に理解していきましょう。
名義預金とは、「口座の名義人(通帳に記載されている名前)」と「その預金の実質的な所有者(お金を出した人、管理している人)」が異なっている預金のことを言います。
民法や税法では、財産が誰のものかを判断する際、単に「名前が誰になっているか」という形式だけを見るのではなく、「そのお金はどこから出たのか(原資)」「そのお金を実際に管理・支配しているのは誰か」という実態を重視します。
例えば、以下のようなケースはすべて名義預金とみなされる可能性が極めて高いと言えます。
・ 夫の給料からやりくりして貯めた妻名義の「へそくり預金」
・ 親が子どもの将来のために、子どもの名前で口座を作って貯めていた「子ども名義預金」
・ 祖父母が孫の誕生祝いや入学祝い、毎月の小遣いを貯めるために作った「孫名義預金」
これらは、通帳の名前こそ「妻」「子」「孫」になっていますが、お金を出したのは「夫」「親」「祖父母」であり、通帳や印鑑もお金を出した本人が持っていることがほとんどです。そのため、税務上は「名義を借りているだけの、実質的にはお金を出した本人の財産」と判断されてしまうのです。
「家族にお金をあげたつもりなのだから、それは贈与ではないのか?」と思われる方も多いでしょう。ここに大きな誤解があります。
法律上、贈与というのは「あげます(贈与者)」という意思表示と、「もらいます(受贈者)」という受諾の意思表示が、お互いに一致して初めて成立する契約(双方の合意が必要な法律行為)です。
つまり、以下のような状態では贈与は成立していません。
・ 夫に内緒で、夫の収入から妻の口座に移して貯めていた(夫はあげる気がなく、存在も知らない)
・ 子どもや孫が、自分名義の口座があることすら知らない(もらう側の認識がない)
・ 口座があることは知っているが、通帳や印鑑は親が持っていて、子どもが自由に引き出せない(自分のものになっていない)
これらはすべて、贈与ではなく「名義預金」として扱われます。「良かれと思って内緒にしていた」「サプライズでいつか渡そうと思っていた」という家族間の美談が、税務の世界では「贈与未成立=名義預金」という、もっとも税務調査で指摘されやすい状態を作ってしまう原因になるのです。
なぜ危ない?税務調査のリスクとペナルティ
では、名義預金があると、具体的にどのようなリスクやペナルティが発生するのでしょうか。税務署の驚くべき調査能力と、実際のペナルティの内容を見ていきましょう。
「家族の間のことだし、こっそり現金で移動させたり、小さな地方銀行に預けたりしていれば、税務署には分からないだろう」と考えるのは非常に危険です。税務署、特に相続税を担当する部門の調査能力は、一般の想像を遥かに超えています。
人が亡くなると、役所に死亡届が提出されます。その情報は自動的に税務署にも共有されます。税務署は、亡くなった方(被相続人)の過去の職歴、役職、確定申告のデータ、不動産の売買履歴などから、「この人は一生でこれくらいの資産を築いているはずだ」という予測(想定資産額)を立てます。
そして、いざ相続が発生すると、税務署は法律に基づき、亡くなった方だけでなく、その配偶者、子ども、さらには孫に至るまで、家族全員の過去10年分近くの銀行口座の動き(取引履歴)を職権で照会・確認することができるのです。
・ 「亡くなった夫の口座から、定期的に妻の口座へまとまった資金が移動している」
・ 「収入のない(または少ない)専業主婦の妻の口座に、なぜか1,500万円もの残高がある」
・ 「まだ大学生の孫の口座に、いつの間にか500万円もの定期預金が作られている」
このような動きは、税務署のデータ照会によって一発で把握されてしまいます。特に、札幌のような地方都市であっても、主要な地方銀行(北洋銀行など)や信用金庫、ゆうちょ銀行などのデータは完全にチェックされます。「内緒にしていればバレない」ということは、現代の税務行政においてはまずあり得ないと考えてください。
税務調査(相続税の調査など)が入り、家族名義の口座が「名義預金である」と判定されると、以下のような深刻な事態に発展します。
① 相続財産への強制的な組み入れ
名義預金は「名義人のものではなく、亡くなった方の財産」とみなされます。そのため、例えば妻名義のへそくり1,000万円が名義預金と判断された場合、それは「夫の遺産」として相続税の計算に強制的に組み入れられます。その結果、基礎控除(税金がかからない枠)を超えてしまい、多額の相続税が発生することがあります。
② 追徴課税(重いペナルティ)の発生
本来申告すべきだった財産を隠していた、あるいは申告していなかったとみなされるため、本来の相続税に加えて、以下のようなペナルティの税金が課されます。
過少申告加算税(または無申告加算税)
正しく申告していなかったことに対する罰金(10%〜20%程度)
延滞税
本来の納期限から、実際に税金を納めるまでの期間に応じた利息(年利数パーセント、時期によってはそれ以上)
重加算税
最も重いペナルティです。「意図的に財産を隠匿した」「仮装した」と判断された場合、最大40%という非常に重い税金が課されます。25年間こっそり貯めたへそくりが、その大半を税金で持っていかれるような事態になりかねません。
③ 遺産分割協議のやり直し・家族間のトラブル
税務上の問題だけでなく、民事上のトラブルにも発展します。妻や特定の特定の子どもの口座が「実は亡くなった父の財産だった」ということになると、他の相続人(例えば他の兄弟など)から「それはお父さんの遺産なのだから、みんなで公平に分けるべきだ」と主張される可能性があります。すでに終わったと思っていた遺産分割の話し合い(遺産分割協議)をやり直さなければならなくなり、親族間での骨肉の争い(争続)を引き起こす引き金になってしまうのです。
④ 名義預金には時効がない
多くの方が「贈与税の時効は6年(悪質な場合は7年)だから、昔貯めたものはもう大丈夫だろう」と誤解しています。 しかし、名義預金は「そもそも贈与が成立していない(ずっと亡くなった本人の財産のまま)」という扱いであるため、贈与税の時効という概念自体が存在しません。 20年前、25年前に貯め始めたお金であっても、亡くなった時点の財産として、何年経っていようが関係なく相続税の課税対象になります。この「時効がない」という点こそが、名義預金の最も恐ろしいリスクと言えます。
税務署はここを見る!名義預金かどうかの「5つの判断基準」
税務署が税務調査に入った際、目の前にある家族名義の口座が「名義預金」なのか、それとも「正当な本人の預金(または適切な贈与)」なのかをどのように判断しているのでしょうか。 税務署がチェックする、主に「5つの決定的な判断基準」を解説します。
【税務署がチェックする5つのポイント】
・ 預金の原資(お金の出どころは誰か)
・ 管理・支配の状況(通帳・印鑑・カードを誰が持っているか)
・ 印鑑の状況(口座の届出印は誰のものか)
・ 贈与の認識(名義人本人がその口座を知っているか)
・ 収益の享受者(利息やお金を実際に使っているのは誰か)
これら5つのポイントについて、税務署は総合的に判断します。一つずつ詳しく見ていきましょう。
基準1 預金の原資(お金の出どころ)
その口座に入っているお金が、「もともと誰が稼いだ、あるいは誰が所有していたお金なのか」という点です。 口座名義人である妻、子ども、孫に、その預金額に見合うだけの「独自の収入」があるかどうかが問われます。
・ セーフの例: 妻がパートや正社員として働き、自分で稼いだ給与を貯めて作った
1,000万円の口座。
・ アウトの例: 結婚以来ずっと専業主婦で、実家からの相続なども一切ない妻の口座に、なぜか1,500万円の預金がある場合。この場合、原資は「夫の給与(生活費の残り)」と判断されます。
基準2 管理・支配の状況(通帳・印鑑の保管者)
その口座の「通帳」「銀行印」「キャッシュカード」を、実際に誰が保管し、誰が自由に出し入れできる状態にあるかという点です。これが実務上、最も重視されるポイントの一つです。
・ セーフの例: 子ども名義の口座の通帳と印鑑を、子ども自身が自分の部屋の引き出しに保管し、普段の買い物や仕送りの引き出しに自分で使っている。
・ アウトの例: 子ども名義の口座だが、通帳も印鑑もすべて親(または祖父母)が自分の金庫や引き出しに大切に保管しており、子どもはその場所すら知らない。親の許可なしにお金を引き出せない状態。
基準3 印鑑の状況(届出印の共通性)
口座を開設した際の「届出印(銀行印)」が、お金を出した人の口座の印鑑と同じものが使われていないかという点です。
・ アウトの例: 夫名義のメイン口座の印鑑と、妻名義のへそくり口座の印鑑、さらには子ども名義の口座の印鑑が、すべて「全く同じ、夫の苗字の三文判や実印」である場合。これは、同一の人物(夫や親)が一度にまとめて口座を開設し、一括して管理していた強力な証拠になってしまいます。
基準4 贈与の認識(名義人の自覚)
口座の名義人(もらったはずの人)が、「自分名義の口座があり、そこにお金が入っていること、そしてそれが自分のものであること」をハッキリと認識しているかという点です。
税務調査では、調査官が子どもや孫に対して「あなた名義の〇〇銀行の口座について知っていますか?いつ、いくら入ったか知っていますか?」と直接質問(質問検査権の行使)をすることがあります。ここで子どもが「えっ、そんな口座あるんですか?知りませんでした」と答えた瞬間、その預金は100%「名義預金」と確定します。
基準5 収益の享受者(お金の実際の使用者)
その口座から発生する利息(現代では微々たるものですが)や、その口座から引き出されたお金を、「最終的に誰が使い、誰の利益になっていたか」という点です。
・ アウトの例: 子ども名義の口座から定期的にまとまったお金が引き出されているが、その使い道を追うと、親の車の購入資金や、自宅のリフォーム代、あるいは夫の別の定期預金の原資に充てられていた場合。これは名義を借りていただけで、実質的にはお金を出した本人が自分の財布として使っていたとみなされます。
具体的ケースで見る「名義預金」の危険度チェック
あなたの家庭の預金は大丈夫でしょうか。よくある3つの具体的なケースを挙げて、それぞれの危険度(リスク)と、税務署がどこを突いてくるのかをシミュレーションしてみましょう。
状 況
夫は会社員(または経営者)、妻は専業主婦。妻は結婚生活25年間、夫から渡される毎月の生活費(食費や日用品代など)を上手にやりくりし、毎月3万円〜5万円を「妻名義の口座」にこっそり移して貯めてきた。現在の残高は1,200万円。夫はこの口座の存在を全く知らない。
▼ 危険度判定:【 危険度:極大(ほぼ確実に名義預金) 】
なぜアウトなのか?
多くの人が「生活費をやりくりして浮かせたお金は、妻の努力の結晶なのだから、妻個人の財産だ」と考えがちです。しかし、日本の税法上、専業主婦(夫)の家庭において、夫の収入から出た生活費の残りは、「依然として夫の資産(夫婦の共有財産ではなく、原資を提供した夫の財産)」とみなされます。
妻が自分名義の口座に入金していたとしても、
① 夫は「あげた(贈与した)」という認識がない(存在すら知らない)
② 原資はすべて夫の稼ぎである という2点から、夫に相続が発生した際、この
1,200万円は「夫の名義預金」として、夫の相続財産に強制的にプラスされてしまいます。25年間の努力が、一瞬で「申告漏れ財産」とされてしまう非常に悲しいケースです。
状 況
親が、子ども(現在28歳、社会人として独立)の将来(結婚資金や住宅購入資金)のために、子どもが生まれたときから「子ども名義の口座」を作り、児童手当や、お正月のお年玉、毎月の余剰資金をコツコツ貯めてきた。通帳と印鑑は、親が自宅の金庫に大切に保管している。残高は500万円。子どもには「結婚するときに渡そう」と思っているので、まだ口座の存在を教えていない。
▼ 危険度判定:【 危険度:大(名義預金とみなされる) 】
なぜアウトなのか?
親心としては素晴らしい行為ですが、税務上は典型的な名義預金です。
① 子どもが口座の存在自体を知らない(贈与の「もらいます」という合意がない)
② 通帳・印鑑の管理を完全に親が握っている(子どもが自由に使えない)
この状態で親に万が一のことがあった場合、税務署は「子ども名義だが、実質的には親の財産」と判断します。たとえ親が「子どもにあげるために作った」と主張しても、管理権が親にある以上、贈与は成立していないとみなされます。 ただし、お年玉や親族からの祝い金など、純粋に子どもがもらったお金であることが証明できる部分(数万円〜数十万円程度)については除外される可能性がありますが、親が持ち出した大半の資金については名義預金となります。
状 況
札幌在住の祖父母が、市内に住む高校生の孫のために、「年間110万円の手前である
100万円なら贈与税がかからない(暦年贈与)」と聞き、毎年100万円を「孫名義の口座」に振り込んで定期預金にしていた。現在5年目で残高は500万円。孫本人も、母親(祖父母の実娘)から「おじいちゃんがあなたのために貯めてくれているよ」と聞いており、口座の存在は知っている。しかし、通帳とキャッシュカードは、孫が無くすと困るので、祖父母が管理している。
▼ 危険度判定:【 危険度:中〜高(対策不備でアウトになる可能性大) 】
なぜアウトなのか?
「年間110万円以下の非課税枠(暦年課税)」を意識している点は良いのですが、「通帳と印鑑(カード)の管理」という点です。
孫やその親が口座の存在を知っている(認識がある)という点はクリアしていますが、依然として通帳の支配権が「祖父母」にあります。税務署から見れば、「いつでも祖父母が解約したり、お金を戻したりできる状態」であるため、「まだ贈与は完了しておらず、祖父母が孫の名前を借りてお金をプールしているだけ(名義預金)」と判断される可能性が高いです。
今すぐできる!名義預金と指摘されないための「6つの具体的対策」
では、すでに作ってしまったへそくりや家族名義の預金、あるいはこれから始めたい教育資金の積み立てなどを、正当な財産(あるいは正当な贈与)として税務署に認めてもらうためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
強くお勧めする、「6つの具体的かつ実践的な対策」を分かりやすく解説します。
口約束や内緒での移動ではなく、お金を動かすたびに「あげます」「もらいます」というお互いの意思を証明する書面(贈与契約書)を作成し、双方が署名・捺印して保管しておきます。
これは名義預金を防ぐための「最強の客観的証拠」になります。
贈与契約書の作成ポイント
・ いつ、誰が、誰に、いくらを、どのような方法(振込など)で贈与したかを明記する。
・ 必ず「あげた人(贈与者)」と「もらった人(受贈者)」の双方が自筆で署名し、捺印する。(子どもや孫が未成年の場合は、親権者である親が法定代理人として署名・捺印します)
・ 作成日付を明確にするため、可能であれば公証役場で「確定日付」をもらう、あるいは実印で捺印して印鑑証明書を添付するとより確実ですが、認印でもお互いの自筆署名があれば高い証拠能力を持ちます。
通帳、キャッシュカード、そしてその口座の届出印は、名義人である子どもや孫、妻自身が自分で保管・管理してください。
・ 子どもが成人しているなら、通帳とカードを本人に手渡します。
・ 「子どもや孫が若すぎて、持たせるとすぐに使ってしまうのではないか」と心配される気持ちはよく分かります。しかし、その「心配だから親が持っておく」という行為そのものが、税務署に名義預金と言われる原因になります。本人が自由に引き出せる状態(支配権の移転)にして初めて、法律上の贈与が完成します。
お金を出した人(夫や親)が普段使っている銀行印と同じ印鑑で家族の口座を作っている場合は、今すぐ銀行へ行き、「名義人個人の別の印鑑」へ届出印の変更手続き(改印手続き)を行ってください。
・ 妻名義の口座なら妻個人の印鑑、子ども名義なら子ども自身の印鑑を設定します。
・ 印鑑が別々になっていることで、「お金を出した人が一括管理していたわけではない」という実態を証明しやすくなります。
お金を移動させる際は、手元にある現金を相手の口座に直接入金する(現金預入)のではなく、必ず「あなたの口座から、相手の口座へ」銀行振込(口座間送金)を行ってください。
・ 銀行振込を行うことで、通帳の履歴に「フリコミ ◯◯ ◯◯(あなたの名前)」とハッキリ記録が残ります。これにより、いつ、誰から誰へお金が流れたのかという「資金の足跡」が公的に証明され、不透明な現金の移動による疑いを避けることができます。
もっともポピュラーな暦年贈与(年間110万円まで非課税)ですが、あえて毎年120万円といった、基礎控除額を少しだけ超える金額の贈与を行います。
そして、翌年の申告期間に、もらった本人が税務署へ「贈与税の申告書」を提出し、数千円の贈与税を実際に納税します。
この対策のメリット
税務署に対して「私はこの年に、確かに親からこれだけのお金を贈与として受け取り、税金も納めました」という公的な記録(申告書の控えと納税証明)を国に残すことができる点です。後から税務署が「これは名義預金だ」と言い出しても、「いや、当時の税務署にしっかりと贈与として申告してあります」という強力な反論材料になります。
※ ただし、これだけで100%名義預金が否定されるわけではなく、上記2の「本人が管理していること」などの実態が伴っている必要があります。
この記事を読んで、「あ、うちのあの口座、完全に名義預金に当てはまっている…」と気づいた方もいらっしゃるでしょう。過去に作ってしまった名義預金については、今からでも遅くありませんので、以下のいずれかの方法で適切に「解消」してください。
解消法A 実質的な所有者(お金を出した人)の口座へお金を「戻す」
もともと夫の稼ぎから貯めた妻のへそくりや、親が勝手に作った子ども名義の口座であれば、その全額を一度、お金を出した本人(夫や親)の銀行口座に振込で「戻して戻す」という方法です。 「戻すと、今度は逆の贈与になって税金がかかるのでは?」と不安になるかもしれませんが、税務上「もともと夫(親)の財産だったものを、本来の持ち主の口座に戻しただけ(名義の修正)」という扱いになるため、戻す行為に対して贈与税がかかることは原則ありません。戻した上で、将来正当な遺産として遺言書などで分けるか、改めて正しい手順で生前贈与を行います。
解消法B 速やかに「正式な贈与」を成立させる
通帳や印鑑を本人の前に出し、「今まで内緒でこれだけ貯めておいた。今日からこれはお前のものだから、自分で管理しなさい」と口座の存在を明かし、通帳と印鑑を手渡します。 そして、その日付で「過去に遡るのではなく、今日、この口座の中身全額を贈与します」という贈与契約書を作成します。
※ 注意
この場合、口座残高の総額(例:500万円)が「その年の贈与」となるため、110万円の基礎控除を超えた分に対して、その年はまとまった贈与税がかかることになります。税金がかかっても、将来の相続税リスクやペナルティに比べれば、ここで綺麗に個人の財産にしてしまった方が安全な場合もあります。
相続・贈与のルール変更 (2024年以降〜2026年現在の最新状況)
ここで、生前贈与や相続に関する日本の税制が、ここ数年で大きく変わっている(特に
2024年1月の法改正以降、2026年現在も非常に重要な局面を迎えている)点について、最新情報をお伝えします。名義預金の対策を行う上でも、この最新ルールを知っておくことは不可欠です。
これまで、亡くなる前「3年以内」に行われた生前贈与は、たとえ年間110万円以下の基礎控除内であっても、亡くなった時に「相続財産に連戻し(持ち戻し)て、相続税の対象にする」というルール(3年ルール)がありました。
これが2024年1月の改正により、最長「7年以内」へと段階的に延長されています。
2026年現在に亡くなられた場合は、まだ経過措置の期間中であるため従来の3年ルールに近い形(徐々に期間が伸び始めている段階)ですが、今後2031年以降に向けて、亡くなる前7年間の贈与がすべて相続税の対象に取り込まれるようになります。
つまり、「ギリギリになってから慌てて家族名義の口座にお金を移しても、最大7年間は相続税から逃れられない」という時代になっています。だからこそ、小手先の名義変更ではなく、早い段階から「名義預金」を解消し、正当な生前対策を行う重要性が増しているのです。
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一方で、もう一つの贈与方法である「相続時精算課税制度(原則、累計2,500万円まで非課税で贈与し、将来の相続時に精算する制度)」に、2024年から「年間110万円の基礎控除」が新設されました。
この新しい基礎控除枠を使って行った年110万円以下の贈与は、上記の「7年間の持ち戻し」の対象外(亡くなっても相続財産に戻さなくてよい)という、非常に強力なメリットがあります。
これからの時代、子どもや孫に確実にお資産を移していきたい場合は、昔ながらの「内緒のへそくり口座・名義預金」を作るのではなく、この「相続時精算課税制度の新しい枠」などを正しく活用し、専門家のサポートを受けながら、オープンかつ合法的に財産を移転していくことが、最も賢く安全な選択となります。
名義預金に関するよくある質問(Q&A)
最後に、名義預金や家族間の預金に関する疑問について、Q&A形式で分かりやすくまとめました。
まとめ ~ 大切な資産と家族の笑顔を守るために
結婚してから25年間、あるいは子どもや孫が生まれたあの日から、家族の幸せな未来を想ってコツコツと、そして「こっそり」と貯めてこられたお金。その中には、言葉には表せないほどの温かい想いや、日々の節約の努力、家族の歴史が詰まっているはずです。
しかし、その温かい想いも、正しい法律知識と税務のルールに基づいた「手続き」を行っておかなければ、将来、相続という人生の大きな節目において、重い税金やペナルティ、あるいは家族間の悲しいトラブルという、最悪の形で裏目に出てしまうリスクをはらんでいます。
名義預金の問題の本質は、「良かれと思ってやった家族間の身内の行為」と「国の厳格な税務ルール」の間のギャップにあります。税務署は決して冷徹にあなたを苦しめたいわけではなく、ただ書面と実態という客観的な証拠に基づいて淡々とルールを適用してくるだけなのです。であれば、私たちも正しい知識を持って、事前に「文句のつけようのない証拠と実態」を作っておけば、何も恐れる必要はありません。
行政書士からのメッセージ
今回ご紹介した、
- 贈与契約書の作成
- 通帳・印鑑の本人への引き渡し(管理の移転)
- 銀行振込による履歴の明確化
といった対策は、どれも今日、明日からでも始められる具体的な一歩です。
「うちのこの通帳は大丈夫かしら?」「過去に作ってしまったへそくりを、一番税金がかからない形で整理するにはどうしたらいい?」といった個別の具体的なお悩みや、具体的な生前贈与の手続き、将来の遺言書作成などについては、ぜひ一度、ご相談ください。
札幌の皆さまの身近な街の法律家として、あなたの25年間の想いが詰まった大切な資産を、最も安全な形で次の世代へ、そしてあなた自身の安心へと繋ぐお手伝いをさせていただきます。家族みんなが将来も笑顔でいられるよう、気づいた今こそ、最初の一歩を踏み出してみませんか。
本記事が、皆さまの大切な財産と、ご家族の安心な未来を守るための参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
■ 札幌での相続・遺言のご相談なら
札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、実家の相続手続きや、遺言書の作成に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。
【お問い合わせ先】 つしま行政書士事務所
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- 対応エリア:札幌市内および近郊エリア(出張相談も承ります)
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初回60分相談料無料

☎ 011-788-3883
※ お電話でのお問い合わせにつきましては、当方留守の場合は必ず、留守電にお名前・ご用件(例 相続について相談したい)をお知らせください。
