【行方不明の兄弟がいる場合の相続】ある50歳男性の壮絶な物語から解説します 《札幌の行政書士が解説》

  • 何年も連絡を取っていない兄弟がいる
  • 行方が分からない家族がいるけれど、もし親が亡くなったら相続手続きはどうなってしまうのだろうか

このような家族の事情を抱えている方は少なくありません。家族にはそれぞれの歴史があり、中には複雑な事情から音信不通となってしまうご家族もいらっしゃいます。

今回は、幼い頃に突然生き別れとなった弟の行方が分からないまま、高齢になった父親の相続に不安を抱く「50歳・敬明さん」の物語を通して、行方不明の兄弟 がいる場合の対処法や法律上の手続きについて、分かりやすく解説いたします。

目次

第1部  50歳・敬明さんの物語 ~ 行方不明の弟と父の相続

第1章 どうして、お母さんはいなくなったの?

昭和の終わり頃、幼い敬明さんはとある中小都市の閑静な住宅街で暮らしていました。当時の家族は、父の伊蔵さん(当時38歳)、母の貴子さん(当時36歳)、3歳上の姉・良子さん(当時8歳)、そして5歳の敬明さん、生まれたばかりの弟・卓巳さんの5人家族でした。

敬明さんの記憶に残る父と母は、いつも仲良く笑い合っていました。休日になれば父が私たちを連れて公園へ行き、母は真心のこもった豪華なお弁当を作ってくれる。そんなごく普通の、幸せな家庭でした。

しかし、そんな幸せな毎日を過ごしていたある日、その日常は突如として崩れ去ります。

幼稚園から帰ると、家の中が不自然に静まり返っていました。母の姿がなく、赤ちゃんだった弟の卓巳さんのベビーベッドも空っぽになっていたのです。母の衣類や卓巳さんの荷物も綺麗に消えていました。

「お父さん、お母さんは? 卓巳はどこ行ったの?」

幼い敬明さんが尋ねても、父・伊蔵さんは固い表情で黙り込むばかりでした。幼い良子さんと敬明さんには、何が起きたのか全く理解できませんでした。

大好きだったお母さんと、かわいかった生まれたばかりの弟。昨日まで一緒に笑っていた家族が、理由も分からないまま目の前から消えてしまったのです。

「お母さん……お母さん……」

夜になると、良子さんと敬明さんは声をひそめて泣きました。母の匂いが残るブランケットを抱きしめ、毎日のように母の帰りを祈りました。父・伊蔵さんもまた、夜遅くまで居間で一人、お酒を飲みながらじっと天井を見つめていました。

幼心に「母の話をしてはいけない」という重苦しい雰囲気が、家に漂い始めていました。

第2章 新しい母・華さんと、消えた貴子さんの記憶

母と弟が消えてから5年の月日が流れました。当時10歳になっていた敬明さんと13歳の良子さんのもとに、父から「新しいお母さんだよ」と紹介されたのが、華さん(当時32歳)でした。

父・伊蔵さんとは10歳以上年の離れた若い女性でした。最初は戸惑いを見せていた良子さんと敬明さんでしたが、華さんはとても気さくで、温かい笑顔を持つ人でした。不慣れな家事に一生懸命取り組み、母を失ってどこか暗かった家に、再び明るい笑い声を取り戻してくれました。

やがて、敬明さんが中学生になる頃、華さんが妊娠し、妹の朱里ちゃんが生まれました。家の中は一気ににぎやかになり、新しい家族の絆が深まっていきました。良子さんも敬明さんも、いつしか華さんのことを本当の母親のように慕うようになっていました。

妹の誕生とともに、いつしか家の中からは「貴子さん」と「卓巳さん」の形跡が消えていきました。

それは、家族が貴子さんたちのことを「完全に忘れてしまった」からではありませんでした。父の悲しそうな顔を見たくないという思い、そして新しい母である華さんへの配慮から、父、良子さん、敬明さんの3人の間で「触れてはいけない過去」として固く封印されていたのです。

会話の中で実母の名前が出ることは一度もなくなり、アルバムのページも静かに閉じられたままでした。こうして、敬明さんはごく普通の温かい家庭の中で大人へと成長していきました。

第3章 父から初めて聞かされた「母が家を出た本当の理由」

月日は流れ、敬明さんは県内の大学を卒業し、就職のために実家を離れることになりました。姉の良子さんもすでに結婚が決まっており、それぞれの道を歩み出そうとしていた時期です。

引っ越しの前夜、父・伊蔵さんは敬明さんと良子さんの二人を静かに書斎へ呼び出しました。

「敬明、良子。二人とも立派になったな。家を出る前に、ずっと話さなければいけないと思っていたことがある」

父は深々とお茶を一口飲むと、静かに語り始めました。それは、17年前に母・貴子さんが弟の卓巳さんを連れて突然姿を消した本当の理由でした。

実の母である貴子さんの実家は、隣の県で誰もが知る有名な老舗の大規模温泉旅館を経営していました。ところが、旅館の跡取りであった貴子さんの兄が、病気により急死してしまったのです。

跡継ぎを失い、途方に暮れた貴子さんの父(敬明さんたちの祖父)は、もともと貴子さんと伊蔵さんの結婚に強く反対していました。伊蔵さんが一般的な会社員であったことも気に入らなかったのです。跡取りを失った祖父は、生まれたばかりの孫である卓巳さんを旅館の将来の跡継ぎに据えようと画策しました。

そして、言葉巧みに貴子さんを実家に呼び戻し、強引に連れ去る形で連れ戻してしまったのが真実でした。

「父さんもな、何度も取り戻しに行こうとした。だが、向こうは大きな力を持つ老舗旅館で、法律家まで立てて実家に囲い込んでしまったんだ。貴子も、幼い卓巳と実家を守るために、苦渋の決断をしたのかもしれない。華と再婚してからは、お前たちを混乱させたくなくて、一度も連絡を取っていない」

父の話を聞いた敬明さんは、長年胸の中にあった大きな疑問が氷解していくのを感じました。

幼い頃、父方の親戚や祖父母とは頻繁に交流があったのに、母方の親戚の話は一度も出なかったこと。父が母の実家の所在地や話題を極端に避けていたこと。すべてが一つにつながりました。

父もまた、苦しみの中にいたのだと敬明さんは理解しました。

第4章 新聞に載った「旅館倒産」の記事

それからさらに長い年月が過ぎ、時代は平成から令和へと移り変わりました。令和元年、敬明さんは42歳となり、世の中はかつて経験したことのないパンデミックで外出さえできない異常な毎日を過ごしていました。

ある日の朝、会社で新聞の経済面を開いていた敬明さんは、ある記事に目が留まりました。そこには、隣県の有名温泉街にある、あの実母の実家が経営していた老舗旅館の名前が大きく載っていたのです。

「新型コロナウイルスの感染拡大による観光客激減 ~ 老舗温泉旅館が破産申請」

一瞬、胸が大きく波打ちました。「母さんはどうしているのだろう」という思いが頭をよぎりました。しかし、自分には現在の生活があり、幼い頃に離れ離れになった母や弟とは、37年間一度も会っていません。

「今の自分には、もう関係のない世界のことだ」

敬明さんはそう自分に言い聞かせ、静かに新聞を閉じました。深入りすることはしませんでした。

しかし、それから1年ほど経った頃、実家に顔を出した際に、父・伊蔵さんの口から衝撃的な事実を聞かされることになります。父は少し小さくなった背中を丸め、ぽつりと言いました。

「あの旅館が潰れた後 … 母さんは借金苦と心労で亡くなったそうだ」

敬明さんは息を飲みました。父の話によると、実母の貴子さんが亡くなっただけでなく、旅館の社長として経営を引き継いでいた弟の卓巳さんは、倒産処理の混乱の中で行方不明になってしまったというのです。

「卓巳は……どこへ行ってしまったんだ」

父は呟くように言いました。かつて自分たちの手から奪われた幼い息子が、大人になり、苦労の末に行方不詳になってしまったことに対し、途方もない悲しみと空虚感に苛まれているようでした。

敬明さんも、「あの大好きだった実母の貴子さんが亡くなったこと」「弟が今どこで生きているのか、それとも亡くなっているのかさえ分からない」という2つの現実に押しつぶされそうになっていました。

第5章 父さんが亡くなったら、相続は? 卓巳はどうなる?

現在、敬明さんは50歳になりました。父・伊蔵さんは83歳となり、年齢相応の衰えは見られるものの、妻の華さんと札幌市内の自宅で穏やかに暮らしています。

しかし、敬明さんの心には、常に消えない暗い影がありました。それは行方不明になった弟・卓巳さんのことです。

父は高齢です。人間誰しも、いつ何があるか分かりません。ふと「もし父さんが亡くなったら、相続はどうなるのだろう」という考えが頭をよぎるようになりました。

「実家や父の預貯金や不動産はどうやって分ければいいんだ?」

「卓巳がどこにいるか分からないのに、遺産分割協議なんてできるのだろうか?」

「もう45年も会っていないし、行方不明なのだから、死亡したことにして手続きを進められないのだろうか?」

敬明さんは折に触れて、父・伊蔵さんに卓巳さんのことや今後の相続について話そうと試みました。しかし、父は卓巳さんの名前が出ると露骨に顔を曇らせ、「その話は、今しなくてもいいだろう……」と言って席を立ってしまいます。

父にとっても、我が子を守れなかった過去や、行方不明になった息子の存在は、胸を締め付けられるような痛みを伴う話題だったのです。

苦しむ父の姿を見て、敬明さんはこれ以上無理に尋ねることができませんでした。しかし、このまま問題を先送りにしていれば、父が亡くなった後に遺された家族(華さん、良子さん、朱里さん)が大きなトラブルに巻き込まれることは目に見えています。

「父が元気なうちに、自分たちでできる準備や、法律上の対処法を知っておかなければならないのではないか」

敬明さんは意を決して、大学時代の友人の行政書士のもとへ相談に訪れることを決意しました。

では、敬明さんのような状況に直面した場合、具体的にどのような手続きや対策を進めればよいのでしょうか。第2部では、法律的な観点から「行方不明の相続人がいる場合の手続き」について詳しく解説していきます。

※ 本記事の物語は、行方不明の兄弟がいる場合の相続での対処法をご理解いただくためのフィクションです。登場する人物や家族構成、エピソードなどはすべて架空のものであり、実在の特定の人物やご相談事例とは一切関係ありません。ただし、このようなご家族間トラブルは、非常に多く見られるケースをベースにしております。

第2部 行方不明の兄弟がいる場合どうする? 相続の7つのポイント

敬明さんのように、「家族が行方不明になっている」という状況で親の相続を迎えるケースは、実は決して珍しくありません。ここからは、実務上重要となる7つのポイントを見ていきましょう。

1.まず確認したい「誰が相続人になるのか」

親が亡くなった際、最初に確認しなければならないのが「法定相続人が誰であるか」という点です。

敬明さんのご家庭のケースで、もし父・伊蔵さんが亡くなった場合の相続関係を整理してみましょう。

◉ 配偶者: 現在のご妻・華さん(常に相続人)

◉ 第1順位(子)

・ 長女・良子さん(伊蔵さんと貴子さんの子)

・ 長男・敬明さん(伊蔵さんと貴子さんの子)

・ 二男・卓巳さん(伊蔵さんと貴子さんの子・行方不明)

・ 二女・朱里さん(伊蔵さんと華さんの子)

法律上、前妻との間の子であっても、後妻との間の子であっても、父親から見ればすべて等しく「子」であり、同等の相続権(法定相続分)を持ちます。

ここで非常に重要なポイントがあります。それは、「長年間連絡を取っていない」「どこにいるか分からない」からといって、自動的に相続人ではなくなるわけではないということです。

どれほど疎遠であっても、行方不明であっても、卓巳さんが生存している限り、父・伊蔵さんの法定相続人としての権利はそのまま残ります。

2.「卓巳さん抜き」で遺産分割協議をしてはいけない

相続が発生すると、亡くなった方の遺産(実家の土地建物、預貯金、株式など)をどのように分けるかを決める「遺産分割協議」を行うことになります。

このときよくある誤解が、「連絡が取れない人がいるのだから、連絡がつく家族だけで協議をしてしまえばいいのではないか」という考え方です。

しかし、これは法律上絶対にNGです。

民法において、遺産分割協議は「相続人全員」が参加して合意しなければ無効になると定められています。行方不明である卓巳さんを除外して、華さん、良子さん、敬明さん、朱里さんの4人だけで作った遺産分割協議書は、法的に一切の効力を持ちません。

そのため、以下のような実務上の手続きがすべてストップしてしまいます。

・ 銀行での預貯金の解約・名義変更

・ 実家(不動産)の名義変更(相続登記)

・ 株式や有価証券の移転手続き

「居場所が分からないから放置する」という選択をとってしまうと、遺産が凍結されたまま放置されることになってしまうのです。

3.まずは卓巳さんを探す 戸籍・戸籍の附票などを確認する

行方不明の相続人がいる場合、最初に行うべきアクションは「いきなり裁判所の手続きに入る」ことではなく、「可能な限りあらゆる手段で所在を確認する」ことです。

法律手続きを検討する前に、行政書士などの専門家に依頼するか、ご自身で以下の調査を進めます。

1. 戸籍謄本および「戸籍の附票」の取得

卓巳さんの出生から現在に至るまでの戸籍を辿ります。特に重要なのが「戸籍の附票(ふひょう)」です。戸籍の附票には、その人物の住所の履歴(住民票の移り変わり)が記録されています。ここから、卓巳さんが最後に住民票を置いていた場所(最終住所地)を特定することができます。

2. 住民票の除票・現地確認

最終住所地が判明したら、その住所に手紙を送ってみたり、現地を訪ねてみたりします。もし転出している場合は、転出先の住所をさらに追跡します。

3. 親族や関係者への聞き取り

貴子さんの実家側の親戚や、かつての知人、倒産時の関係者などに連絡を取り、少しでも手がかりがないか情報を集めます。

これらの調査を行った結果、「手紙が届いて連絡が取れた」「現住所が判明した」となれば、通常通り遺産分割協議に参加してもらうことが可能になります。

4.どうしても見つからない場合の「不在者財産管理人」

戸籍の附票などを調査しても住所が特定できない場合や、住所地に住んでおらず完全に行方不明であることが判明した場合、どうすればよいのでしょうか。

このような場合に利用される代表的な法的制度が「不在者財産管理人」の選任手続きです。

不在者財産管理人とは?

従来の住所や居所を去り、容易に立ち戻る見込みがない者(不在者)に代わって、その財産を管理・保存する人のことです。申立てにより、家庭裁判所が選任します。

誰が選任を申し立てるのか?

利害関係人(他の相続人である敬明さんや華さんなど)や検察官が、不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

誰が選任されるのか?

弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースが多いです。

不在者財産管理人が入ることで、遺産分割はどうなる?

不在者財産管理人は、本来「不在者の財産を守る(保存する)」ための立場です。そのため、遺産分割協議のような「財産を処分する行為」を行うには、家庭裁判所の許可(権限外行為許可)を得る必要があります。

裁判所の許可を得た上で、不在者財産管理人が卓巳さんに代わって遺産分割協議に参加します。この際、卓巳さんの法定相続分(権利)に相当する財産(現金など)を確保する内容で協議をまとめることが一般的な条件となります。

「卓巳さんが見つからないからといって、相続手続きを永遠に止めておくしかない」わけではありません。この制度を活用することで、残されたご家族は法的に正当な形で遺産分割を進めることができます。

5.何十年も行方不明なら「失踪宣告」という方法もある

不在者財産管理人と並び、もう一つの法的手段となるのが「失踪宣告」です。

失踪宣告とは、長期間生死が不明である者に対して、法律上「死亡したものとみなす」家庭裁判所の制度です。

失踪宣告の種類と条件

  • 普通失踪: 不在者の生死が7年間分からない場合に申し立てが可能。
  • 危難失踪: 戦地、沈没した船、震災などの災難に遭遇し、災難が去った後1年間生死が分からない場合に申し立てが可能。

卓巳さんの場合、事件や事故の報告がない限り「普通失踪」に該当します。最後に消息が途絶えてから7年以上生死不明であれば、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告を受けるとどうなるか?

裁判所から失踪宣告がなされると、卓巳さんは「7年の期間が満了した時」に法律上死亡したものとみなされます。

これにより、父・伊蔵さんの相続が発生した時点ですでに卓巳さんが亡くなっていたと扱われるため、卓巳さんを除いた相続人で遺産分割協議を進めることができるようになります。

※ ただし、卓巳さんに子ども(孫)がいる場合は、その子どもが「代襲相続人」となるため注意が必要です。

注意点「何年も連絡がないが自動的に死亡ではない

ここで強く意識していただきたいのは、どれだけ長い年月音信不通であっても、裁判所に申し立てをして「失踪宣告」の審判を受けない限り、勝手に死亡扱いにはならないという点です。

また、失踪宣告は「人を法律上死亡したことにする」という非常に重大な手続きであるため、家庭裁判所による慎重な調査や公示催告などが行われ、確定するまでに半年から1年程度の時間がかかります。

そのため、「遺産分割を速やかに進めたいのか」「家族関係を根本から整理したいのか」という目的に応じて、不在者財産管理人を選ぶべきか、失踪宣告を選ぶべきかを慎重に判断する必要があります。

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6.敬明さんが今、父・伊蔵さんにしておきたいこと

父・伊蔵さんは現在83歳でお元気です。相続が始まってから(父が亡くなってから)慌ててこれらの手続きを始めるのは、残されたご家族にとって大きな精神的・時間的負担となります。

敬明さんが「父が元気な今のうち」にしておける最も有効な事前対策は以下の通りです。

1. 戸籍謄本の収集と「相続人調査」を済ませておく

父・伊蔵さんの出生から現在までの連続した戸籍謄本をあらかじめ集めておきます。これにより、卓巳さんの戸籍の附票も追うことができ、事前の捜索をスムーズに進めることができます。

2. 財産一覧(財産目録)を作成しておく

不動産の登記事項証明書や、預貯金口座、有価証券などの情報を整理しておきます。

3. 父の意思を確認し、「遺言書」を作成してもらう

行方不明の相続人がいる場合において、最も強力で効果的な生前対策が「遺言書(公正証書遺言)」の作成です。

もし父・伊蔵さんが生前に、 「妻・華に自宅不動産を相続させる」 「残りの預貯金は敬明、良子、朱里に〇〇ずつ相続させる」 といった明確な内容の遺言書を残していれば、父の死後、原則として全員での遺産分割協議を行う必要がなくなります。

行方不明の卓巳さんの「遺留分(法律上最低限保障された遺産の取り分)」の問題は残りますが、遺言書があれば不動産の名義変更や預貯金の解約手続きをスムーズに進めることができ、残されたご家族が手続きで立ち往生するリスクを激減させることができます。

「父に卓巳さんの話をするのは心苦しい」という敬明さんの思いもありますが、「他の家族や華さんを守るための備え」として、優しく父に寄り添いながら遺言書の作成を提案してみることが、今できる最高のアクションと言えます。

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7.行政書士に相談できること 家族の事情を法律手続きにつなげる

行方不明の家族がいる場合の相続は、単なる事務手続きではなく、長年の家族の感情や歴史が複雑に絡み合う問題です。

私たち行政書士は、そうした「ご家族の深い事情」に耳を傾け、適切な法律手続きへとつなげる伴走者です。具体的には、以下のようなサポートを行っています。

行政書士がサポートできること

① 相続人調査・戸籍の収集

全国の自治体から必要な戸籍を正確に集め、関係性を整理します。

② 相続関係説明図・家系図の作成

複雑な親族関係を分かりやすく書面化します。

③ 財産調査・財産目録の作成

相続財産の全容を把握するための資料を作成します。

④ 遺言書作成サポート(公正証書遺言の文案作成・公証役場との調整)

将来のトラブルを防ぐための最適な遺言書作りをお手伝いします。

⑤ 他士業(弁護士・司法書士等)との連携

不在者財産管理人の選任申立てや失踪宣告の申立てなど、家庭裁判所への書類提出や代理業務が必要となる場合は、提携する弁護士や司法書士とスムーズに連携し、ワンストップでご相談者を支えます。

おわりに

長い文章をお読みいただきありがとうございました。

現在50歳を迎えた敬明さんの物語はいかがでしたでしょうか?

幼い頃に生き別れた母と弟。敬明さんの胸の中には、言葉では表せない切なさと、将来への不安が渦巻いていたことでしょう。

しかし、行方不明の兄弟がいるから、相続は何もできないと諦める必要は全くありません。

大切なのは、相続が始まってから慌てるのではなく、父が元気なうちに家族関係と財産を整理し、万全の備えをしておくことです。

今目の前にいる家族が安心して暮らしていけるよう、まずは第一歩として戸籍の整理や生前対策から始めてみませんか。

つしま行政書士事務所では、複雑なご事情を抱えたご家庭の相続・遺言のご相談に、温かく丁寧に対応しております。一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

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札幌市東区の「つしま行政書士事務所」では、実家の相続手続きや、遺言書の作成、その他公正証書等に関するご相談を承っております。 40年間の企業法務・契約業務の経験とFPの視点を活かし、ご家族の想いを形にするサポートをいたします。初回相談は無料ですので、一人で悩まずに、まずはお気軽にご連絡ください。

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